【特集】
【メガドラミニW AE収録タイトルレビュー】「シャイニング・フォースII 古えの封印」
プレイの快適さは特筆モノ! BGMも最高にお気に入りなシミュレーションRPG
2020年3月24日 00:00
- 1993年10月1日発売
「シャイニング・フォースII 古えの封印」は1993年10月1日に発売されたシミュレーションRPG。前作「シャイニング・フォース ~神々の遺産~」が1992年3月発売なので、約1年半ぶりのリリースとなる。
筆者は実はメガドライブミニで初代「シャイニング・フォース」をプレイした。その感想はこちらでレビューしているが、実は筆者がアジア版を購入したのは、「シャイニング・フォースII」が収録されているからなのだ。筆者にとって初代「シャイニング・フォース」は、耳心地のよいBGM、アイコン表示のメニュー、戦闘時のアニメーションの小気味良い動きなどゲームの完成度として、プレイして楽しいゲームとして、とてもお気に入りのゲームとなったのである。
舞台となるのは前作の舞台より遥か北方に位置するグランス島であり、タイトルこそ2の名を冠するものの、前作の絡む要素は一切なく、独立したストーリーになっているのも好感触だ。何より前作同様プレイしやすく、そしてBGMがいい。アジア版を買って良かったと実感できるゲームだ。
ゲームを起動すると、タイトル表示の前に比較的長めのオープニングデモが流れる。そこでは盗賊のジッポとその手下2人が伝説の「光と闇のジュエル」と呼ばれるお宝を探してとある古代遺跡を探索しているところだった。探索を続け、ついに「光と闇のジュエル」を発見するジッポ。ところがジュエルを外すと古代遺跡は地響きを立てて崩れだしてしまう。
時同じくして、グランシール王国では、古えの塔に落雷が起こり、今まで開いた事のないはずの開かずの扉が開いたとの報が入る。そして王は何者かの襲撃を受けて倒れてしまうのだ。明らかにこれジッポが何かやらかしたよね? という展開だが、デモはここで終わり、タイトル画面が表示される。
明らかに波乱の予感しかしないデモを見せられて、不安な気持ちでゲームを開始するとそこには怪しげな老婆が姿を現わす。前作では女の子が読んでいる絵本というメルヘン感だったが、本作ではうってかわって、老婆が怪しい鍋をぐつぐつしている状況で呼ばれる、というホラー感のある雰囲気に変わった。思わず「たべないでくださーい!」と叫びたくなる。
前作同様、ここでネームエントリーをしてゲームを開始すると、そこは平和なグランシール王国で、本作の主人公となるボウイという少年を操作できるようになっていた。ボウイは一人前の剣士を目指して、賢者アストラルの下で修行に励む日々を送っているところから物語は始まる。
システムは前作とほぼ変わらない。RPGモードでは街を自由に移動し、住民と会話して情報を収集したり、店で買い物できたりする。教会ではデータのセーブなどが行なえる。個性的なアイコンによるコマンド選択も同様だ。塔や洞窟などの戦闘が関わるエリアに入ると、いきなりシミュレーションモードに切り替わる。
シミュレーションモードの仕様も同様で、提示された目標に従い、敵ユニットと自軍ユニットで戦闘を行ない、目標達成でクリア。戦闘で主人公のユニットが死亡した場合は戦闘失敗となり、直近のセーブポイントに戻されてしまう。この場合、得られた経験値はそのままだが、獲得したお金は半分になってしまうし、戦闘は最初からやり直しとなってしまう。
実際に何度かシミュレーションモードで戦ってみた感覚だが、敵の思考時間は非常に短くなっており、もともとシミュレーションRPGとしてはテンポの良い部類だったのが更に加速して遊びやすくなった印象だ。敵の行動についても移動できる範囲を最大限に移動して迫ってくるような猪突猛進さが減り、他の仲間と歩調を合わせ、こちらを囲んで攻撃するような知的さが増しているように感じた。
そのため、最初のバトルでは2度ほど主人公が死んでしまって、やり直してレベルを上げてようやく勝利するなど、これまで以上に慎重な戦闘が必要になっていると感じた。本作では城から街などへの移動中にストーリーとは無関係の敵が出現するようになったので、前作よりも戦闘の機会が増えており、レベリングはやりやすそうだ。また、前作同様、リターンの魔法は本作でも健在なので、これまで以上に慎重にレベリングしながら進めるのが有効な攻略だろうと感じた。
もう1点、本作で新たに追加になった要素として、NPCの存在が挙げられる。今までは仲間になったキャラは全てプレーヤーの指揮下で行動してくれたが、本作では勝手に移動し、勝手に敵と戦うNPCが追加になっている。これがなかなか厄介で、こちらの戦略とは無関係に動くため、勝手に敵に向かっていき、勝手に瀕死になったり、レベル調整のために、弱めておいた敵を勝手に倒して自分だけレベルを上げてしまったりするのだ。スリリングな要素が増えたともいえるが、シミュレーションRPGでは自分で戦略を立てて楽しむ側面もあるので、せめて待機くらいはさせてほしかったところだ。
他にも前作同様に、転職システムが存在する。まだレベルが足らないため、試せてはいないが、上級職に転職する事で、ユニットがより強化されるので、転職しない選択肢はないだろう。また、特殊なアイテムを使う事で、通常とは異なる転職を行なう事も可能なようだ。また、鍛冶屋に素材を渡す事で装備を作ってくれるシステムも追加になっており、前作同様、フィールドやダンジョン、街中での探索もこまめにやっておくのが重要だ。
実際に触れてみて感じたのは、完全に新作のストーリーながら、前作で生み出した個性的なシステムを前作以上に遊びやすく調整した良作に仕上がっている印象だ。ストーリーについてもオーソドックスなファンタジーRPGっぽいテイストになっており、前作と比べるとよりライトな感覚で遊べるようになっている印象を受ける。仲間の加入についても、最初のうちはストーリーを普通に進めていると自動で仲間になるキャラが多いため、うっかり仲間にし忘れる、といった事が起こりにくくなっているのもポイントだ。
NPCのシステムなどちょっとクセのある新機能が追加されていたりもするが、シリーズ初見の人でも楽しめる仕上がりになっており、メガドラミニW AEで2作品とも遊んでみるのもよさそうだ。
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