【特集】

【メガドラミニ全タイトルレビュー!】「ダライアス」

20年ぶりの新作メガドライブソフトが登場! 懐かしくも新しい、不朽の名作シューティング

9月19日 発売

 1986年にタイトーから発表された、アーケード用横スクロールシューティングゲーム「ダライアス」は、モニターを横に3個並べ、ボディソニック機能を搭載した大型筐体を使用したことで当時のプレーヤーの度肝を抜き、今なお名作として語り継がれる作品である。この稀代の傑作を、「当時、もしメガドライブに移植したらどうなっていたのか?」というコンセプトのもと、実に20数年ぶりとなるメガドライブソフトの新作として開発されたのが、メガドライブミニに収録された新生「ダライアス」だ。

 本作では、アーケード版の内容をほぼそのまま移植した「ノーマル(通常モード)」と、全26体のボスと戦う「ボスラッシュモード」の2種類のモードが遊べる。「通常モード」では、初期状態で26体のボスが登場するように設定されているが、オプション(設定モード)画面で「BOSS TYPE」を「26 BOSSES」から「ARCADE」に変更することで、元祖「ダライアス」と同じボスの出現パターン(※2~6面は、どこのゾーンに進んでも同じボスが出現)に変えることができる。自機はプロコ(赤)とティアット(青)の2種類から選択が可能。ティアットを選ぶと難易度の低いイージー設定になるのが、メガドライブ版ならではの特徴だ。

【「ダライアス」ゲーム画面】
基本システム、グラフィックス、サウンドともに元祖「ダライアス」の内容をほぼ踏襲している
各ステージの最後には巨大戦艦が登場し、多彩な攻撃を繰り出してくる

元祖「ダライアス」の良さを忠実に継承するも難易度は高め。まずはイージー設定で始めるのがオススメ!

 「通常モード」は、自機のパワーアップシステムをはじめ、グラフィックスやサウンド、敵の出現・攻撃パターンや隠しアイテムの種類、そして各ステージの最後には水棲生物をモチーフにした巨大戦艦(ボス)が出現し、ステージクリア後に上下2つのゾーン(ルート)に分岐するシステムは、いずれも元祖「ダライアス」を踏襲した形になっている。

 特定の場所に出現する赤、緑、青の3色いずれかに塗られた敵を倒すとアイテムが出現する。赤を取るとメインショット(ミサイル)が、緑を取ればボムがパワーアップし、青を取ると敵の攻撃を防ぐアームが装着される。赤のアイテムをノーミスで(自機を1機もやられずに)取り続けると、メインショットが2連射、3連射へとどんどん強化され、合計8個取ると敵を貫通するレーザーに変化する。さらにレーザーの状態からノーミスで8個取ると、障害物をも貫通する強力なウェーブが撃てるようになる。

 同様に、ノーミスで緑色のアイテムを8個取ると、初期状態では下にしか撃てなかったボムが上下に2発ずつ撃てるツインボムになり、さらに8個取ると1度に4発ずつ撃てるマルチボムへとパワーアップする。青色のアイテムを取り続けると耐久弾数がどんどん増え、8個取るとより耐久力に優れたスーパーアームに、さらに8個取ると外壁への接触にも耐えられる、強力なハイパーアームへと変化する。ウェーブ、マルチボム、ハイパーアームがすべてそろうと、広範囲の敵を一気になぎ倒せる攻撃力が備わり、なおかつ見た目にも美しいので、ただ連射しているだけでも実に快感だ。

 アーケード版と大きく異なるのは、家庭用ゆえゲーム画面が(当然ながら)1画面であることと、前述したようにボスの数が26体に増えていることが挙げられる。これらのボスは、1990年にPCエンジン用ソフトとして発売された「スーパーダライアス」でも登場したので、PCエンジン版を知る人であれば当時を思い出しつつ遊ぶことができ、またアーケード版しか遊んだことがない人であっても、新たなモチベーションを持ったうえで楽しむことができるだろう。

【パワーアップシステム】
緑色の敵を倒すと、取るとボムがパワーアップするアイテムが出現
青い敵を倒すとアームが装着されるアイテムが出現。ちなみに、アームがない状態で取った時の耐久弾数は3発だ
赤い敵を倒すと、メインショットがパワーアップするアイテムが出現する
緑のアイテムをノーミスで8個取るとツインボムになる
赤のアイテムを8個取ると、メインショットが敵を貫通するレーザーになる
青のアイテムを8個取ると、より耐久力に優れるスーパーアームに変わる
さらに各色のアイテムを8個集めると、メインショットがウェーブ、ボムはマルチボムに、アームはハイパーアームへと進化する
【クリア後はルートが分岐】
「通常モード」ではボス撃破後に上下2つのルートに分岐し、プレーヤーが任意のルートを選べるのも元祖「ダライアス」と同じだ

【特定の場所を撃つと隠しアイテムが出現】
白いアイテムは、取ると最高で51,200点、最低50点のボーナス得点がランダムで加算される
金のアイテムは、取ると画面上の敵と敵弾を全滅させる効果があるので、出現場所は必ず覚えておきたい
自機のストックが増える1UPアイテムも隠されている
【アーケード版には存在しない巨大戦艦が登場】
ゾーンごとに異なるボスが出現。なかには体当り攻撃をするものもいる

 「スーパーダライアス」経験者のなかには、画面をひと目見て「なんだ、中身はPCエンジン版と同じじゃないか」と思う人もいるかもしれない。だが、PCエンジン版と本作との間には、大きな相違点がひとつある。

