山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第117回

あれから約14年、その気持ち良さとHD振動で今も僕をシビレさせるゲーム「ルミネス リマスター」の話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

6月26日にプレイステーション 4、Xbox One、Nintendo Switch、Steamで配信開始となった「ルミネス リマスター」の魅力を伝えるには、まずは、約14年前のことをお話しなければなりません。

およそ14年ほど前。僕の家に遊びに来た友人が、僕のことはそっちのけで何時間も黙々とあるゲームをプレイし続け、プレイが終わるやいなや「それじゃ!」っと、さっさと帰っていって「お前はいったい何しに来たんだ!?(笑)」とつっこんだ出来事がありました。その友人がプレイしていたのが「ルミネス」でした。

当時の僕はそこまでは「ルミネス」にのめり込めていなかった(購入していたものの他のゲームのやり込みが先になっていた)のですが、その出来事があったことで、友人をそこまで夢中にさせる「ルミネス」をやりこんでみなければ、と思ったんですよね。

そして、そのヤバさを知っていったわけです。

14年前の2004年12月12日。PlayStation Portableのローンチタイトルだった「ルミネス」。そのリマスターが配信開始となったので、今回はその魅力と恐ろしさ、プレイのコツをお伝えしましょう

「ルミネス」というゲームは、いわゆる落ちてくるブロックを上手く組み合わせて消していく“落ちものパズル”。

なので、ある程度コツを掴むまでは「そんなに言うほど夢中になるゲームかなぁ?」って思う人もいると思うんです。

実際、当時の僕も最初はそうでした。

ですが、消し方のコツやブロックの積み方のコツが身について、何も考えずとも自然にできるようになった頃に突然、

「ルミネス」というゲームが変貌を遂げるんですよ。

静かな心で、身についた消し方を指が勝手に行ない続け、耳はサウンドを、眼はまばゆい光のエフェクトを追い続け、それがいつしか終わったときには「やっぱり『ルミネス』最高だな……!」っていう気持ちで満たされ、日常のストレスが溶けてすっきりとした気持ちに。そして、なかなかの時間が経っていることに驚く。

そんな風になるんです。

コツはいろいろありますし、ちょっとググってみたら当時の攻略サイトが今もわんさか出てきましたので、詳しくはそちらをご覧頂く方がいいかと思うのですが、プレイし始めたばかりの人が意識するべきポイントをいくつかあげると、

・ブロックを上に積んで消すのではなく、横に置いて消す
・連鎖で消すのではなく“まとめて消す”が大切
・タイムラインが過ぎるギリギリにブロックを繋げようとするのはダメ
・積み上がってきたら“自由落下の速さでゆっくりプレイしてタイムライン通過を待つ”

だいたいこの4つを意識すると、だいぶ変わるのではないかなと思います。

落ちものパズルっていうとどうしても上に積んで消すもの……と考えがちですが、ルミネスの消える判定は「タイムライン」という左から右に流れていくラインになっています。そういう意味では、画面の1番右が1番下みたいな考え方をしてもいいかもしれません。

タイムラインが1周する間に4つ繋がったブロックに、次々と他のブロックをくっつけていって、大きな塊にして一気に消していくのが「ルミネス」の醍醐味であり、基本の消し方になりますが、その気持ち良さを覚えたプレーヤーが最初にハマる罠が、

“タイムライン通貨ギリギリ間に合わなかったブロックが半端に残ってヤバイ問題”

です。

もう読んでそのままなんですけど、「このブロックもくっつけてまとめて消したい!」って思うんですよね。思うんです。でも、タイムライン通過に全部はギリギリ間に合わなくて“狙いの半分だけ”消えたりするんですよ。

