山村智美の「ぼくらとゲームの」
クッパ姫の流行にミニハード続々、ビッグタイトルラッシュに危惧も感じたりで、今年もいろいろありました!の話
2018年12月26日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
今年も残すところあと数日となりました。今年もこの時期がいよいよやってきましたね。皆様にとって、この1年はどんな1年だったでしょうか?
穏やかな1年でしたか?
それとも、いろいろなことがあった激動の1年だったでしょうか?
「平成最後の……」という言葉とともに、いろんなことに区切りや節目がついて。ボクはちょっと寂しい気持ちになることも多かったような。そんな1年だったなと思いますヨ。
今回はこの連載の2018年最後の回になりますので、
毎年恒例、この1年のゲームシーンのいろいろを振り返っていきたいと思います。
まず、2018年最初の大きな話題は1月のPS4「モンスターハンター:ワールド」発売がありました。「そうか、まだ1年も経っていないのかー」と感じる人もいそうですけども、次の1月で1周年を迎えていきますね。先日には、2019年秋に登場予定の大型拡張コンテンツ「アイスボーン」も発表されましたし、来年のホリデーシーズン頃にもまた大きな話題となっているのではないでしょうか。
2月には、日本eスポーツ連合「JeSU」が発足したことで、eスポーツについての論議が過熱したのも印象深い出来事ですね。
eスポーツにおいては、そこからこの1年で様々な広がりを見せるとともに、ゲーム大会の頃から共通する収益化の難しさなどの課題も引き続きあり、今後どれぐらいのものになるのかはわからないところがあります。いずれにせよ多くのゲーム好きの人にとって、「自分にとってゲームとは何か」を考える機会になったと思いますし、それ自体は良いことだったのかなと思います。
もう1段階ステップアップして領域を広げていくためには、「企業が権利を持たない無償のeスポーツ用タイトル」の誕生が求められるところがあるのですが、それはさすがに未知の領域であり、まだまだ難しいでしょうか。この1年という言わば最大のチャンスと言える時期に、そうした展開の兆しが見られなかったのは、残念なことなのかもしれません。
3月になると「フォートナイト バトルロイヤル」の日本語版がリリースされました。PvPモードは基本無料ということもあり、リリース後の国内での「フォートナイト」人気はかなりのものがありましたねー。ゲーム配信等の数も非常に多くて、総合的なムーブメントの大きさとしては今年トップクラスのタイトルと言っていいと思います。
4月~6月のE3開催あたりまでには、「ゴッド・オブ・ウォー」の発売、「Nintendo Labo」の発売、セガフェス2018での「メガドライブミニ(仮)」制作の発表、「Nintendo Switch Online」の9月正式サービス開始告知などが話題になりました。
7月には、“今年に発売された完全新規タイトル”だとおそらくトップクラスに話題となった「オクトパストラベラー」が発売されました。そのプレイの手触り、楽曲の良さ、独特なグラフィックスと、いずれも優れたタイトルでした。プレイしそびれているという人、特にRPG好きの人には、この冬にでもぜひ遊んでみてもらいたい1本ですね。
また、7月には往年のゲームハードをミニサイズで発売するという流れから「NEOGEO mini」が発売されました。12月には「プレイステーション クラシック」も発売されましたし、往年のアーケード筐体を家庭用サイズにした「ARCADE1UP」も発売されるなど、定期的にミニハードの展開が話題になりましたね。来年も「メガドライブミニ(仮)」が控えていますし、今後もまだまだ続いていくのではないでしょうか。
8月以降となると、まだ、みなさんの記憶に新しい話題がほとんどと思いますが、東京ゲームショウ2018の開催と同時期に「クッパ姫」が流行ったのがインパクトが大きかったですよね。クッパ姫は今年の中でもかなり独特な現象でした。
きっかけとなったのは「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」の新要素である「スーパークラウン」をキノピコが取ると、ピーチ姫風の見た目をしたキノピーチになるというもので、「それならクッパ姫がスーパークラウンを取るとどうなるの?」という話だったわけですが、
そんな「New スーパーマリオブラザーズ U デラックス」は2019年1月11日という、年明け早々に発売予定。ソフトが実際に発売されて何か新しい要素が判明してくると、クッパ姫のムーブメントがまた少し再燃するのかもしれませんね。
9月以降は、いわゆるブラックフライデーからホリデーシーズンのタイトルラッシュの時期。今年はとくに海外タイトルの密集度が高く、「Marvel's Spider-Man」、「アサシン クリード オデッセイ」、「コール オブ デューティ ブラックオプス 4」、「Forza Horizon 4」、「レッド・デッド・リデンプション2」、「ヒットマン2」、「Fallout 76」、「バトルフィールド V」などが連なって発売されていきました。
そして12月に入ると、「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」や「ジャッジアイズ 死神の遺言」、「ドラゴンクエストビルダーズ2」といったタイトルが話題となったというのが、ここ最近のお話ですね。
今年は、(ミニハード系を除けば)新しいゲームハードの発売や発表はありませんでしたが、そのぶん、いわゆる“ソフトの収穫期”と言える年でした。開発環境もこなれ熟成されて、かねてより制作が進められてきた充実したソフトが次々に発売されていくという時期ですね。
実際にAAAクラスの大型タイトルから意欲作まで、特に今年の後半には様々なタイトルが発売されたわけですが、しっかりと好評を得ているものがある一方で、どこかバランス感覚を崩しているところがあり、期待のハードルを超えられなかったというタイトルもありました。
