【特集】
【メガドラミニ全タイトルレビュー︕】「ストリートファイターII ダッシュプラス CHAMPION EDITION」
アーケードからの移植度の高さが話題となった、メガドラ版「ストII」!!
2019年9月17日 00:00
- 1993年9月28日 発売
格闘ゲームブームの90年代、アーケードで爆発的な人気を誇っていた「ストリートファイターII(以下ストII)」。初代「ストII」からゲームバランスの調整や、CPU専用キャラであった四天王がプレイアブルキャラクターとして追加されるなどのチューンアップをされたものが、シリーズ第2弾となる「ストリートファイターIIダッシュ(以下ストIIダッシュ)」だ。
初代に引き続き、「ストIIダッシュ」も様々なコンシューマーハードに移植されていった。当時はアーケードとコンシューマーハードとでは性能に大きな差があり、アーケード版をそのまま完全移植というのが実現できなかった。仕方がない話なのだが、どのコンシューマー版もアーケードと見比べてしまうとグラフィックスなどが若干パワーダウンしているが、その中でも最もアーケード版に近い仕様で移植されたのが、本作「ストIIダッシュプラス」なのだ。
高い完成度で移植された本作だが、初報で発表された開発中の画面はファンが納得するクオリティではなかった。もっとも引っかかったのは黒帯問題だ。本来、体力バーのある画面上部には背景が映し出されているのだが、開発中のメガドライブ版では体力バーの部分に黒帯が敷いてあり、ゲーム画面全体が狭くなっていたのだ。アーケード版はおろか、他機種のコンシューマーハードでもここまでハッキリとパワーダウンを感じさせる移植はなかった。
この問題点を修正するためか、「ストIIダッシュプラス」の発売日は当初の予定より3カ月ほど延期された。そして完成版では画面を窮屈にしていた黒帯が無くなり、他機種と同じゲーム画面になっていた。
他のコンシューマー版と同等の仕様になったと思っていたが、ゲームをプレイしてみると他機種のバージョンを遥かに上回るクオリティだった。当時一番驚いたのがオープニング画面。アーケード版にあった、男2人が街中でストリートファイトをしているデモムービーがしっかりと再現されていたのだ。他機種ではデモムービーはカットされており、コンシューマー版で唯一メガドライブ版だけが忠実に再現していたのだ。
オープニングの他にも、リュウステージの空に月が出ていたり、ガイルステージの背景にいる軍人の数が多いなど、他機種では省略されていた細かな部分がアーケード版に近い形になっていた。強いて欠点挙げるとすれば、メガドライブ特有のノイズ交じりのキャラクターボイスだけが唯一残念なポイントだった。
タイトルの「プラス」は伊達じゃない! 本作だけのオリジナルモードで熱くなる!!
本作には「ストIIダッシュ」に加えて仕様の異なる「エキサイトモード」が収録されている。エキサイトモードでは、「ストII」シリーズの三作目にあたる「ストリートファイターIIダッシュターボ(以下ストIIターボ)」と同等の仕様で遊ぶことができる。「ストIIターボ」からの新技である「空中竜巻旋風脚」や「気功拳」などももちろん追加されている。タイトルは「ストIIダッシュ」だが、実質2バージョン収録されており、幅広い対戦が楽しめる1本となっている。
さらに、このメガドライブ版だけに収録されている「グループバトルモード」もかなり面白い。最大6対6のチームバトルが楽しめるこのモード。交互に使用キャラクターを選択していくのだが、このモードでは基本、相手と同じキャラクター選ぶことができない(裏技を使えば可能)。自分の得意なキャラクターを真っ先に取るか、相手の得意キャラを取って戦力ダウンさせるかなど、バトル前から戦略が熱い。ルールは総当たり戦で、合計勝利数が多いチームが勝ちとなる。このグループバトルモードは、ダッシュとエキサイトの両バージョンで遊ぶことができる。
ダッシュとエキサイトの両バージョンで、基本モードとなるアーケードモードもじっくりプレイ。メガドライブの6ボタンコントローラは「スト2」仕様ともいわれるだけあって、とにかく操作にストレスを感じさせない。セガサターンもそうなのだが、セガのパッドの方向ボタンは格闘ゲームとの相性が良く、コマンド入力がとてもやり易い。技やコンボなども高い精度で出すことができ、十分に対戦を楽しむことができた。
「ストII」自体は今でも定期的にプレイしているので懐かしいという感覚はなかったが、改めてメガドライブ版をプレイしてみると、いろいろな部分でアーケード版に近づける、コンシューマー移植の限界に挑戦していたのだと感じ取れた。他機種のコンシューマー版を遊んでいたプレーヤーにとっては感慨深い作品となっている。ゲームとしての面白さは言わずもがな折り紙つきなので、2パッド同梱の「メガドライブミニ W」を購入して、是非とも対戦に明け暮れてほしい。
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