山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第138回

「Fallout 76」の評価が揺れるなか、家にフォトスポットを作ったりして2102年の生活を楽しんでいるボクの話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

2102年の荒廃した日々、楽しく生き延びてますか?

実は……、ボクはかなり満喫していますよ。

11月15日にいよいよ発売となり正式サービスがスタートした「Fallout 76」。

シリーズで初めてオンライン専用タイトルとなった本作ですが、世界中でこのタイトルの評価が揺れているところですね。

いわゆる海外レビューの集積による点数であるMetacriticのメタスコアは、11月20日時点でPS4版が49点、PC版が61点、Xbox One版が62と、基本的に低めでガタガタという状態。

ただし、このスコアはまだいわゆる大手のレビューサイトの点数は出ておらず、どこか慎重に取り扱われている気配も感じられます。

これはでも、実際にプレイしている人で、特に「Fallout」シリーズが好きな人からすると「まぁ『Fallout』だし、(意見が分かれるのは)そうなるよねー(今回もそうなるとはちょっと思ってなかったけど……)」と、なるところではないかなと思うんですよね。

思えば過去のシリーズも全て、すごく良いところがある一方で、主にバグ周りのダメなところが同居していて、点数で言うと80点とか90点のところもあれば、50点だなーと思うところもあったりで、減点方式でものを見る人だと悲惨な点数になるかもしれないけど、加点方式の人だと高くなったり。

「シリーズ作のどれが好きですか?」的な話でも、人それぞれ全然バラバラでまとまる様子もなく、でも、なんだかんだで愛されているシリーズみたいな。

そんなわけで、いわゆるAAA級タイトルの中でもかなり簡潔に評価するのが難しいシリーズだと思います。

世界中の雑誌やサイトのレビューを集積してスコアを出す、お馴染みMetacriticのメタスコア。「Fallout 76」のスコアはこちら(リンク先はPS4版)。かなり厳しいスコアですが、まだ大手のレビューが出ていなくて数が少ない状態だったりもします

今回はオンライン専用ということで、バグを主とした不満点を、従来シリーズのようにセーブ&ロードで回避できないこともあって、より大きな不満になります。一方で、「Fallout」の世界で他のプレーヤーと遭遇したり緩く絡んだり、一緒に探索したりできるというのは、なんだかんだ新鮮だったり。良いところとダメなところの同居っぷりも、よりエッジが効いている感じです。

世界設定的にも、今のところ人タイプのNPCが見当たらなかったり、コンパニオンキャラも今のところいなかったりで、従来シリーズのようにNPCとの会話やクエストでの回答を楽しみたかったり、相棒を連れてのプレイを楽しみたいという人からは寂しいという声が挙がっていて、それはもちろんボクもそう思ったり。

ただ、今作でも、一部のキャラクター(ローズとか)と出会うと、今はいないけどやろうとすれば、いかにも「Fallout」なテイストのNPCキャラ出せるよねって期待する自分もいちゃったり。なにしろオンラインゲームなので、アップデートで拡張していくために最初は要素を控えめにしているところもあるのではと思えます。

こんな風に、ダメなところを考えていくとどんどん点数が下がっていく感じのする「Fallout 76」ですが、「じゃあやっぱり全然ダメなの?」って聞かれると、「……妙に遊び続けちゃう中毒性はある」っていう答えになったりするから、また悩みます。

ラジオからのオールディーズな曲を聴きながら探索していくその味わいは、まさに「Fallout」そのものの良さですし、何があったのか想像できたりするちょっとしたオブジェクトの配置などにもセンスを感じて、気づけば気づくほど、じっくり注意深く探索すればするほどに、「これはこれでやっぱり『Fallout』に違いないし、楽しいなぁ」って思えたり。いわゆる、よく噛むと味のでるスルメ的な良さ。

