インタビュー
“あの時代”を表現する「メガドライブミニ」というハードはいかにして生まれたか?
「完全新作テトリスを出す!」“栄華を誇る西の大国に反旗をひるがえし民”(宮崎氏)に向けた1台
2019年6月5日 12:00
ついに「メガドライブミニ」に収録される42本のタイトルが発表された。個人的な話であるが、筆者はかつて「メガドライバー」だった。スーパーファミコンを誰も彼もが持ち、メジャーなタイトルが積極的にスーパーファミコンで発売される中、「メガドライブのゲームは良いぞ!」と友人に話していたコアなメガドライブファンだったのである。
そんな筆者にとって、「メガドライブミニ」の収録タイトルの発表はとてもワクワクするものだった。出来の良い、多くのファンが納得するラインナップに当時のファンとしてとてもうれしくなった。「こんなに良いゲームが出ていたんだぞ」と思わず誰かに言ってしまいたくなるような気持ちになった。筆者と同じようなファンは多いのではないだろうか?
今回全ての収録タイトルが明らかになった。その最大のサプライズは「テトリス」、「ダライアス」の新作の収録である。現代においてメガドライブ向けの2本の新作タイトルが発売される。この面白さについて、「メガドライブミニ」の開発に携わるセガゲームスの宮崎浩幸氏と奥成洋輔氏に話を聞いた。
「メガドライブミニ」のテーマは「メガドライブの時代」だ。当時のゲーム開発者、そしてファン達はどういったゲームを体験し、何を得たのか。「メガドライブミニ」はそういった“あの頃”を時を越えて表現してくれる。「メガドライブミニ」はいかにして、どのような想いを託されて生まれたのか、インタビューではそのテーマにも迫ってみた。
「メガドライブの時代」、その時代を実感できる42本のタイトルがついに明らかに
まず最初に2人に聞いてみたのは「発表して得られた手応え」だ。宮崎氏は「否定的な意見は驚くほど少なく、手応えを感じた」と語った。「メガドライブミニ」に先行して、いくつかの“ミニ”が登場し、ユーザーの厳しい意見を見ていた中で、批判される覚悟はしていたが、そういった意見は少なかったという。業界関係者からも「スゴイね」という意見ももらえているとのこと。
奥成氏は「メガドライブミニ」の発売が1年延びた、という中で「メガドライブ30周年に『メガドライブミニ』を発売できなかった」という事には残念な思いを抱えているという。一方で、開発期間が延ばせたからこそ、ユーザーに評価してもらえる様なものになったのではないか、とも思っていると答えた。ユーザーからの好意的な意見が多かったからこその感想だと、奥成氏は言葉を重ねた。
宮崎氏は当時のメガドライブのファンを「栄華を誇る西の大国に反旗をひるがえし民」と表現する。メガドライブファンがそういった状況の中で「このソフトは任天堂ハードではプレイできないだろう」と密かに、あるいは声を大にして、強い想いを持っていたゲームソフトをきちんとラインナップし、今回の「メガドライブミニ」には収録できたのではないかと、分析している。
それは「メガドライブミニ」そのものの開発モチベーションが、「メガドライブを支えてくれた人」、「メガドライブを支えようとしていた人達」に向けてのものだからだ。だからこそ、「メガドライブミニ」が表現するテーマは「メガドライブの時代」なのだと宮崎氏は語った。
「メガドライブの時代」……1988年にメガドライブが発売され、ソフトが供給されなくなるまでの時代に一緒に歩んでくれた人達、彼らの心に残ったゲーム、その時代がしっかりわかるようなラインナップを心がけたという。
