山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第116回

E3ウィーク後半!今世代の区切りへ集結していくビッグタイトル、次世代の気配がわずかに漂い始めたカンファレンスの話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

世界最大級のゲームショー「E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)」に沸く1週間の前半となる各社のカンファレンスが終わりましたが、寝不足は大丈夫ですか?

まだブース出展のE3本編は開幕したばかり。カンファレンスには出てこなかった情報がまだまだ出てきますよ!

E3の会期中は、ブースからのライブレポートやインタビューなどが連日行なわれます。日本時間だと深夜の3時あたりからお昼頃までになりますが、最新タイトルのプレイの様子などがたっぷり見られますので、こちらも要チェックです。

・任天堂:https://e3.nintendo.com/

・ソニー・インタラクティブエンタテインメント:https://live.playstation.com/

・マイクロソフト:https://mixer.com/xbox

・スクウェア・エニックス:https://sqex.link/sep2018

任天堂のライブ配信「スプラトゥーン2 ワールドチャンピオンシップ」では、追加コンテンツ「オクト・エキスパンション」の配信が明日(!)の14日開始と発表!さらに、武器やステージの追加も2018年12月まで継続することも明かされた

さてさて、続いては今年のカンファレンスを振り返っていきますが、

昨年のE3はそれこそ「タイトル発表の谷間の年なんだな、おとなしいな」なんて思ったものですが、今年はそこからの反動もあってか、各社から大型タイトルが多く並ぶというタイミングの年になっていたなと感じます。

どのカンファレンスでも、ハードウェアやサービスの話は少なくてタイトルラインナップの情報に絞ったものになっていたのが印象的でした。

もちろん、人それぞれに好みや期待にフィットするタイトルの発表があったかなかったかで、「今年は良かった」という人もいれば、「今年はあまりパッとしなかった」という人もいるかもしれませんね。

そういう側面はありますが、個人的には今年は、近年の中ではかなり充実していた年だったなと感じています。

今年のカンファレンスで最も充実していたのは、やはりMicrosoftの「Xbox 2018 Briefing」ではないでしょうか。多数のゲームタイトル紹介をテンポ良く見せていったカンファレンスは、ストレートな強さがあり充実している印象を世界中に与えたことでしょう。

一方で、そんな「Xbox 2018 Briefing」の締めくくりには、フィル・スペンサーから「私たちは次のXbox Consoleにも取り組んでいます」という発言がありました。

これはインパクトがありますよね。公式に次世代機の話に触れたということですから。

とは言っても、次世代ハードに取り組んでいるというだけの意味なら、Microsoftだけでなく、ソニー・インタラクティブエンタテインメントも、任天堂も、いつでも技術研究を常にし続けているのが当然な話ですし、それをどこで区切り、発表から発売へと進めて行くかという話だったりするので、実は特に驚くような話でもないわけですが、その“ひとつの区切り”が訪れる兆しが、今年のE3からいよいよ始まったというわけですね。

そういう意味では、今年のカンファレンスで発表されたビッグタイトル群は、その“次の世代”へと移行するまでに発売されていく、今世代の締めくくり時期を彩っていくタイトルたちになると言ってもいいかもしれません。

「Xbox 2018 Briefing」にてフィル・スペンサーが最後に語ったのは次の世代への取り組みでした

実際のところいくつかのカンファレンスでは、次世代を見越しているのではというタイトルが見え隠れしていますよね。

わかりやすいものだと、ベセスダ・ソフトワークスのカンファレンス終盤にはトッド・ハワードが、「もう少し先の未来の話をしましょう」として、新規IPとなる「Starfield」を公開、さらに「その後のゲームも考えているんです」として、「The Elder Scrolls VI」を公開しました。これらタイトルはトッド・ハワードの言うように、まさに未来を見越して開発中のタイトルなのでしょう。

まだまだ次世代の気配が漂い始めたというだけで、未来がいつ訪れるかは誰もわかりませんし、少なく見積もっても2、3年はあるでしょう(もっと言えば2世代がクロスする移行期もあるわけで、次世代にすぐに切り替われるわけでもないです)。

また逆に、今回のカンファレンスで「これはきっと情報が出るはず」と思われていたのに出てこなかったというものは、もしかしたら次世代機へとターゲットが移った可能性も……あるのかもしれませんね。

「Fallout 76」の発売は海外では11月14日に。日本では……どうなるのでしょうか?

さてさて、そんなわけで今年のE3カンファレンスは注目したいタイトルがかなり多くて、全部を取り上げていたらきりがないぐらいなのですが、

国を問わず幅広く、広い世代から反響があっただろうというタイトルで言うと、

「バイオハザード RE:2」と「キングダムハーツIII」が筆頭に上がるのではないでしょうか。

「バイオハザード RE:2」は、「バイオハザード2」のリメイクとしてカプコンが以前から着手しているという話を公式的にしていたもの。なので厳密には初出ではなかったりしますが、このE3でついにゲーム画面が登場しました。

しかも発売日が2019年1月25日発売と、タイトル発表と同時に出たことも盛り上がりのポイントですよね。

しかし、その2019年1月25日はなんと、

「キングダムハーツIII」の発売日と同じ日!

これには「なんで同じ日なんだー! どうしたらいいんだー!」と、嬉しい悲鳴をあげている人もたくさんいることでしょう。

僕もそうですよ!

……本当にどうしたらいいんですかい?

