山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第153回

「デビル メイ クライ 5」は期待以上の面白さ! コンボ探求の奥深さと楽しさもいい感じな話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

いいですよー、「デビル メイ クライ 5」。久しぶりのスタイリッシュアクション最高です。Really Awesome!

先週のこの連載では「こんな調子だと誰も新作ゲームを買わなくなっちゃいますよ!」的な苦言を書いたボクですけども、今週はうって変わって「デビル メイ クライ 5」のおかげで笑顔でコントローラー握りしめてました。こういうゲームが出てきてくれるなら大丈夫。

「デビル メイ クライ 5」は部分的にどこが良いっていうレベルじゃなく、ほぼオールラウンドに全編に渡って素晴らしい出来ですね。

基本としてのグラフィックスのクオリティはもとより、パンクロックテイストかつアナーキーな色彩センス、オープニングから「なんちゅうかっこいい映像なんだろうか……」っと思わず見とれるレベルのカットシーンの見せ方、プレイシーンもカットシーンも共に驚くレベルのモーションの豊富さと自然さ、ボルテージを上げまくってくれる楽曲たち……

ゲームを構成しているどの切り口から見ても特筆ものですね。

その中でも特にこれというところを挙げるなら、やはりキャラクターのモーションでしょうか。

プレイシーンのアクションのモーションの豊かさもものすごいですが、カットシーンでの何気ない仕草や表情のひとつひとつも、その自然さに驚かされるレベル。

特に、「ネロ」、「V」、「ダンテ」、「ニコ」あたりの主要なキャラのフェイシャル(表情のアニメーション)はすごいですね。

肝心のゲームプレイの手触りの方も期待以上です。

前作「デビル メイ クライ 4」では「ネロ」と「ダンテ」それぞれの個性の違いを楽しめるところがありましたが、今作ではそれがさらに増していますし、そこにまた異なる個性の「V(ブイ)」も加わって、よりバリエーションが増しています。

このVがまた驚きで、Vは自分では戦わず使役している魔獸がVの周囲で戦うという、これまでの「DMC」にないスタイル。

別のキャラクターを、しかも2体同時に遠隔操作し続けるような独特な操作に慣れるまで手こずりましたが、慣れてくるとダンテやネロにはない魅力満載。

ダンテやネロがアグレッシブな“動のスタイリッシュ”とすれば、Vは本人に限って言えば静かでゆったりとした動きの“静のスタイリッシュ”。

魔獣のシャドウとグリフォンが激しく混戦を繰り広げているなか、杖を片手にゆったり動くVの姿はどこか優雅。挑発では狂ったかのように笑いだすものもあって、悪魔との激しい戦いのなか、狂気を感じさせるようなダークなスタイリッシュさが味わえます。

このダークさや狂気の感じが他の2人にはない魅力があって、妙に病みつきになるんですよねー。良いキャラしてます、V。

使役している魔獣を操作して戦い、自身はトドメだけという、独特なスタイルのV。ダンテやネロとは違った魅力があって、かなり良いキャラクターになっていますねー

もちろんネロやダンテも負けてません。負けてないどころかすごいことになってますけど。

シリーズの醍醐味とも言える“コンボ探求の面白さ”は、今作だと要素がかなり多いので、奥行きはシリーズ随一かもしれませんね。

シリーズ未経験の人に改めて解説すると、各技を繋いで、“スタイリッシュに、そして操作していて気持ちいい戦い方をしていくか”が、シリーズの醍醐味。

例えばネロなら、

ワイヤースナッチで敵を引き寄せて、

斬り斬りからハイローラー長押しで空中に撃ち上げつつ自分も飛び上がり、

タッチパッド押し込みで空中挑発を1回挟んで、

眼下の敵をワイヤースナッチで持ち上げて、

斬り斬りから間隔を開けて斬りでのルーレットスピンで敵をさらに撃ち上げ、

ワイヤースナッチで今度は敵を下に引き寄せて、

最後はデビルブレイカーでトドメ。

……といったように、引き寄せて撃ち上げて、吹き飛ばしたと思ったらまた引き寄せてといったように、右手のギミックを交えてコンボを繋ぎ続けるのがポイント。

一方のダンテは、扱う武器の多さ、そしてバトルスタイルの切替えによって、技のバリエーションがものすごく豊富で、総数はシリーズ最多でしょうか。今作ではかなりぶっ飛んだ技もあるので、コンボを追求していくと最終的にすごい動きになりそうです。