「オンラインの中、この世界で生きていくことそのものを楽しんでいく」というような、よりサバイバルに主眼を置いた異色の「Fallout」というように捉えると、ボクは「こういう1本もあっていいかも」と思えるところがあったりします。もちろん今後にバグが減っていろいろバランスが調整されて拡張されていってという期待込みでですが。

さてさて、そんなボクの実際のプレイの様子はというと、実は結構満喫しているんですよ。

正直なところ、運がよかったんですよね。

今作ではある程度開けた場所に「C.A.M.P.」(Construction and Assembly Mobile Platform)という、という休息場所を作れます。いわゆる拠点のクラフトですね。

ボクは結構早い段階から、「ポセイドン エネルギープラントヤード」という、誰もが「美味しいアイテムやレシピが手に入るらしい」と聞きつけて訪れる、序盤の山場的なイベントの場所近くにこのキャンプを作ったんです。

すると、ポセイドン目的の人が、結構ボクのキャンプに訪れるようになったんですよ。

やってきた人の反応も様々で、

無言で作業台だけ使ってどこかに行ってしまう人もいれば、

お互いに親指グーのポーズをして、「良い家だな!」、「サンキュー!」って言ってるような気がしたり、

そのままチームに誘われてポセイドンのイベントに行ったりと様々。

そんなことからボクは、「人が訪れるのが面白いし、チームで探索に行くきっかけになるから、もっとキャンプを充実させよう」と思うようになったわけですね。

自分のためでありつつも、人が獲っていっても別にいいよという感じに野菜や水を多く作り、

写真撮影用のフォトブース的な一角を部屋まで作ってみたり。

どんどんキャンプを拡張しているうちに「建築アイテムのレシピがもっと欲しいなー」と思って、よりいろんなところに探索に行くようになって。

そんな中、他のプレーヤーの人のキャンプも充実してきているのを見かけるようになって、日を追うごとにゲーム内の様子が変わってきているのを感じます。

そうしてだんだんと、「プレーヤーの1人ひとりが、他のプレーヤーにとってのNPCのような存在」というところに近づいていくのかもしれないですね(もちろん、そう上手くいくわけではなく、実際はもっとカオスなものに発展しそうですが、それこそ「Fallout 76」の醍醐味かも)。

そんなわけで、ボクは運良くいい感じに「Fallout 76」ならではの楽しみ方を味わえている感じなんですね。もしこの流れになっていなかったら、もっと路頭に迷ったプレイをしていたように思います。なので、世間的に言われているのと同じ不満点もあるんですけど、良いところには独自性やポテンシャルも感じたりしています。ぶっちゃけ面白いです。

今のところ、楽しみ方を自分で見つけるという傾向が強いとも言えるかもしれませんし、そこにはオンラインゲーム初期の頃のプレーンなMMORPGを思い出すところもあったり。

家を建てて生活して、たまに誰かやってきたり襲ってきたりするというところは「えらく荒廃した世界版の『ウルティマオンライン』か!」なんて思ったりします。

発売日あたりからポセイドン近くにキャンプしている我が家は、探索から帰ってくると知らない人がよくいます。なので記念撮影ができるフォトスポットを作っておきました。もっと飾り付けたいんですけど、それにはレシピ探索に行かないとですねー

というわけで、一通り「Fallout 76」の雑感やプレイしている様子などを書いてみましたが、やっぱり良いところもダメなところも、ものすごくエッジが効いて同居していて。

ある意味、プレーヤー側の楽しみ方と付き合い方次第でもあって難しいゲームかもしれないとも思いますが、それもよく考えてみると、従来シリーズとやっぱり同じな気がしてきます。ハマる人はハマる的な。

同時に、「Fallout」特有の居心地の良さから来る中毒性も健在なので、「Fallout 76」もまた、他に代わりになるものがない独特なものだと思えるところです。

バグフィックスが進むのはさすがに前提として、ウエストバージニアのアパラチアの世界がどんな風になっていくのか、誇張抜きに予想がつかないところもあると思いますので、楽しみつつ期待したいですね。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。