【特集】

【メガドラミニ全タイトルレビュー!】「幽☆遊☆白書 ~魔強統一戦~」

最大4人で対戦可能!「幽☆遊☆白書」を題材にしたトレジャーの格闘ゲーム

1994年9月30日 発売

 「幽☆遊☆白書 ~魔強統一戦~」は1990年から週刊少年ジャンプで連載された漫画作品「幽☆遊☆白書」のアニメ版をベースにした格闘ゲームだ。漫画版「幽☆遊☆白書」の作者は冨樫義博氏で、本作は同氏の2作目の連載作品となる。

 主なストーリーは、車にひかれそうになった子供をかばって死亡した主人公 浦飯幽助が、生き返るために霊界から依頼された事件を解決していくというというお話だ。無事に生き返ったあとは霊界探偵として、人間界で起こる異界の生物が絡んだ事件を解決するというストーリーが展開していく。

 途中から当時のジャンプ作品で多く見られたバトル展開となっていき、必然的に戦闘要素が増えてくる。ところが本作の場合、その後はバトル一辺倒のストーリーにならず、戦闘能力だけではどうにもならないような敵が出る展開になるなど、これまでのジャンプの黄金パターンだった、ひたすらライバルとのバトルを繰り返すような展開にならなかったのが面白いところだ。最終的に本作は作者の意向がある程度尊重され、人気絶頂のうちに終わりを迎える事となった。興味がある人は是非原作の方も読んでみてほしい。

 本作を題材にしたゲームは多く発売されているが、その中でも本作は極めて異色な格闘ゲームとして当時から話題の1本だった。

 異色と言われた理由は何といっても当時主流だった1vs1の2D格闘ではなく、最大4人で対戦できるバトルロイヤルが可能なシステムを採用した事だ。フィールドも手前と奥の2面がある「飢狼伝説」シリーズなどと同じシステムを採用しており、4人で対戦しても通常の2D格闘よりも奥深い戦略が立てられた。

 また、4人対戦を前提としたシステムのため、左右に移動するとキャラクターがそれぞれ移動する方向を向く、というのも1vs1の格闘ゲームのように常に相手の方向を向くシステムからは考えられない作りだ。このような移動システムのため、防御はカーソルで後ろを入れるのではなくCボタンで行なわれるのもユニークなポイントといえる。他にも各キャラクターの必殺技や超必殺技(超霊撃技)のコマンドが比較的シンプルなため、あまり格闘ゲームに馴染みのない人でも気楽に楽しめた点は、本作の評価が高かった理由の1つと言える。

 さらに開発はトレジャーが担当しており、「ガンスターヒーローズ」や「ダイナマイトヘッディー」などが当時のセガファンから一定の評価を得ていた事もあり、本作の登場で同社の評価がますます高まったと言われている。

 個人的にはこうした要素に加えてちょっと粗目のキャラクター描写がかなりお気に入りだ。本作は最大4人のキャラクターが同時に戦うということもあり、全てのキャラクターが普通の格闘ゲームなどと比べてちょっと小さめのスケールだ。そのため、顔などのディティールはあまり描かれず、等身はキープしつつ表情などの部分をかなり省略して描写している。だがこの少ないドットで描かれた粗目のビジュアルで表現されるキャラクターたちの表情がとてもいいのだ。

 また、もう1つの本作の特徴として、キャラクターデザインがアニメ版に準拠しており、全キャラクターの音声がアニメ版の声優を起用して完全収録されている点も重要なポイントの1つだろう。

登場キャラクターは全11人。初期の霊界探偵編までのキャラクターが主人公含めて5人、暗黒武術会編での登場キャラクターが4人、魔界の扉編から2人。魔界の扉編のキャラクターが登場した事も本作の開発時期を考えると衝撃だった
キャラクターデザインはアニメ版に準拠し、全てのキャラクターがアニメ版の声でしゃべるのも驚きだった
背景にはアニメの中で使われたシーンが多く再現されており、バリエーションは豊かだ
キャラクター毎に原作の雰囲気通りのド派手な技がたくさん用意されている
作中トップクラスのゲスキャラクター、戸愚呂(兄)の場合、きちんとどの技も気持ち悪い

 本作のゲームモードは通常の1vs1でのバトルが行なえる勝ち抜き戦や、4人のバトルロイヤルや2vs2のタッグマッチ、必殺技などを練習するトレーニングが選べる練習試合、1vs1、または2vs2のタッグで遊べるトーナメントがある。ちなみにCPU相手の勝ち抜き戦で全勝し、エンディングを見終えてからそのまま再度スタートすると、ゲームモードにハンデ戦が加わり、これを選ぶことで、CPU相手に1vs3や1vs2など複数キャラクターでのバトルが遊べるようになる。