「メガドライブミニ」は日本版だけでなく、北米版の「SEGA GENESIS MINI」、欧州版の「SEGA MEGA DRIVE MINI」、さらにアジア版も開発されている。北米版メガドライブ「GENESIS(ジェネシス)」は、北米では好評で、ユーザーの背景も大きく異なっていると宮崎氏は語った。GENESISは日本のメガドライブのような“マイナー”なハードではなく“ドメジャー”なハードであったので、メジャー感にふさわしいタイトルラインナップになっているという。
北米版の「GENESIS MINI」の収録ソフトは4割ほどが日本とは別のものとなっていると奥成氏は語った。これはアメリカのリクエストと、日本のリクエストの重なった部分と重ならなかった部分の結果だ。お互いが影響を与えた部分もあり、純粋に両国のリクエストだけで作ったのではなく、日米両方で好まれたゲームも盛り込まれているとのことだ。例えば日米共に「ベアナックルはやっぱり『II』だよね」などすんなり決まったタイトルもあったとのこと。
筆者が気になったのは「多人数で遊べるゲームの多さ」だ。特に第3弾のラインナップは、USBハブを使うことでのコントローラーの複数接続を可能であることを明らかにした上で公開された「幽☆遊☆白書 ~魔強統一戦~」など多人数プレイ可能なタイトルが多かった。また、「アイラブ ミッキー&ドナルド ふしぎなマジックボックス」は2人で遊ぶと楽しさが大きくふくらむ。
宮崎氏はメガドライブで多人数プレイを可能にした周辺機器「セガタップ」を挙げ、「こういった周辺機器の発売も“メガドライブの時代”だと思うんです」と語った。「メガモデム」を使っていたユーザーが遊べた「ゲーム図書館」配信タイトルの収録など、メガドライブの時代を象徴するタイトルは意識して取り入れられている。
ラインナップに関して奥成氏は「メガドライブでしか遊べないソフト」であることを心がけたという。他機種で遊べるものは入っていない。アーケードの“完全移植”を謳ったモノ、例えば「アウトラン」がそうだがこちらはNintendo Switch版や、「龍が如く」のゲーム内でよりアーケードに近いゲームが遊ぶことができる。
しかし「ゴールデンアックス」の様に、アーケード+α、追加の要素や独特の味を加えて発売されたものは取り入れている。メガドライブの性能に合わせてアレンジされた「大魔界村」など、「この時代、メガドライブに移植されたからすごく良かったよね」とファンが思ったゲームはラインアップに加えたという。「そういう意味で、後の時代に中々プレイする機会がないゲームを集められたと思っています。集めることで結果的にメガドライブらしくなったのではないかと」と奥成氏は語った。
「こうやってラインナップを見てみるとアクションとシューティングの比率が多くて、若干難しい。クリアして『どうだ!』といいたくなるゲームが多い。気楽に、手軽に、というよりも、苦しさの中に楽しさを見出すようなゲームを好んでいた人達がメガドライブファンだったのではないか、というのは、今になって思います。だからこそ語りたくなる、思い入れが深くなるんだと思います」と宮崎氏はコメントした。ちなみに、隠しコマンドなど当時のゲームに盛り込まれていた“裏ワザ”もきちんと再現されているとのことだ。
「ただし、違うところもあります」と宮崎氏は指摘した。それは“表現”の問題だ。当時と今ではゲーム表現の規制の違いがある。当時は演出の上でのフラッシュ表現、光の点滅は爆発や、RPGの魔法表現などとして多用されていた。それはブラウン管の小さな画面ならば大丈夫だったが、今の発色が良く大画面のテレビでは人体に影響が出かねない。こういった調整は加えられているとのことだ。
「テトリス」、「ダライアス」。メガドライブミニ向けの“完全新作”はいかにして実現したか?