 その答えは、ズバリ難易度だ。あくまで筆者の体感だが、本作のほうがPCエンジン版よりも難易度が高いというのが率直な印象である。その理由としては、一部の敵がアーケードおよびPCエンジン版よりスピードが速くなっていること、出現直後に破壊しても壊れる直前に弾を撃つ敵がいること、そして対ボス戦で一定時間が経過すると出現する、ヤズカという敵が出るタイミングがやや早くなっていることなどが挙げられる。

 筆者は元祖アーケード版、PCエンジン版ともに1コインクリアをした経験があるが、それでも本作はクリアするまでにかなり苦戦を強いられてしまった。どのステージでも金のアイテムをなるべく多く取り、ボス戦では敵弾の死角から徹底して攻撃するか、または弾を撃ってくるパーツを先に破壊して逃げ場を確保するなど、過去のシリーズとはまた違った攻略パターンの構築が求められると言っても過言ではないだろう。

 よって、ある程度シューティングゲームの腕に自信のあるプレーヤーであっても、最初はティアットを選んでイージー設定で練習し、慣れてきたところでプロコに切り替えて遊ぶことをおすすめしたい。イージー設定にするとボスの耐久力が大幅に低下し、途中でミスをしてもリスタート時にパワーアップアイテムのストックが没収されない(※プロコ使用時は、ミスをするとアイテムのストック数がゼロになる)ため、プロコ選択時に比べてかなり楽に戦える。

【ノーマル設定は難易度が高め】
地上の砲台を出現直後に破壊しても発射された弾は消滅しない。そのため、ボムが命中するまでの間に弾を撃たれてしまうことがある
Hゾーンのボス、ファッティグラトン戦。メガドラミニ版では、⼩ピラニアを破壊すると⾶んでくる炸裂弾が、アーケード版とは違って徐々に加速する
対ボス戦は、弾が飛んで来ない死角に潜り込んでダメージを与えるのが攻略のコツだ

【イージー設定のメリット】
ボスの種類によっては、開始直後に接近して一気に撃ち込むことで、あっという間に倒すことができる
途中でミスをしてしまっても、パワーアップアイテムのストック数が維持されるのでとてもありがたい

 「ボスラッシュモード」では、AゾーンからZゾーンまでのアルファベット順にボスが登場し、ボスを倒すと赤、緑、青の各種パワーアップアイテムが1個ずつ出現する。序盤に登場するボスは、「通常モード」でノーミスかつアイテムをすべて回収した状態よりもパワーアップが少ない状態で戦うことになるため、攻略パターンを変えて戦う必要が生じる。また、青のアイテムを1個ずつしか取れないので耐久弾数を増やしにくいこともあり、こちらもコンティニューなしでクリアするのはなかなか難しい。

 よって本モードにおいても、慣れるまではティアットを選んでイージー設定で始めることをおすすめする。イージー設定であれば、コンティニュー後もそれまでに獲得していたパワーアップアイテムのストック数が維持され、なおかつアームを装着した状態でリスタートできるからだ。

 また本作では、プレイ中にハイパーアームの装着に1度でも成功すると、オプション内に隠し設定の「HYPER ARM」が出現する。初期状態では「NARROW(狭い)」になっているが、これを「ARCADE TYPE」に変更すると、自機(アーム)の当たり判定がより大きくなる。ハイパーアームを装着中は、壁に接触してもアームの耐久弾数が減るだけで即ミスにはならないが、「ARCADE TYPE」にするとほんの少し壁に触れただけでもアームが削られ、しかも自機が大きく跳ね返されてしまうため、かなりシビアな操作が要求される。特に、YゾーンやLゾーンなどの狭い通路があるステージでは、たとえアームをたくさんストックした状態でも、わずかに壁に触れただけであっという間にやられてしまう、まさにエキスパート限定のスペシャル仕様だ。

【ボスラッシュモード】
ボスを撃破するごとに赤、青、緑のアイテムが1個ずつ出現する
ゲームオーバー後は、それまでにクリアしたゾーンからコンティニューが可能
イージー設定時は、コンティニュー時にアームを装着した状態で再開できるのがうれしい

【上級者向けの隠し設定もあり】
ハイパーアームを装着すると、プレイ終了後に「HYPER ARM」の項目が新たに出現する
ハイパーアームを「ARCADE TYPE」にすると当たり判定が大きくなり、狭い通路を通り抜けるのが非常に難しくなる

 ショットやボムを連射して敵を倒す楽しさはもちろん、クリアしたゾーンによって異なるエンディングが用意され、1回クリアした後も未知のルートにチャレンジすることで飽きずに繰り返し遊べるのも、本作ならではの大きな特長だ。敵の種類や攻撃のバリエーションは実に多彩で、2Dのドットできめ細かく描かれた背景のグラフィックスや巨大戦艦のデザインは、今見ても美しくかつカッコいい。BGMも元祖「ダライアス」とまったく同じだが、今聴いても本当に素晴らしく、とりわけ7面(最終ステージ)のボス戦において、BGMがちょうど盛り上がるタイミングでボスが動き出し、猛烈な攻撃を始めるように計算されたであろう演出は、何回プレイしてもゾクゾクしてしまう。

 シリーズ第1弾の発売からすでに30年以上も経過しているが、その面白さは今なお色褪せていないことを、本作を通じて改めて実感することができた。けっして簡単な道のりではないが、全ゾーン制覇と26体のボス撃破を目指し、とことんまで遊び倒していただきたい。

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