【特集】
【メガドラミニ全タイトルレビュー︕】「シャイニング・フォース ~神々の遺産~」
個性的なキャラが光るファンタジーシミュレーション
2019年9月15日 00:00
- 1992年3月20日 発売
「シャイニング・フォース ~神々の遺産~」はセガが産んだファンタジーブランド「シャイニング」シリーズの第2弾となるシミュレーションRPGだ。第1弾はオーソドックスな3DダンジョンRPG「シャイニング & ザ・ダクネス」だったが、2作目ではシステムをガラッと変えてのリリースとなった。
ガーディアナ王国の浜辺に打ち上げられた主人公は自分の名前以外の記憶を全て失っていた。王国の騎士団長バリオスに預けられ、日々剣の修行をしているところから物語がはじまる。
ある日、ガーディアナ王国領内の遺跡「古えの門」に関する不審な情報が寄せられたとのことで、ガーディアナ王は、主人公一行に遺跡の調査を依頼する。調査に向かうとそこには、東の大国ルーンファウストの軍がモンスターを率いて遺跡を探っており、これを撃退することになる。
役目を終えて城に戻ろうとするとガーディアナ城は既にルーンファウスト軍に襲われており、城に到着した主人公の目の前で、世話になった騎士団長のバリオスがルーンファウストの剣士カインに倒されてしまう。ルーンファウストの目的は古の門の封印を解くことだと知り、それを阻止すべく、後を追う主人公たち。
ストーリー開始直後から割とハードな展開が続く上に、重要そうなワードがガンガンと飛び出し、謎と期待が渦を巻く。ルーンファウスト軍の狙いは何か、明らかにライバル的立ち位置の騎士、カインの正体は?
ということで戦いに巻き込まれる形で物語が開始する事になる本作だが、最大の特徴は、町や城などを散策するRPGモードと敵との戦闘を行なうシミュレーションモードが明確に分かれている事だ。
RPGモードでは、主人公を普通に操作して街中を歩き回り、登場するNPCとの会話でストーリーを進めたり、仲間を増やしたり、戦闘で死んだ仲間を生き返らせたり、装備やアイテムを補充したりできる。またセーブするのもこのRPGモード内の教会を利用する。
そして戦闘が絡むイベントは全てシミュレーションモードとなる。最大12人の自軍ユニットを使って敵のユニットを全滅させるか、目的地に主人公が到達することでクリアとなり、次に進むことができる。シミュレーションモードでは主人公も1ユニットとして、各ユニット毎に割り当てられた職業、装備、種族などの特性を活かしてフィールド内を移動し、敵のユニットと戦闘する。
その後のシミュレーションRPGと同様に、敵を倒したり、魔法を使ったりすることで各ユニットは経験値を取得し、一定値を取得する事でレベルが上がる。レベルが上がるとステータスが上昇したり、新しい魔法を習得することができる。10レベルを超えると現在の職業の上位職に転職が可能となっており、転職により新たな能力を取得できるようになる。
戦闘で死亡した場合、主人公が死んだ場合は即ゲームオーバーとなり、直近のセーブポイントに戻されてしまう。他ユニットについては、街に行った際に教会でお金を支払うことで復活させることができる。戦闘中のHPやMPの回復は魔法やアイテムで行なうが、1度戦闘が終わり、街や村に戻ると、その段階で全回復する。
本作が魅力的なのは、この手のシミュレーションRPGで悩ましいレベリングがやりやすいことだ。というのも通常のシミュレーションRPGでは、戦闘フィールドに登場する敵ユニットの数が決まっているため、通常は特定の仲間に絞ってレベルを上げたり、必要なユニットのレベルを考慮して戦闘したり、成長戦略も必要になってくる。本作も例外ではなく、戦闘フィールドで登場する敵ユニットの数はフィールドごとに固定だ。
しかし、本作には主人公だけが使える「リターン」の魔法、または「てんしのはね」というアイテムを使う事で、現在進行中の戦闘から離脱して、町の教会まで戻ることができる。戦闘フィールドはリセットされるため、1度倒した敵は全て復活する事になるのだが、逆にこれを使う事で、これまで稼いだ金や経験値は維持したまま、同じ戦闘フィールドを何度も繰り返しプレイできるようになる。これを駆使してレベリングすることで、より自軍を強固にすることができるので、シビアな戦闘が続く場合は、同じ敵相手に何度か戦ってレベルを上げておくのもおススメだ。