この“スタイリッシュな動きを追求する”という醍醐味は、上達すればするほど「こんな攻撃もできちゃうのかー!」っとアクションの奥行きに驚かされるようになっていくのが大きな魅力。

コンボの繋ぎ方が身についてくると、何も考えずに夢中でスタイリッシュな動きを出し続け、ひたすら気持ちいい時間を味わっていく……というゲーム体験になっていきます。

敵の動きに合わせてアドリブでいろんな技を出し、自分が良く使う定番コンボの中に時々アクセントに違った動きを混ぜてみたりする、その即興性を楽しんでみたり。

楽器を好きなように、思うままにフリー演奏しているかのような高まりがあるんですよ。

もちろんそれにはプレーヤー自身が「こういう順に技を出してみたらどうなるのかな?」っていう自主的な試行錯誤が多少は必要なわけですが、それだけに上手くできるようになっていった先の自由さ、アクションを自分で組み上げているという手触りは、他にはなかなかないものがあります。

ちなみに、難しい操作できないですっていう人も、オートマチックでいろんな技を出してくれるモードがあるので、そこから入っていくのもありですよね。

引き寄せて、切り上げて、挑発を挟みつつ、ザクザク斬って、また引き寄せ……ネロは今作ではDEVILブレイカーという右腕装備にもかなりの種類があって性能が異なるので、その技を使いこなすだけでもかなりの奥行きがあります
今作も、豊富な武器、そしてトリックスター、ソードマスター、ガンスリンガー、ロイヤルガードのスタイルも健在。初登場武器のひとつ「キャバリエーレ」はバイクのような重量級の双剣! バイクで殴り、バイクで突撃! その発想には脱帽です

さてさて、そんな「デビル メイ クライ 5」ですが、かなり要素が多い(ダンテが特に多い)ので、1周目のプレイだけではその全てを使いこなすのは時間が足りないぐらいです。

そこで、1周目はストーリー主体に楽しんで、2周目以降に武器の使いこなしやコンボ探求を楽しんでいくという感じになるわけですが、「デビル メイ クライ 5」は2周目以降に開放される技があるだけでなく、ゲーム内のある演出があったり、ボス戦でも2周目ならではの特殊なアクションが出せたり。

2周目以降がむしろ本番と言わんばかりに、1周目を上回る面白さが待っています。

シリーズ作を楽しんでいる人だと、1周クリア後には異なる難易度に挑みつつコンボを楽しみつつ、長く楽しむのが定番なわけですが、今作ではそれを見越して、長く楽しんでもらおうというスタンスが感じられるのが嬉しいところ。

ボクは、とりあえず難易度「DEVIL HUNTER」と、2周目に「HUMAN」をプレイしたのですが、1周目にはまだまだ手探りだった動き(特にV)も2周目には余裕が出てきて、より楽しむ動きができるようになってくるんですよね。

挑発をまぜるタイミングであったり、ネロならイクシード(アクセルを捻るようにしてレッドクイーンに炎をまとまわせる)をコンボに挟むようにしていったり、余裕が出てきたことでいろいろ試して、そこから新しい気持ち良さを発見して、また別の技を試して……という連鎖が始まっていきます。

そうなってくると、例えばYouTubeにあげられているシリーズ作でも知られるコンボマニアな人のプレイ動画を見て、それを真似してみたり、それをきっかけに自分でもいろいろ技の繋ぎ方を探ってみたり……そういう「デビル メイ クライ 5」の1番楽しい連鎖にハマっていくこと間違いなし。

2周目以降には、使える技が増えるだけでなく敵を撃破した瞬間が写真に収められるニコのエネミーレポートがプレイ中に撮影されるなど、演出も増える。2周目以降のやり込みが、「デビル メイ クライ 5」の本番ですね

なにせナンバリング作品としては10年振り、外伝的、別世界観作品の「DmC Devil May Cry」から数えても6年振りですので、シリーズ未体験という人もいると思いますが、クオリティはおそらく今年トップクラスで、シリアスとユニークさとロックなテイストが混ざり合ったバランスとセンスの良さ、そして何より“スタイリッシュに気持ちいい戦い方”を追求していったときの、スタイリッシュアクションならではの手触りは、是が非でも味わってもらいたいなと思います。

4月にはシリーズお馴染みの連続バトルモード「ブラッディパレス」も無料配信予定ということで、そちらを周回プレイしつつ待ちたいところですね。

というわけで、期待以上のクオリティとプレイの手触りを見せてくれた「デビル メイ クライ 5」。オススメです。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。