山村智美の「ぼくらとゲームの」
連載第72回
迫るシャケ、飛び散るインク！危険で過酷なアルバイト「サーモンラン」が楽しい「スプラトゥーン2」の話
2017年7月26日 12:00
この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。
こんなに暑いとゲソ焼きになっちゃうよ的な夏真っ盛りですが、エアコン効かせた部屋で撃ちまくってますか？「スプラトゥーン2」です。遊べば時間が消し飛びます。エンドレスイカサマー。
先週の金曜日、21日に発売となった「スプラトゥーン2」ですが、先週末ずっとプレイしていたっていう人も多いのではないでしょうか？ 僕もずっとやってました。
お気に入りはやはり新モードの「サーモンラン」。波状攻撃（Wave）で押し寄せてくる敵を仲間と協力して撃退する、いわゆるWaveとかHORDEといった名前がついているモード。
コアなゲーム好きの人だと「Gears of War」シリーズのHORDEモードなどでお馴染みですけど、シュータージャンルそのものからして、「スプラトゥーン」以前は子供が気軽に触れられるタイトルはあまりなく、いわゆる高校生や大学生以降の大人向けなジャンルでした。
その中にあったWaveモードという遊びも、やはりコアなゲーム好きの知るところだったように思いますが、「スプラトゥーン2」に「サーモンラン」が加わったことで、Waveモード未体験な全国のキッズもその面白さにどハマり間違いなしというわけです。
全国のキッズだけでなく僕もどハマりですが！
子供も楽しめる……なんて言いつつ、そもそも「サーモンラン」の世界観というかアプローチが奇抜なんですよね。
何気なく訪れたプレーヤーに物腰柔らか、優しい言葉でアルバイトの誘いをするクマサン商会のクマサン。そんな言葉とは裏腹に、実際の業務では過酷な環境に放り込まれてひたすら労働を強制されるブラックアルバイト的なテイスト満載。
プレーヤーたちイカは押し寄せるシャケを狩ってイクラを集めるという、冷静に考えるとシュールにもほどがある世界観です。
そんなブラック＆シュールなテイストがクセになる「サーモンラン」ですが、ゲーム的にもいい感じにクセになるバランスをしています。苦戦しつつギリギリで乗り越えられるときもあれば、惜しいところで全滅するときもあり、満足しきるまで「もう1回やろう……！」が止まらないナイスなバランス。
前に出すぎると絶妙な追い詰められ方をするマップしかり、倒し方が明確だけど上手く処理できないと厳しくなるオオモノシャケたちしかり、干潟の激しいラッシュ、満潮のときの狭い足場に押し寄せるシャケ軍団。プレーヤーにヒカリバエがまとわりつき、そこに狂ったように迫ってくるキンシャケ。ギミックが豊富です。
理解度と手際のいい戦い方が重要になるので、プレイするほど上達するし、上達すれば上達すればするほど、より厳しくて激しい戦いになっていき、楽しさが加速していくというわけで。Waveタイプのゲームの醍醐味ががっつり味わえます。
まさに“クセになる楽しさ”なわけですが「サーモンラン」はいつでもプレイできるわけではなく時間限定なモードになっているのもポイント。ブラックな雰囲気ぷんぷんのアルバイトなのに「バイトしたい！ バイトさせろー！」みたいな気持ちに。
「スプラトゥーン」は“敷居が低くシュータージャンル未体験な人にもオススメできるタイトル”と思いますが、今作の「サーモンラン」は“あらゆる人にオススメできるWaveモード”ですね。これをきっかけにWaveモードタイプのゲームの楽しさを知る人がたくさん生まれているのだと思います。
Nintendo Switchは持っているけど、シュータージャンル未経験で「スプラトゥーン2」は様子見しているという人もいらっしゃるとは思うのですが、ぜひ手を出してみてもらいたいです。
次々に上陸するシャケ、インクビームを放つタワー、放り込まれる巨大なインクバクダン、足下から突然突き上げてくるモグラ、きらめくインクに飛び散るインク。
……やられた仲間と浮輪姿で集まって生き残ってる仲間へと「ナイス！ナイス！」を連打すれば、この夏最高の思い出になる……ような、ならないような。まぁ、とりあえずなんか楽しいことは間違いないです。
ではでは、今回はこのへんで。また来週。