今回42タイトルがついに明らかになったが、両氏の個人的な思い入れのあるタイトルとして宮崎氏が挙げたのが「ロードモナーク とことん戦闘伝説」。4つの国が存在するマップで勝利を目指すリアルタイムストラテジー(シミュレーション)ゲームである。当時はセガと日本ファルコムでセガ・ファルコムという会社も設立されたが、本作の開発は大宮ソフトが担当したという。
宮崎氏は開発者達との縁もあるが、そのゲーム性がお気に入りだという。チクチクと作業を進めて勝利を目指す、その快感が味わえるゲームだという。「勝利を確信してから勝利に至るまでの5分間、その楽しさはぜひ味わって欲しいです」と宮崎氏はコメントした。その他にも、「ラングリッサーII」、「ハイブリッド・フロント」などシミュレーションがお気に入りとのこと。
奥成氏はやはり今回発表された2本の“新作”が最も思い入れが深くなったという。「テトリス」と「ダライアス」は、今回のために1から移植開発されたタイトルだ。「メガドライブミニ」は過去作の収録だけではなく、新作を収録しているのである。
奥成氏がセガに入社したのが1994年。「クロックワークナイト ペパルーチョの大冒険」などを開発するセガサターンの部署に配属された。このため、結局メガドライブソフトの開発には関われなかったとのことだ。セガサターンのソフト開発は魅力的だったが、「メガドライブに関わりたかった」という想いはずっと持っていたとのこと。その想いが25年という時を経て叶えられる、そこには感慨深いものがある。「これで自分も『メガドライブの開発経験がある人間になった』というわけです」と奥成氏は語った。
「テトリス」は、1988年にセガがアーケードで展開、メガドライブのソフトラインナップにも名前が挙がっていた。しかし発売されなかった。様々な憶測なども飛び交い、「メガドライブで発売されなかったテトリス」というのは、当時のゲームファン達の“ネタ”にもなった。その「テトリス」を今回は完全新作として「メガドライブミニ」に収録するのだ。
「テトリスの収録は、メガドライブミニの開発がスタートする所からずっと考えていました。今、メガドライブでテトリスを出すという上で必要な様々な了承も取り付け、実現しました」と宮崎氏は語った。「メガドライブでテトリスが出なかった」という記憶はコアなファンの心に残っており、“実現はしないだろう”と思いつつも、テトリスが「メガドライブミニ」に収録されるのでは、という話は挙がっていた。今回、そこに明確に「出す」という答えが提示されたのだ。
実は奥成氏はPS2で「テトリスコレクション」というソフトを開発していて、この時に今まで一度も他のハードで収録されなかった「セガの初代アーケード版テトリス」の移植を実現させている。「現在のテトリスとは異なる、当時のプレーヤーが遊んでいたテトリスを再現したい」というコンセプトで開発を行なった。そしてこの「テトリスコレクション」では、おまけとして、「当時メガドライブ向けに開発し、発売されなかったテトリス」も収録したのだ。しかし実は、「メガドライブ向けのテトリスは、実はあまり出来が良くなかった」のだと奥成氏は指摘した。メガドライブ初期の開発のため、メガドライブの性能を活かし切れてなかったというのだ。
こういった状況を踏まえ、「メガドライブミニでテトリスを出す」という、“ファンの夢を叶える”目玉要素として奥成氏が選択したのが「サプライズとして、メガドライブミニ向けの、完全新作テトリスを出す」ということだ。そしてその想いを「メガドライブミニ」を開発するM2と社長の堀井直樹氏に打診したという。
この時奥成氏が提示した「メガドライブミニのテトリス」は、「もし現在の、ゲームにも、メガドライブにも精通した開発者達が、テトリスに挑戦すれば、当時のセガのアーケード版が移植できるのではないか?」というものだった。そしてM2はその方向で開発を決めた。つまり今回の「テトリス」は、まず出るということのサプライズ、そして現在の技術で、アーケード版「テトリス」をメガドライブ向けに移植した“完全新作”という2重の驚きをもたらすタイトルなのだ。この発表をしたときのファンの反応が本当に楽しみだという。
「メガドライブミニには、何本ゲームを入れよう、というところだけでなく大きなサプライズをもたらしたかったんです。2019年現在のスタッフが、現在の技術と蓄積で生み出す完全新作を入れる、ということはなかなかユーザーさんも想像しないだろう、と思ったんです」と奥成氏は語った。
この時、「企画も含めた完全新作だと、メガドライブの時代を表現できない」と奥成氏は判断した。セガの生み出したメガドライブというハードの魅力は「アーケードゲームが家庭用ゲーム機で遊べる」というところにある。奥成氏はその“メガドライブの本質”の先に新作を入れようと判断した。だからこその「テトリス」と「ダライアス」なのだ。「当時のメガドライブでは出てなかったけど、当時のアーケード版をメガドライブ向けに移植していたらどんなゲームになるか?」それを、最高の品質で実現しようというのが、今回のこの2本なのである。
