山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第141回
「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」強い!いろんな意味で、の話
2018年12月12日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
「スマブラSP」強いですねー、強い。いろんな意味で。
いよいよ、この冬のNintendo Switchのビッグタイトル「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL(以下、『スマブラSP』)」が発売されました。
睡眠時間を削ってやりこんでいるという人も、たくさんいるでしょうねー。
ボクもその1人で、ひとたびプレイし始めると、「とりあえずキャラクターを全員開放させたいよね」という気持ちから始まり、「あのモードもやりたい、このモードもやりたい……」とプレイして、気がつくと結構な時間が過ぎているという有り様です。
SNSを見てもプレイしている人の数や感想の量は今年トップクラスと言っていいほどに多いですし、
ゲーム制作に携わる、いわゆるゲーム開発者な人の感想では、「この作り込みとコラボ参戦キャラクターの数で価格が7,200円だなんて、あり得ない……」と、感心するのを通り越してちょっと引いている声すら見かけたほど。
ゲームにおけるサービス精神やエンタメ感のお手本……とするにはハードルが高すぎるほどのものがありますね。任天堂ならではというか、今までのシリーズ以上に他では真似のできない1本だなと感じます。
今年の前半から「Nintendo Direct」等で最新情報の公開や、参戦キャラクターの発表をして盛り上げ続け、そのまま発売まで存在感を保ち続けた「スマブラSP」。その展開は、昨年に「スーパーマリオオデッセイ」がプレイ映像の公開から主題歌PVの公開などで年間を通して盛り上げていたのを踏襲しているかのようなものがありました。
さらに、発売当日には追加コンテンツで「ペルソナ5」の主人公ジョーカーの参戦というサプライズ発表まであって、それもまた爆発的に話題になりました。
ジョーカー参戦とあれば、今後どんなキャラクターが追加参戦になるのか、本当に予想がつかなくなるものがありますし、期待も広がります。
このあたりの見せ方や盛り上げ方が、本当に上手いですよね。
年間を通して、昨年の「スーパーマリオオデッセイ」以上に話題性と存在感の強さ見せたと言ってもいいのではないでしょうか。
その存在感の強さ。
「スマブラSP」強い。
2017年は「スーパーマリオオデッセイ」、2018年は「スマブラSP」と、年間を通して話題を作った任天堂タイトルが登場しましたが、来年もそうした1本が現われるのか? 現われるとしたらそれはどの作品なのか。「どうぶつの森」がそこに当てはまるのか、それともまた別の何かが出てくるのか。なにはともあれ期待したいですね。
さてさて、そんな「スマブラSP」ですが、実際にプレイしてみると、その収録量や密度にあらためて驚かされます。
特に、個人的に気に入って居るのは「スピリット」。
プレイキャラクター以外にも、任天堂作品や参戦作品のキャラクターが登場するスピリットですが、その面白ネタの量や、組み合わせが絶妙なんです。
スピリットを手に入れるには戦って勝利しないといけないんですけど、戦うのはあくまでプレイキャラとして使用できるファイター。そのため、スピリットキャラをどこか思わせるようなファイターとの組み合わせがたくさん用意されているんです。
例えば、「ストリートファイター」シリーズの「ジュリ」のスピリットは、ファイターの「ベヨネッタ」と組み合わさっていて、
「確かに黒髪でちょっとサディスティックな感じとか似てますけど!」
となったり、
「メタルギアソリッド」シリーズからの「ザ・ボス」は、「ゼロスーツサムス」と組み合わせになっていて、ぴったりしたスーツとかっこいい女性の強さ的な感じが、確かに近いよねーとなったり、
同じく「メタルギアソリッド」シリーズからの「メタルギアRAY」は、「ポケットモンスター」の「ゲッコウガ」とペアになっていて、
「……フォルムは確かに似ている!」となったり。
組み合わせが非常にユニークな発想で作られています。