そのほかに「シャイニング・フォース」で特筆すべきはビジュアル要素だ。玉木美孝氏が手掛ける個性的なキャラクターデザインはアメリカのカートゥーンのようなビジュアルで、ファンタジーの雰囲気にとてもマッチングしていると感じる。戦闘シーンの演出も当時としてはきちんと描かれたキャラクターが小気味よく動作する、いいアニメーションだったのがとても印象的だ。
また、テキストコマンドが主流だった時代に、アイコンによるコマンドメニューを採用していたのも驚かされる。最初のうちはアイコンだけだとわかりにくい部分もあり、説明のテキストを見る事もあったが、慣れてくるとテキストを見る事なく、サクサクとアイコンだけで作業が進められるようになる。
他にも起動時のセーブデータのロード画面が、子供が絵本を読むようにねだってくるというシチュエーションになっているのも個人的には大好きな演出だ。機械的にデータをロードする、という感じではなく、ゲームがすでに絵本の中の物語になっているというシチュエーション、そしてわざわざそのための子供のビジュアルを用意することで、起動直後からファンタジーの雰囲気を醸し出しており、こういう見せ方はとても好感が持てる。
シミュレーションモードを円滑に進める上では、やはりシミュレーションゲームでは基本的な戦略“各個撃破”を意識する事がポイントだ。とはいえ敵側もそこは理解しており、ユニットが単体で突撃してくることはなく、常に複数のユニットで群れをなして接近してくる。この群れの中でターゲットを絞り、敵が行動する前になるべく多くの敵のユニットを撃破する事が重要になる。
本作はターン制ではなく、すばやさの速い順に行動するため、戦闘が1巡するとある程度行動の順番が見えてくる。そこで連続して動けるユニットをまとめて動かすことで、ターゲットを集中して攻撃する作戦が有効だ。これを繰り返しつつ、ダメージを受けた仲間は1度前線から下げつつこまめに回復してあげれば生存率は高くなる。
個人的には全体的に戦闘が楽勝になるくらいまで同じステージをリターンの魔法で何度かトライしてレベルを上げつつストーリーを進める方法を取っている。こうすることで敵の動きがより把握できるようになるし、進軍の仕方をあれこれ試すことで、どう動くのが効率的かが見えてくる。さらにはレベルも上がって次の戦闘がよりスムーズになるので時間がかかる事以外はいい事尽くしだ。
また、戦闘以外の注意点として、RPGモードではなるべく全ての人に話を聞いたり、歩けるエリアをくまなく歩き回って、情報を得たり、アイテムをゲットしたり、仲間を増やしていくことをお勧めしたい。というのも筆者は最初のプレイでは、RPGモードでの散策をさぼったため、いきなり2人の仲間を追加するのを忘れて進めてしまったのだ。最大12人までしか戦闘では連れていけないが、序盤ではそもそも全部合わせても12人に満たないため、この2人の戦力が欠けた状態というのはかなり厳しかった。
オーソドックスなファンタジーのストーリーというものは、しっかり作られたものであれば、いつ作られたものであっても、時代を超えて受け継がれると思っている。筆者はまだ途中までしか進められていないが、本作のストーリーもいきなり恩人が殺されるなどのドラマチックな展開から始まり、ライバルとの戦いなど、今後の展開が気になる作りだ。
システムもレベリングがやりやすい仕掛けのおかげでガンガンレベルを上げて、これまでてこずっていた敵とも互角に戦えるようになっていく、RPGの醍醐味が存分に味わえる作りがうれしい。気が付くとのめりこんで同じステージを何度もプレイしてレベリングしてしまっていた。
また、メガドライブミニではゲーム内ならいつでもどこでもセーブできる「中断セーブ機能」があるため、死ぬか生きるかの瀬戸際などで使う事で、ピンチを脱出することもできる。正にメガドライブミニで"今やり直す"のに最適な1本ともいえるだろう。
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