 本作を遊ぶ上では、是非この4人同時のバトルロイヤルを遊んでみてほしい。1人でプレイしても面白い本作だが、4人で遊ぶと楽しさの次元が変わる。1画面の中に4人が操作するキャラクターが全員登場し、ところ狭しとそれぞれが様々な必殺技を出し合って勝敗を決する様はかなりカオスだが、プレーヤー同士で遊ぶ楽しさの原点とも言える魅力が詰まっている。そのためにはUSBハブや追加のコントローラーも必要だが、もしプレーヤーが4人集まれるなら遊ぶ価値は大いにある。

1vs1のバトルで全てのキャラクターと戦う勝ち抜き戦、全てのキャラクターに勝利すると巨大な「最強」の文字が表示されるシンプルなエンディングを経て、ゲームモードにハンデ戦が追加される
2vs2のタッグトーナメントは2人一組でタッグを組んでトーナメント戦を戦うモードだ。プレーヤー同士でタッグを組んでもいいし、4人全員が別チームに分かれて、CPUを仲間につけて挑むのも面白い
本作1番の魅力はやはり4人全員が敵となるバトルロイヤルだ。正直めちゃくちゃ面白いのはお墨付きだが、最大の難点はプレーヤーを4人集めることだろう

 今回遊び直してみて改めて感じるのは、どのキャラクターを使った場合でもそこそこ楽しくバトルができるという点だ。もちろん遠距離、近距離とバランスのいいキャラクターもいれば、近距離がめっぽう強いが遠距離が苦手なパワーキャラクター、回復や瞬間移動などユニークな技を多く持つキャラクターなど色んなキャラクターが用意されているので、プレーヤーの好みや操作感の向き不向き、キャラクター同士の相性はある。

 だが、こうした色々なキャラクターを登場させながらも、突出したキャラクターがおらず、相性が多少悪くても勢いで乗り切れる事も多いので、こうしたバランスのよさが格闘ゲームに馴染みのないプレーヤーも楽しめる要因の1つになっているのだろう。さらにはゲームとしてのバランスがいいだけでなく、いずれのキャラクターも特徴や必殺技の設定などが原作を忠実に再現している部分が多く、原作が好きな人が遊んでも納得の出来となっている点もポイントだ。

 例えば、登場キャラクターの1人である飛影が使う超霊撃技「邪王炎殺黒龍波」は敵に当てる事で大ダメージを与えられる大技だが、原作ではこの技は単に敵への攻撃技だけではなく、自分に当てる事でエネルギーを吸収し、自身を強化するという設定があった。この設定もゲームでは忠実に再現されているほか⼀定時間が経過すると気絶してしまう、という弱点もそのままなためかなり危険な技だが、原作を知っている人も納得の作りだ。

 必殺技や通常の攻撃以外にもライン移動や相手の霊力を減らす挑発、ダッシュで敵に急接近したり、敵の飛び道具をかわすための2段ジャンプ、混戦から抜け出すためのバックステップなど、色んなアクションがあるので、必殺技に頼らなくてもシンプルな駆け引きが楽しめる。

 例えば必殺技は使うたびに霊力が減ってしまい、そのうち出せなくなる。そのため、ABボタンを押したままにすることで、回復させる必要があるのだが、どのタイミングで回復するかも駆け引きの1つだ。相手を行動不能にしたタイミングで回復してもいいし、回復は後回しにして通常技で追い打ちをかけるのもアリだ。また1vs1なら相手だけ気にしていればいいが、バトルロイヤルの場合、他の敵の事も考えなければならない。こうした駆け引きの要素の多さも本作の魅力の1つと言えるだろう。

 1994年9月発売の本作はメガドライブ後期の作品ということもあり、あまり本数が出なかったようで、結果として本作は市場から姿を消し、今ではROMカセットにプレミアがついてしまっており、気楽に遊べなくなってしまった。それが今回メガドラミニに収録されるというのは、正直歓喜しかない。これでより多くのユーザーに本作の魅力が伝わることを願う。

バトルロイヤルの場合、如何に密集地帯から抜け出せるかが勝負のポイントだろう。前後から集中的に攻撃されたら、例え防御をしていても大ダメージは避けられない
飛影の超霊撃技「邪王炎殺黒龍波」。普通に敵に当てれば大ダメージを与えられる
自分に当てる事で自身を強化することも可能。この真上から黒龍波を受けるのも原作通りのビジュアルだ
なお、本作では最大4人対戦を行なう都合上、4種類のカラバリが用意されている。メインカラー以外のカラバリについては正直、微妙なカラーリングが多い印象だ

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