【特集】
【メガドラミニ全タイトルレビュー︕】「レンタヒーロー」
レンタルアーマーでヒーローデビュー! セガ節が炸裂した異色のRPG!!
2019年9月14日 00:00
- 1991年9月20日発売
セガが1991年にリリースした異色のヒーローRPG「レンタヒーロー」。筆者は昔に少しだけプレイしたことがあるのだが、子供の頃はRPGというゲーム性をあまり理解していたなかったため、ただひたすらエンカウントするザコ敵との戦闘を楽しんでいた記憶しかない。なので、この作品は前々からじっくりプレイしたいタイトルだったのだ。ほぼ初見プレイで「レンタヒーロー」の世界を味わっていいきたいと思う。
平凡な主人公が、ひょんなことからスーパーヒーローに!?
主人公・やまだたろう(デフォルト名)一家が新しい街に引っ越し、近所の人たちを招いたホームパーティのシーンからゲームが始まる。料理が足りないと出前を注文するやまだたろうだったが、届いたのは料理ではなく、特撮ヒーローのようなスーツ「コンバットアーマー」だった。
コンバットアーマーを身につけ、怪獣の着ぐるみを着た父と余興のヒーローショーを演じることになる。コスプレのつもりで着たコンバットアーマーだったが、その驚異のパワーで父を軽いパンチ一発で壁までぶっ飛ばしてしまう。ピクつきながら倒れる父。冒頭からコミカルなノリである。
その後、コンバットアーマーを開発する会社「セカ」から有無を言わせぬ勢いでアーマーのレンタル契約を結ばれ、強引な流れでレンタヒーローが誕生。ゲームの流れは、レンタヒーローとなって街の人たちから依頼される仕事をこなしていき物語を進めていくというもの。物語序盤は出前の配達や子供のラブレターを届けたりと、ヒーローの仕事とは思えないお手伝いレベルのものばかりだが、徐々に大きな事件へと発展していく。
本作はオーソドックスなRPGだが、戦闘パートに突入するとアクションバトルとなる。パンチやキック、武器による特殊攻撃など、ダイナミックなアクションが楽しめる。昔は戦闘部分だけをやたらとプレイしていたので、戦闘シーンを見た瞬間、「コレだよコレ!」と懐かしさを感じた。
オープニングで父を軽くふっとばしてしまったように、コンバットアーマーの力があれば街に蔓延る悪もサクッと成敗することができる。お手軽に無敵のヒーローになれてとても痛快なのだが、このコンバットアーマーにも注意する点が2つある。1つは電力。電力が無くなるとアーマーを装着できなくなってしまうので、動力源である「乾電池」を常に携帯しておく必要がある。
そしてもう1つがセカへの振込だ。コンバットアーマーはあくまでレンタル品なので、一定期間毎にレンタル料金を支払わなければならないという、なんとも現実的な決まりがあるのだ。振込期限が過ぎてしまうとアーマーを強制没収されてしまう。没収されてしまうと当然ながら戦闘は生身で戦わなくてはならない。主人公は生身の状態だとめちゃくちゃ弱いので、アーマーが使えなくなるのはまさに死活問題なのだ。
真の敵は金欠!? 上手なお金のやりくりがレンタヒーローの鉄則!!
レンタル代、電池代、回復代と、レンタヒーローとはとにかくお金が掛かるヒーローである。特に序盤では仕事の報酬も安いので、チンタラ時間を掛けて仕事をこなしているとそれだけで赤字になってしまう。重要な場面以外アーマーを脱いでいればお金の節約にはなるのだが、生身の状態だとフィールドの移動スピードがものすごく遅いという難点と、不意に敵と遭遇した場合病院送りにされてしまうという怖さがある。敵にやられて入院すると所持金の半分が飛んでしまうという絶望が待っているので、結果アーマーは片時たりとも手放せないのだ。
お金はヒーロー業の維持費以外の使い道もある。アーマーを開発するセカへ寄付することも可能で、寄付した金額に応じて武器の開発やアーマーの性能が強化される。お金の力でレンタヒーローはどんどん強くなっていき、新アクションも増えていく。お金を上手くやりくりしてヒーローを強くしていくのが、このゲームの醍醐味である。
今回プレイしていて、突如として窮地に立たされた場面があった。それは、間違えて大金をセカに寄付してしまい、すっからかんになってしまったのだ。「このドジが」と思うかもしれないが、寄付をする銀行窓口のやり口が巧妙で寄付をしたあとに「もう1,000ゴード寄付しますか」と立て続けに訊いてくるのだ。思いもよらない申し出に、気付かずボタン連打で応じてしまい、それなりにお金に余裕のあった生活が一瞬で金欠地獄に……。
電池1つも買えない危機に瀕し、そして、とどめと言わんばかりに迫るレンタル支払い期限。この状況は詰んだか?と思いつつ、苦し紛れに街の人に声を掛けていると、1人の男が「勝負に勝ったら100ゴードをくれる」と言うのだ。100ゴードという金額は子供からの依頼料より安い金額なのだが、四の五の言っている場合ではないので前のめりで勝負を受ける。
これだけ自信満々に勝負を挑んでくるということはそれほど強い敵なのだろうと警戒していたが、戦闘が始まってみると大したことはなくあっさり勝つことができ、100ゴードを難なくゲット。調子に乗ってもう一度話しかけてみると、まさかの何度でも勝負に挑むことができたのだ。その後は連戦連勝で稼がせてもらい、ヒーロー廃業をなんとか回避することができた。
小さな仕事から始まったヒーロー稼業だったが、銀行強盗退治や人命救助など、次第にヒーローらしい活躍をしていく。認知度が広まっていくと悪の世界からは危険視をされ、レンタヒーローに懸賞金が掛けられてしまう。賞金稼ぎや殺し屋から命を狙われることとなり、壮絶な戦いに巻き込まれていく。コメディタッチな緩い展開から一変する物語の見せ方は、プレイしていてグイグイ引き込まれる。
「レンタヒーロー」という作品を初めてしっかりプレイしたが、バカバカしいコミカルなノリや、アーマーをレンタルしてヒーローになるという斬新な設定など、セガテイストの面白さがふんだんに凝縮されているゲームであった。物語が進むにつれて先が気になる展開なのもワクワクさせられる。ストーリーもかなり盛り上がってきたのだが、このままプレイしていると止め時を見失ってしまうので、後ろ髪を引かれつつ一旦中断。続きはメガドライブミニ発売してからエンディングまでじっくりプレイしたいと思う。
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