そんな「キングダムハーツIII」ですが、僕が各カンファレンスの合間に片っ端から見ていたのが、「キングダムハーツIII」のE3トレーラームービーを見た海外ユーザーの反応……いわゆるリアクション動画というもの。

コアなゲームファン以外からも幅広く反響がある、リアクションが生まれているという意味では、「キングダムハーツIII」が今年1番のタイトルではないでしょうか。

その反応は様々ですが、

「アクア!?ノー!オーマイガー!!」

「カイリー!ソーキュート!」

「ホーリーシット!!リク レプリカ!?」

っていう感じで大騒ぎです。

声にならない人、泣き出す人まで。

……まぁぶっちゃけ動画映えを意識した“リアクション芸”みたいなところもあったりすると思いますが、こういうのも今どきの楽しみ方、表現のひとつということで。見ていて楽しいのは確かですしね。

いろいろな意味で物議を醸しているのは、やはり「The Last of Us Part.II」でしょうか。

昨年11月に開催された「Paris Games Week 2017」で公開されたトレーラーは過激なシーンの連続で、世界中のゲームメディアから困惑や批判の反応がありました。

それを経ての今回のE3では、いよいよインゲームプレイの様子が紹介されたわけですが、痛みの表現、リアクションの生々しさが凄まじく、それがこれまでのゲームでは感じたことのないレベルの緊迫感を、映像を見ているだけなのに生命の危機という感覚が呼び起こされるような、かなり強いシリアスさを生んでいます。

息を呑むという状況はまさにこのこと……という感じです。

見た目などの表面的なことだけではなく、より本質的な人の恐ろしさを描いているのがポイントで、感受性の高い人ほどそれを肌で感じるのではないでしょうか。

そんな「The Last of Us Part.II」ですが、これまでのゲームにはなかったものを投じているのは確かで、それは現段階では良くも悪くもということになりますが、その投げ込まれたものの強さに世界中に波紋が揺らめきます。

開発のノーティードッグは、ある意味では危険な賭けをしているのかもしれませんが、全力で投じられるその刺激は、世界の何かを変えるのかもしれません。いずれにせよ、生ぬるいものではないのは間違いありません。

これまでになかったもの、これまでのゲームでされてきた表現を超える生々しさ。

人間同士の痛み、人間同士の闇、人間同士の恐ろしさ。

それが世界のゲームシーンに何をもたらすのか?

批判されることも容易に想像できるほどの強い表現を使ってノーティードッグがプレーヤーに伝えようとしているのはどんな物語なのか。そこにあるテーマやメッセージ性はどのようなものになるのか。

もしかしたらそれは、今までどのゲームもたどり着けなかった、人の本質のさらに奥深いところを描くものになれるのかもしれません。

「The Last of Us Part.II」のチャレンジがどういう形に行き着くのかは定かではありませんが、いずれにせよ注目すべきものと言えます。

任天堂のプレゼンテーション「Nintendo Direct: E3 2018」では、

メカアクション「DAEMON X MACHINA(デモン エクス マキナ)」や、「ファイアーエムブレム 風花雪月」、Nintendo Switch版「フォートナイト」の本日配信開始に、「ゼノブレイド2」のDLC「黄金のイーラ」など、これはというタイトルがババッと紹介されましたが、

その後半は、2018年12月7日発売が決まった「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」をたっぷりがっつり紹介してそのまま終了していくという、予想以上に「スマブラ」祭りの内容になっていました。

……「スマブラ」情報を楽しみにしていた人は期待通りだったと思いますが、「スマブラ」はあまり興味がないんですという人だと、もうちょっと他のタイトルもあって欲しかった感じですかね?

他にもあらためて注目したいタイトル、E3カンファレンスの名場面をピックアップしてご紹介しましょう。

まずは当連載で毎年紹介している、E3カンファレンスで最も愉快なお祭りエンタメを見せてくるUBISOFT。今年も出だしから「ジャストダンス 2019」の紹介として謎のパンダを先頭にしたダンスショーを披露!

痛そうなリアクションが楽しいバイクスタントゲーム「TRIALS RISING」の紹介では、ステージ上で話始めようとする矢先にズッこけてスピーチ台を破壊してみたりと、やっぱりコメディタッチ。

今年のUBISOFTもいつもどおり、楽しい雰囲気No1のカンファレンスでした!

完全新規のタイトルで注目したいのは、VRアドベンチャーゲーム「Déraciné(デラシネ)」。

こちら、ソニー・インタラクティブエンタテインメントのワールドワイド・スタジオJAPANスタジオと、フロム・ソフトウェア、宮崎英高氏がディレクターという、PS4「Bloodborne」と同じ組み合わせで作られているタイトルです。

“古典的アドベンチャーゲームを、最新のVR技術で描く”ということで、PS VRをお持ちの人は要注目ですね。発売は2018年内を予定しているとのこと。

久々のナンバリング新作発表に沸いた「デビル メイ クライ5」!ネロが青いよ!

コジマプロダクションが手がける「DEATH STRANDING (デス・ストランディング)」の4本目になる最新トレーラー公開

フロム・ソフトウェアとActivisionのタッグがおくる完全新作アクション・アドベンチャー「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」

プラチナゲームズ×スクウェア・エニックスの新作「BABYLON'S FALL」

というわけで、折り返しを過ぎたE3 Weekですが残りも楽しんでいきましょう!

ではでは、今回はこのへんで。また来週。