そうしたところから、新作ゲーム購入に対して慎重になってしまう空気が出てしまったのか、前評判よりもどこか低調になってしまったところが見受けられます。
それに加えて今年は、発売間もないタイトルなのに結構な値引きをするセールが行なわれたのも、個人的には危惧するところです。この年末年始もいずれのゲームハード・PCでも大規模なセールが開催中ですが、そこにもまだ発売間もないタイトルの大幅なセールがあります。
発売を楽しみにして発売日にすぐ購入したものの、期待を越えなかったり合わなかったりだったゲームが、発売から1~2カ月程度で結構な値引きをされてしまうと、まぁ辛いですよね。
これについては紙一重なところがあって、発売日に購入した期待のゲームが期待を越えるものであれば、年末に多少の値引きがされたとしても、「うわぁ安いなぁ、でも発売日から今日まで十分に楽しめたし、良いゲームだからもっとたくさんの人にプレイして欲しいから、まぁいいか!」ともなるわけで。ようは満足度や納得度次第なんですよね。ですが、それが低いと負のスパイラルに陥ってしまいます。
今年の状況では、「新作を発売日に買うのはやめようかな……」と考えるユーザーが増えてしまうのも頷けるところで、ゲームメーカー自らが未来を閉ざしているともなりかねません。
先週に発売された「ドラゴンクエストビルダーズ2」に関しても、公式に進行不能バグについてのアナウンスがされていて、個人的にも発売を楽しみにしていたぶん、とても残念な気持ちでいるのですが、この1週間にあったそうした影響もありつつ、今年は全体的にユーザーの購入意欲を慎重にさせてしまうような話がどうにも気になったところ。来年はそういうことがないといいなと願うばかりです。
ちょっとネガティブな総括を先に書いてしまいましたが、もちろん良いタイトルもたくさんありました。
今年の中でも1、2を争うぐらいに夢中になってプレイしたのは、PS VRでオンラインFPSを実現した「Firewall Zero Hour」。そして、ジャンプアクションをVRで進化させた「ASTRO BOT:RESCUE MISSION」、さらに定番パズルを恐ろしく気持ちのいいものに進化させた「TETRIS EFFECT」ですね。いずれもPS VRタイトルなのが奇しくもというところですが、体験の新しさや進化を感じられるところが、ボクの心を捉えたところがあるかもしれません。
VRゲームの入門に「ASTRO BOT:RESCUE MISSION」を、コアなゲームもやりたいとなったら「Firewall Zero Hour」、他では味わえない独特の感覚に浸りたければ「TETRIS EFFECT」といったところでしょうか。……PS VR買ったらとりあえず3つともいっておけばいいんじゃないですかね。
インディーズタイトルも今年は良作がたくさんありましたね。山登りという斬新な題材ながらドラマティックなジャンプアクションが歯ごたえ満点の「Celeste」、ひたすらに遊びこめる「Dead Cells」、独特な世界感とスコア稼ぎの上手い仕組みが癖になる横スクロールシューティングの「BLACK BIRD」もオススメです。
年間を通して話題を呼んだタイトルとしては、「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」と「キングダムハーツIII」が双璧だったかと思います。どちらも大きな発表の場である「E3」や「gamescom 2018」などで新しいPVを公開してきましたが、その都度、他を圧倒するほどの大きな反響を生みました。
そのうちの一方である「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」は、前評判の高さにしっかりと応える内容をひっさげて発売され、実際にプレイしていっても、あれだけのキャラクター数がいながら、どのキャラも強めで使っていて楽しいというバランスで整っていたりと、出来の良さに驚かされるほど。
というわけで、2018年はポジティブなこともネガティブなことも入り交じって、ちょっと思うところのある複雑な気持ちで終わっていくという感じになりました。
正直なところ、あんまりすっきりしないですねー。
来年はもっと褒めても褒めても足りないぐらいになって欲しいところです。
年明けの1月は、これまた大作ラッシュですね。
「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」、「バイオハザード RE:2」、そして、2018年に大きな反響を生み続けた「キングダムハーツIII」と、国内メーカーによる世界的にも期待されるタイトルが続けざまに発売されていきます。
その後の2月~3月も、「キャサリン・フルボディ」、「DEAD OR ALIVE 6」、「ファークライ ニュードーン」、「ANTHEM」、「デビル メイ クライ 5」、「ディビジョン2」、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」と、かなりの密度です。
来年は、日本では平成が2019年4月30日で終わって新しい元号となるという“大きな新しい始まり”が訪れるわけですが、ゲームシーンにもそろそろ新しい始まりが見えてくる……かもしれません。
どんな年になるのか、不安も期待も入り交じりつつですけども、ゲームは楽しむことが1番大事ですので。それが好きなゲームファンたるもの、どんな時代でもいつでも楽しんでいきたいですね。
というわけで、いろんなことを考えさせられるところもあったような2018年でした。
平成最後という言葉がいろいろなことを彩っていった1年が過ぎ去っていきます。
いろんなことが終わって、いろんなことが始まる前だったような。
そんな、なんだかんだで印象深い1年だったのかもしれませんね。
ありがとう2018年。忘れない。
ではでは、今回はこのへんで。よいお年を!
【お知らせ】
1月2日は連載をお休みさせていただきます。次回掲載は1月9日となります。