【特集】

【メガドラミニ全タイトルレビュー!】「ランドストーカー ~皇帝の財宝~」

難易度マックスの擬似3Dアクション!

1992年10月30日 発売

 「ランドストーカー ~皇帝の財宝~」はクォータービューと呼ばれる斜め上からの見下し視点が特徴の疑似3DアクションRPGだ。3Dアクションが技術的に厳しい時代に、画面内のフィールドや建造物、ダンジョンがきちんと物理的な整合性を持った3Dアクションとして登場した本作は衝撃的だった。実際には2Dのシステム上で擬似的に3Dに見せる独自の「DDS520」というシステムを採用してこれらのビジュアルを実現している。

 キャラクターデザインは「シャイニング」シリーズも担当した玉木美孝氏だ。本作の舞台となる世界では、人間以外の色々な種族がそれぞれ生活を営んでいる。こうした混沌としたファンタジー世界をコミカルな雰囲気で表現できているところは、同氏のキャラクターデザインが大いに寄与している点と言える。

 主人公はトレジャーハンターのライルで、サッキュバスのフライデーが追われているところを救ったライルは、彼女がノール王の財宝のありかを知っているという話を聞かされ、早速財宝の隠されている島に旅立った、というストーリーだ。島内には多くのダンジョンや原住民の村が点在しており、仕掛けだらけのダンジョンを攻略したり、原住民の村人からの依頼を引き受けたり、そこで得られた情報を頼りに、財宝の謎を解いていく。

 本作では移動エリアはサイズの決まったボックスで仕切られており、端まで行くことでボックスが切り替わる。フィールドは全てこうした切り替え式になっており、野外もダンジョンも村も建物内も全て同様の作りになっている。操作はクォータービューの視点に合わせてカーソルを入れることで前後左右に移動でき、敵がいる時はAボタンで剣を振るし、持ち運び可能なオブジェクトが置かれている時はそれを持ち上げる動作を行なう。Cボタンでジャンプだ。

ライルやフライデーなど、多くのキャラクターたちが登場するが、魅力的で憎めない愛嬌のあるキャラクターたちばかりだ
特定のオブジェクトは持ち上げて運ぶことができる。足場になるオブジェクトを持ち運び、通常のジャンプでは届かないような高い場所の手前に置いて足場にすることで登れるようにできる
フィールドもダンジョンも基本的には決められたサイズのボックスで仕切られており、原則、移動できない場所は真っ暗になっている

 本作の魅力はギミック盛りだくさんのダンジョンだ。立体的なダンジョン内の構成はジャンプするポイントを間違えると穴の底に真っ逆さまだし、スイッチで稼働する隠し床など数多くのギミックがライルの行く手を阻む。じっくり考えて慎重に移動できる場所もあるが、移動する床や転がってくる巨大な鉄球など、動くオブジェクトも多いので、のんびり操作する余裕はなく、慌てず正確に素早く移動する必要がある場面も多く、手に汗を握る迫力なのは間違いない。映画「インディ―ジョーンズ」のような古代遺跡に挑む冒険家気分がこれでもかと満喫できる。

 こうしたダンジョンのギミックには軽めのパズル要素もあるので、一見すると到達できなさそうな場所であっても、周囲を冷静に観察し、オブジェクトを利用したり、視界から隠された階段を使うことで、見事にたどり着くことができるとテンションはかなり上がる。冒険をしている感覚が実感できるのだ。

 例えば、屋外のフィールドを移動中、ふと見上げるとジャンプでは届きそうもない高台の上に宝箱が置かれているのを発見した。手前の草の上にはジャンプして乗れるのだがそこから高台まではさらに高い木が生えており、ジャンプではとても到達できない。

