山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第133回

PS4の不安が早く解消されることを祈りつつ、“言葉を捨てたドラマ”の意欲作「THE QUIET MAN」が楽しみな話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

今週の出来事というと、やはりプレイステーション 4のエラーを引き起こす「特定の文字が含まれるメッセージ」の問題が大きいですね。

PS4のこの件については、すでにGAME Watchでの別記事にてお伝えしていますので、基本的な内容やそれの対策については、下記に記載している記事をご覧頂きたく思います。

記事掲載以降も、Twitterで「PS4クラッシュ」といった語句で検索するなどして経過を見ているのですが、詳しい記述は避けますが、シェア配信でもこの影響があるという件も新たに出ていて、悩ましいところです。

最も多い声としては、ゲームをしたくても不安な気持ちが強くてできないでいるというものが見受けられます。

そうした不安を払拭し、混乱を静めるという意味でも、ソニー・インタラクティブエンタテインメントからの正式なアナウンスや経緯報告がされること、ひいては根本的な解決がいち早くなされることを期待したいところです。

□プレイステーション 4のエラーを引き起こす「特殊メッセージ」による被害が急増中。公式に対応されるまではメール受信の設定の変更を
https://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1147821.html

話題は変わりまして、近日に発売されるゲームの中でも一風変わった試みでちょっと楽しみにしているものをご紹介。

スクウェア・エニックスから11月1日に発売されるPS4/Steam「THE QUIET MAN」です。

「THE QUIET MAN」は、実写のストーリーパートとCGのアクションパートで構成されたシネマティックアクション。

実写のときは映画を見るように、CGシーンはアクションゲーム的にプレイをするというスタイルですね。

独特なのがまず、そのボリューム。3時間で終わるという映画1本を観る+αぐらいのものになっています。

また、価格は1,800円(税別)とボリュームに合わせての控えめで、やはり映画館で映画を見るぐらい。

低価格でショートにサクッと楽しめるというインディーズライクなスタンスですね。

実写のストーリーパートとCGのアクションパートが融合してドラマが進みます
ライブ配信された「THE QUIET MAN」LIVE! vol.2より。プレイ時間は3時間で価格は1,800円(税別)。ただし、プレイ時間は実は倍の6時間になる

ゲームシステムにおける最大の特徴は、ゲーム内には「一般的なBGMやSEやボイスなどの音がない」ということ。

これを聞くと「え、実写を交えてドラマを楽しむゲームなのに音やボイスがないのー?」と思う人もいると思いますが、

それというのも、「THE QUIET MAN」の主人公デインは耳が聞こえないという設定で、ゲーム中は彼が体験している“音のない世界”をプレーヤー体験していきます。

そうしたゲームデザインから言葉によるボイスのセリフやBGMなどがないということですが、ただ、完全な無音なわけではなく、デインが身体で触れたものの感覚を音で表現したり、彼が生きている鼓動の強弱であったりという、

「音がない世界を生きている主人公デインが感じている世界」という独特なサウンドデザインに挑戦しているとのこと。

言葉の存在を廃したドラマになっているので、プレーヤーが映像や動きからどんなことが起きているのかを推測したり、想像で補完しながら楽しんでいくことになるという、かなり意欲的なチャレンジになっています。

もちろんそれだけで終わりではなくて、

発売から1週間後に無料アップデートで「2周目」となる「THE QUIET MAN -ANSWERED-」が配信されます。

この2周目は、1周目にはなかった「全ての音」が入っていて、ドラマの本当の真実がわかるという仕掛け。

1周目でプレイして音や言葉の情報を自分の想像で補完していたところを、2周目をプレイすればその答え合わせができるし、良い意味で裏切られることもあるそうです。

ざっくり言えば、「推理編」と「解明編」にわかれた2週連続のスペシャルドラマ……のようなアプローチとも言えます。

眼と手で理解する「1周目」と、音も加わっての真実の「2周目」の振り幅がどれほどのものになっているか次第というところもありますが、かなり斬新な体験が味わえそうですよね。

主人公デインは音が聞こえない。そのため、1周目のプレイは彼が体験しているのと同じようにプレーヤーにも、周囲からの声や音は聞こえない。プレーヤーは音のない世界から物語を掴んでいく
発売から1週間後に無料アップデートで追加される2周目「THE QUIET MAN -ANSWERED-」は、全ての音や声があって、起きていた物語の真実がわかるものになっている

おそらく「THE QUIET MAN」を1番楽しめるスタイルとしては、

発売日からできる限り早いタイミングで1周目をプレイして、Twitter等のSNSで自分なりの考察や捉え方を発信したり、逆に他の人の感想を見て回ったりしつつ楽しむ。1週間後の「2周目」を迎えたらその驚きを共有する。

それが理想型かなと思います。逆に、未プレイの段階で2周目のネタバレ的感想を見てしまったりするとちょっと辛い状況になりそうなので、それに気をつけつつ、できればやはりその危険が1番少ない発売日近辺にプレイしたいところですよね。

いわば、1~2週で楽しむライブイベントのような存在として「THE QUIET MAN」の流れに身を投じて楽しんでいくというところでしょうか。

もちろん、いずれ時間ができた時にプレイするというのでも良いと思います。ただ、他の人と話題を共有しつつのライブ感を楽しむのなら1番盛り上がる発売直後がいいというわけで、その辺は他のゲームとある意味同じ。

大作ラッシュの中に登場する、かなり独特な挑戦をしている意欲作。こういう大胆な試みをするゲームもあって欲しいと思います。

「ちょっと面白そうじゃない?」と感じた人は、ぜひチェックしてみてくださいね。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。