しかもそれらは特に言葉で説明しているでもなくて、気がつく人は気がついてくれるだろうというような、それとない繋がりなんですよね。
たくさんのゲームを知るゲームファンであればあるほど、いろんなところに反応してニヤッとしてしまうような。
もちろん組み合わせだけでなくバトル中の動きにもユニークなネタが入っていて、
「押忍!闘え!応援団」の応援団のスピリットが「ストリートファイター」シリーズのリュウとペアで登場して、「硬派繋がりだなー」なんて思いつつ戦ってみると、
バトル中はリュウがセービングアタックの正拳突きをそこら中で連発していて、まるで「押忍! 押忍!」言っているかのようなスタイルになっていたり。
まさに「スマブラSP」でしかできないような面白ネタが詰め込まれていて、それがまた上手くできているんですよ。そういうのをもっと見たくて、ズルズルと遊び続けちゃいます。
一方で、シリーズ初めてという人は、このお祭り感や取っつきの良いライトな雰囲気とは裏腹な、難易度の高さに苦労している人も多いかもしれません。
実際にボクも使用ファイターを増やす挑戦者に負けて、うへーっとなったりしてます。
そうなんです、意外とCPUが強いんですよ。
スマブラ強い。CPUが。
ただ、今作が特別難しいのかと言うとそうでもなく、「スマブラ」シリーズのCPU戦はいつも結構ギリギリを迫ってくるような難易度になっているんですよね。
というか個人的には「スマブラ」だけでなく、任天堂タイトルの難易度は結構ギリギリ高めをついてくるよねという印象もありますが。
もちろん、「もっと手軽に使用キャラ増やしたいよー」という人もいると思うのですが、そこは本気で取り組んでギリギリで勝利したときの喜び、達成感を得るという、遊びごたえとのトレードオフになったりします。あまり簡単過ぎると作業感になる場合も。
「ファイターを増やしたい!」というゲーム全体の中でも最大級のモチベーションを原動力に、努力して上達していくというのが、「スマブラ」に本当にのめりこんでいく最初の第一歩だったりしますよね。
「好きなキャラクターを最初から使いたいよ!」という気持ちも当然わかりますけど、挑戦者に勝つためにいろんなキャラを使ったり戦い方を試しているうちに、お気に入りなファイターが増えたりすることも。
そうした工程で培われる、忍耐、努力、いろいろ試してみるというアプローチの工夫、そして、そうした積み重ねから何かを達成するという経験は、ゲームから学べる中でも結構かけがえのないものだったりします。
悔しがりながらも本気で何かに挑み続けるというのは、尊いです。
……まぁ、こんな偉そうなことを書いているボクも、挑戦者の「キングクルール」に負けたときに「ちょ、おまっ! このワニ野郎っ!」みたいにカッとなりましたけどね。
小さい子が上達するのなんてあっという間ですから、逆におじさんら大人ゲーマーの方が苦労するやもしれませんよ。
そんなわけで最後に、ボクなりに、苦戦しそうな挑戦者キャラに勝つためのポイントをいくつか書いておきましょう。
まずは「キングクルール」。「キングクルール」は頭突きが強いので、下に入られないように気をつけつつ、横攻撃や、逆にキングクルールがジャンプしたところを上攻撃で突くようにしていきたいですね。ステージの「ジャングルガーデン」は1番下が流れる川になっていて、いわゆる初心者殺し的なところがあるので、中央キープで戦いたいところです。
次は「デデデ大王」もやられがちですかね。「デデデ大王」は上と横の攻撃が強く、さらに画面外への追い込みも強烈なので、やはりステージ中央からダッシュ攻撃を主体で削っていくのがオススメです。吹っ飛ばされても復帰しやすい「カービィ」あたりが戦いやすいかもしれません。
「スネーク」も挑戦者でまともに戦うと思いがけず負けがちかもしれません。CPUのスネークは横に対する攻撃や、小ジャンプからのふみつけ攻撃が強烈なので、まともに同じ高さでやり合うと危険。下に入って突き上げるように攻撃していきたいところです。
ちなみに、挑戦者に負けてしまった場合は、いずれかのモードで何戦か戦っていると、「いろんなあそび」のところに「挑戦者の間」という扉が出現するので、そこから再挑戦できます。
ちなみに、はじき入力の技やジャンプが暴発しちゃうという人は、「オプション」>「ボタン」>「その他の設定」から、設定を変更するのもオススメですよ。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。