「ダライアス」に関してはアーケード版では3画面で表現していたものを1画面で表現しなくてはいけない。イメージ的にはPCエンジン版に「スーパーダライアス」という1画面で表現したものがあり、こちらを参考にしている。アーケードとゲーム性は変化するが、「メガドライブソフトとなればこうなる」というアレンジを加えている。
「Nintendo Switch版で『ダライアス コズミックコレクション』というのが発売されていて、そこでは歴代ダライアスが、当時の解像度のまま、Switchの画面で再現できる。今の時代はもうそこまで表現できます。しかしメガドライブミニではあえて“アレンジによる移植”という、メガドライブならではの手法で表現しています。『テトリス』はアーケードに可能な限り忠実な移植を目指し、『ダライアス』は当時タイトーさんがメガドライブで発売していたらどんなゲームになったか、を考えて作られました。こういう方が、皆さんお好きでしょう?(笑)」と奥成氏は語った。
当時のファンだからこそわかる背表紙の楽しさ。こだわりに満ちたUI
ここからは実際に「メガドライブミニ」の実機を見ることができた。筆者が感心したのはタイトル一覧。タイトルは発売日順や、あいうえお順、ジャンル別などにソートできる。当時のパッケージイラストをそのまま再現しており、メガドライブを持っていた人にはグッとくるところだ。
筆者が思わず身を乗り出してしまったのは、パッケージの“大きさ”を再現しているところ。理由はわからないが、「スーパーファンタジーゾーン」は当時なぜか小さいサイズで出ていたのをそのまま再現している。ソートは表紙だけでなく、背表紙スタイルも可能で、並べると「家でコレクションしていた記憶」が蘇る。そうだ、「ロードラッシュII」は分厚い海外製のパッケージだった……なんてことも確認できる。こういう細かいこだわりが「メガドライブミニ」なのだ。
「メガドライブミニでは、発売日順のソートがデフォルトになっています。メガドライブとともに歩んできた方々は、自分とメガドライブの歩みを思い出すことができると思います。買ってなくてもあのときああだった、これは買った、など思い出せると思います。これは40本を超える収録ソフトがあるメガドライブミニの強みだと思います」と奥成氏は語った。
各ソフトの詳細を見ることができ、ジャンルのソートもできる。メガドライブのソフトはアクションの比率が非常に多かった。また、現在とはジャンルの定義が異なる場合もある。「メガドライブミニ」ではメガドライブのパッケージに描かれていたジャンルアイコンを使っているところも楽しい。当時はなかったジャンルとして「格闘」、「アクションシューティング」のアイコンを足してあるが、こちらも当時風のデザインになっているところがうれしいところだ。
「ダライアス」を触らせてもらった。AとBのショットはそのまま押しっぱなしで撃ち続ける。敵の弾が速い上にキャラクターが大きくかなり歯ごたえがある。難しいが、当時のゲームは確かにかなり難しかったなと思い出すところもあった。「初めて触る人には難しく感じると思いますが、新作なのでゆっくり攻略して欲しいですね」と奥成氏は語った。
今後の可能性というのは、「まだ何も決まっていない」と宮崎氏は語った。奥成氏はセガゲームスの社長・松原健二氏から「先のことを考えて出し惜しみすることは考えるな」と言われたことを明らかにした。「これは次回に取っておこう」、「続編が出たら収録しよう」そういうことを考えず、この1つで出し切るつもりで「メガドライブミニ」を作るように、そういう気持ちで開発を行なったという。
その上で、今回の「メガドライブミニ」の開発で得られたノウハウ、知見は今後のセガにどう活かされるか? という質問をしてみた。奥成氏は「『メガドライブミニ』は始まりではなく、むしろこれまでの活動の集大成と言えます。これが始まりではなく、これまでの開発実績があったから、『メガドライブミニ』は生まれたんです」と答えた。
「メガドライブミニ」、そして2本の新作はM2でなくてはできなかったと奥成氏は語る。それはM2の創業時にメガドライブソフトを開発していたということもあるが、セガとM2が二人三脚で様々なゲーム開発を行なってきていたからだ。奥成氏とM2が、過去タイトルの復刻を行ない始めたのが2005年、そこからほぼ途切れなくセガの過去のソフトを現行ハードに移植している。その半分以上がメガドライブのソフトだ。
それだけのノウハウの蓄積、知見があるからこそ、42タイトルものソフトを収録した「メガドライブミニ」を今出すことができた。開発のM2側だけでなく、それをチェックする体制もセガ社内できちんとできていた事が大きい。「どういうアプローチでデバッグをするか」、「どのライブラリに何があるか」などをチェックし、資料を使うノウハウも膨大なものだ。「メガドライブミニ」は始まりではなく、これまでのセガの取り組みがあったからこそ実現できたハードなのだと、奥成氏は強調した。それは収録のための許諾を得るところまで、経験があるからこそスムーズにできたことなのだという。
なぜ伝説のクソゲー「ソード・オブ・ソダン」は収録されなかったか?
