【特集】

【メガドラミニ全タイトルレビュー!】「サンダーフォースIII」

前期メガドライブを代表する、横スクロールシューティングの大傑作

1990年6月8日 発売

 テクノソフトがリリースしたシューティングゲーム「サンダーフォース」は、元々はPCで発売されていたシリーズだったが、1989年にメガドライブに移植された「サンダーフォースII MD」の発売をきっかけに、家庭用ゲームでの展開が主流となった。その初期シリーズとして、オリジナル作品として1990年6月にメガドライブで発売されたのが、この「サンダーフォースIII」である。

「サンダーフォースIII」タイトル画面。オプション設定の際はABCいずれかのボタンを押してSTARTを押す

 トップビューのシューティングだった「サンダーフォース」から、サイドビューの横スクロールのステージがトップビューのステージと混在していた「サンダーフォースII」を挟み、この「サンダーフォースIII」は全ステージが横スクロールで、なおかつ完全新作としてリリースされたのだ。

 筆者は「サンダーフォースII MD」の、プレイフィールがまったく違う2種類のステージが混在するゲームデザインに今一つ馴染めなかったのだが、「サンダーフォースIII」ではそれが横スクロールに統一されたことに強く興味を惹かれた。

 当時のメガドライブユーザーに大きな期待を持たせたのは、その美しいグラフィックスだ。ラスタスクロールという技術を多用し、激しい炎のうねりを演出した「ゴルゴン」のステージや、「ヒュードラ」のステージのボスで炎を吐くメカ生物「ガーゴイル」の登場シーンなどは本作を象徴するゲーム画面で、本作を紹介するゲーム雑誌ではそれらの写真が大きく扱われていることが多く、それを見て購入を決めた人は多いはずだ。

炎が渦巻く「ゴルゴン」
「サンダーフォースIII」といえばガーゴイル戦のシーン

 前作から続く銀河連邦とオーン帝国の戦いを描くストーリーの元に進行する本作は、パワーアップなどシステムの一部を継承している。自機の「STYX(ステュクス)」は、2種の標準武器(パワーアップ可能)に加えて、3種の武器をアイテム入手によって装備できる。5種類の武器は性質がそれぞれ異なり、ステージや出現する敵によって切り替えることが戦略に繋がっている。

武器は装備中のものならいつでも切り替えが可能

 難易度はかなり高めで、ファンには“初見殺し”のシューティングとして知られていて、敵が予告なく後ろから現れたり、回避が難しい攻撃を行なってきたりするのは当たり前で、他にも突然噴き上がるマグマにぶつかったり、背景に押し潰されたりすることも日常茶飯事。死んで覚える難易度を意識したのかどうかはわからないが、本作はゲームスタート時に5つのステージを自由に選べるようになっている。最初のステージを選べるだけではあるものの、ステージの概要を把握するにはちょうどいい仕様で、難易度の高いステージを最初に選んで始めるというプレイスタイルも成立する。ちなみに筆者は、ステージの背景が動くため、攻略パターンの構築が必須な「ハーデス」を最初にプレイしていた記憶がある。

選んだステージから規定の順で進んでいく。ボスの弱点も確認しておこう

 こうした初見殺しな部分を除けば、理不尽なほどの難易度ではなく、当時のメガドライブのゲームをプレイしていたユーザーならクリアするのも決して難しくないバランスで、「サンダーフォース」シリーズの中でも高く評価する人は多い。その頃の“メガドライブオリジナルの横スクロールシューティングはイマイチ”という悪評を払拭したのも痛快だった。

 その後、1992年にメガドライブで「サンダーフォースIV」が、1997年にセガサターンで「サンダーフォースV」が発売され、「サンダーフォース」はセガハードを代表するシリーズとなったのはご存じの通り。今回のメガドライブミニに収録された「サンダーフォースIII」の他に、Nintendo Switchの「SEGA AGES」では「サンダーフォースIV」がプレイできるので、機会があったら是非試してみることをオススメする。

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