半分だけ消えて、もう半分は間に合わずに残骸として残る。

その半分が消しづらい残骸となるのがやばいです。ゲームオーバーの元です。

それを理解して、タイムラインがギリギリなときはやめておくという意識が身につくと、

「ルミネス」というゲームは“タイムラインが1周するリズムに合わせて考えて操作するゲームなんだ”ということがわかってきます。

すると、自分の思考と操作がタイムラインのリズムに同期するようになっていくんです。それはすなわち、各スキンの楽曲のリズムにシンクロしていくということで、そのサウンドと本当の意味でシンクロするプロセスが完全に身についたとき、

「ルミネス」というゲームが変貌を遂げるんです。

「ルミネス」のルールの中で最も重要なのが「タイムラインが過ぎたらブロックが消える」ということ
上のようにタイムラインが過ぎ去るギリギリのところに欲張ってブロックを繋げようとするのは厳禁。下のように結局消えず、意図しない残骸が残ってしまい、ゲームオーバーの元になります

スキン(背景と曲をまとめてそう呼びます)ごとにタイムラインが動くスピードが変わるのですが、タイムラインを意識することの重要さが身についたプレーヤーは、逆に言うと、タイムラインのスピードによって操作のリズムがコントロールされます。

タイムラインというメトロノームに合わせて操作していると、自然にサウンドと操作音が一体になっていって、他のゲームでは味わえない気持ち良さが生まれる作りになっているんです。

プレーヤーはあくまでゲームシステムを理解して上手く落ちものパズルゲームをプレイしようとしているだけなのに、それで操作音とBGMの音楽的なセッションが自然に生まれるようにできている。

一見すると音ゲーには見えないのに、実はある意味では音ゲーなんです。

いやぁ、今あらためて考えても天才的。すごい。

タイムラインに合わせてプレイすることがカンストへの道の第一歩であり、それによってサウンドと操作のリズムが自然に噛み合っていく巧みな仕組みになっているのが「ルミネス」の恐ろしいところ

そんなわけで、6月26日にプレイステーション 4、Xbox One、Nintendo Switch、Steamで配信開始となった「ルミネス リマスター」。

僕はNintendo Switch版をプレイしているのですが、こちらの「ルミネス リマスター」インタビューでディレクターである石毛英一郎さんに魅力をご紹介頂いたとおり、Nintendo Switch版はHD振動が最大の魅力なわけですが、

「ルミネス リマスター」でのHD振動の威力はかなりのもの。リズムをメリハリつけて表現力たっぷりに手に伝えてくるんです。眼と耳だけでなく触感でもシンクロしている気持ち良さを味わえるというわけですね。

また、Joy-Conだと最大で4セット、つまり合計8個を同時使用可能で、操作に2個使い、その他の6個は体に着けて、振動を味わうということが可能なのも斬新。

我が家には残念ながら2セットしかないので操作に1セット体に1セットで今のところは楽しんでいるのですが、1セットだけでも結構なもので、体にぴったりフィットさせるとリズムがズンズン体に響きます。

今は「ルミネス リマスター」用にJoy-Conを買い足そうかと計画中です。

ちなみにツイッターを見てみると、下のようなツイートが。

Joy-Con4セットを揃え、体にしっかりくくりつけるためのアームバンドも!ツイートでは安く売っていたiPod nano用のバンドを入手したとあります。これはちょいとマネしたくなりますねー。

そんなわけで、14年経った今でも……むしろ今では逆にそうした「プレイそのものが気持ち良い」という本質的な良さを持っているゲームが少なくなったかもしれない中、「ルミネス リマスター」はむしろ新鮮なほど。

もちろん、Nintendo Switch版以外も、4K解像度対応や振動対応があり、早期購入特典のデジタルアイテムもあってオススメ。価格も1,800円と低価格。

「ルミネス リマスター」の魅力を知っている人も、知らないという人も。ゲーム好き音楽好きな人に、オススメですよ!

……いつか「ルミネス II」とか「メテオス」も改めてリマスターでプレイしたいっ!

というわけで。

ではでは、今回はこのへんで。また来週。