今回、インタビューの「こぼれ話」として宮崎氏が語ってくれたのが「収録されなかったタイトルについて」だ。ファンにとって様々なタイトルを収録して欲しいという想いはあるが、そこには選考基準や、「収録すべきタイトル」がある。選から漏れたタイトルの中には「修正箇所があまりにも多い」、「権利関係で許諾が得られなかった」というものもある。その中で「メガドライブの時代を語る」という中で外したくない、と開発陣が考えたのが「ソード・オブ・ソダン」だというのだ。
「ソード・オブ・ソダン」はメガドライブファンには強く心に残るゲームだろう。北米生まれのファンタジー世界を舞台としたアクションゲームで、操作性が極めて悪く、敵がひたすら左右から襲いかかるという単調なゲーム性の上、見えにくい落とし穴や、一撃死トラップだらけ、攻略方法は薬を飲み続け無理矢理進んでいくのみ、という「伝説のクソゲー」なのだ。当時の雑誌「BEEP!メガドライブ」では、読者の熱心な投稿により最下位に居続けた、ファンにとってある意味とても知名度の高いゲームなのである。「メガドライブミニ」を開発するにあたり、「『ソダン』はメガドライブという時代を語る上で外せないゲームではないか?」と、開発陣は考えたという。
なぜ収録されなかったか? それは「倫理問題」だ。「ソード・オブ・ソダン」はゴア表現がかなりきつく、CERO:Zでもアウトな表現まである。「メガドライブミニ」はCERO:Bであり、このソフトのためだけにZにしてユーザーを制限するのは違うだろう、ということで、「ソード・オブ・ソダン」は収録ソフトの候補からこぼれたのだ。確かに「怖い物みたさ」という気分で収録されたらプレイしてみたいが……そういった事情があれば収録から外れるのもやむなし、というところだろうか。
「メガドライブミニ」は、メインのターゲットは18歳以上どころか、40代、50代の層ではある。しかし昨今のピクセルアートや、シンプルなゲーム性に惹かれる若い層のユーザーへの取り込みも狙っているハードだ。メガドライブがあった時代には生まれていなかったような人にも手に取って欲しい。そういう想いもあって「メガドライブミニ」は開発されているとのことだ。
ファンへのメッセージとして宮崎氏は「期せずして令和最初に発売されるハードとなりました。メガドライブは1988年の昭和の末期に発売されたハードですから、とても良い時期じゃないかなと。30年前に遊んでいた人も、そのときまだ生まれていなかった人も、当時の日本がゲームの最先端だった時代、その中でも特殊な光を放っていたセガの代表的なハードです。ぜひ楽しんでいただきたいと思います」。
奥成氏は「僕は10何年もこういったゲームの開発・移植に携わってきましたが、今回の仕事は集大成と言えるものになりました。ただ今回コンセプトとして気をつけたのは、初めて触っていただいた方に、どれもこれも面白いと言っていただける形にしたかったんです。この黄金のラインアップには自信を持っています。当時触った方はもちろん、当時はスーパーファミコン派だった方にもメガドライブの素晴らしさを味わって欲しいです」と語った。
改めて開発者達へのメガドライブへの想い、メガドライブファンへの想いを実感させられたインタビューだった。「あの時代」を形として保存しておきたい、そういう想いに強く共感できたし、今回開発者の2人とあの頃のメガドライブの濃い話ができたのもうれしかった。「メガドライブミニ」は9月19日に発売される。今後の情報にも注目していきたい。