 最初のうちは諦めていたのだが、周囲を散策し、足場になりそうな物を探す。でも見当たらない。そこで高台の真下をくまなく探していたのだが、こちらの視点から見えない高台の影を移動していると、なぜか動きに違和感がある。何かに引っかかっているような動きになるのだ。そこでジャンプを何度か繰り返してみたところ、自分の位置が少し高くなった。そこで何度かジャンプを繰り返すと、なんとその高台に上ることができたのだ。どうやら高台の影に階段が隠れていたようなのだ。こうして無事に宝箱にたどり着く事ができた。

 ここで得られたアイテムはライフの最大値を増やす「いのちのもと」であり、ゲームの進行を助けるありがたいアイテムではあるが、レアなアイテムというほどではない。だがこの普通ではたどり着けないルートを自力で発見して手に入れたという達成感がとても気持ちいい。ゲームを進めているとこんな達成感があちこちで得られるのだ。

 なお、本作のオープニングでは、ライルが別のお宝を手に入れる冒険のクライマックスシーンがデモプレイとして流れるのだが、このデモプレイで登場する足場のギミックや蔦を使ったアクションがかなり難しそうなのだ。実際にプレイをやりこむことで、自分の腕でもここまでのすごいアクションができるようになるかも……と考えるとますますやりこんでみたくなる。

赤いキノコのようなスイッチを押すことで、床が浮かび、塞がれていた階段を下れるようになる
手前の木の上には乗れるのに、その奥の木々に邪魔されて飛び移れない高台であっても、高台の裏側に隠された階段を使うことで無事に登りきることができた。こういった視覚のトリックなど、ユニークな仕掛けが満載なのだ
1ブロック分しかない動く床がかなり高速で動くところをポンポンと飛び移って、最後には壁の蔦に掴まってさらに奥の穴に潜っていく。デモプレイではあまりにも簡単にこなしているがかなり難しそうだがワクワクしてくる見せ方だ

 前述の通り、本作のアクションの難易度は非常に高い。しかもコマンド選択型のファンタジーRPGが全盛の時代にも関わらず、アクションの面白さを徹底するこだわりっぷりで、この辺りのこだわり方が実に当時のセガらしいと感じられる。

 クォータービューならではの独特の操作についても、話を聞く分には問題なさそうだが、この一見簡単そうに見える当たり前の上下左右の移動がかなりハードなのだ。この操作に早く慣れることが本作の最大の難所だと言える。上下左右の操作はしやすいメガドライブのゲームパッドだが、常に斜め操作を入れるのは慣れるまでかなり厳しい。

 筆者も実際にしばらくプレイを続けていたが、操作に慣れてくる頃には指の痛みがピークを迎えた。だがダンジョンをクリアする楽しみを知ってからはそう簡単に止める事もできず、少し休んでまた再開、と繰り返しプレイしていたら、気が付くと自然にカーソルを斜めに入れられるようになっていた。しばらく操作していて感じたのは、あまり力を入れ過ぎず、比較的軽めにゲームパッドを握り、軽めの入力を心がけることで、この指の痛みは大分軽減されるようになる。

 もしあまり時間をかけずにこの斜め操作がスムーズに行なえる人がいるなら、それは間違いなく「ランドストーカー」の才能があるということなので、是非最後までプレイしてみてほしい。

セーブは町や村の教会で行なえる。脇に置かれた巨大な本を持ち上げて、神父の前に置いてあげると本の内容に合わせた対応をしてくれる。物を持ち上げて置く時に「コレ!」という音声が出るのがお気に入りだ
フィールドなどで登場する敵は強敵ぞろい。敵を切りつけると後ろに飛ばすことができるのだが、再度向かってくるのでリズミカルに切りつけないと返り討ちにあってしまうのだ
巨大な鉄球は割とよく見かけるギミックだ。鉄球にもいろいろ種類があり、触れるだけでダメージを受ける物もあれば、道を塞ぐのみで、触れてもダメージを受けないものなど色々だ。ただ、いきなり出てくる事が多いので、初見では大抵ビックリして大慌てになる事が多い

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