【特集】

【メガドラミニ全タイトルレビュー!】「ゲームのかんづめ お徳用」

収録タイトルは"13本"!「16t」にいきなり度肝を抜かれる

1995年6月1日 発売

 メガドライブの名作40本と、「ダライアス」、「テトリス」という"新作"の計42本を詰め込んだ宝石箱のようなゲームハード「メガドライブミニ」。その収録タイトルの中でもひときわ異彩を放つのが、当時「ゲーム図書館」として配信されていたタイトルをまとめた「ゲームのかんづめ お徳用」だ。

 本作には「フリッキー」や「テディーボーイブルース」、「イカスぜ! 恋のどきどきペンギンランドMD」など単体でもメガドライブミニ収録タイトルになりそうな作品を始め、アクションやスポーツゲーム、テーブルゲームからパズルまで多彩な作品が詰め込まれ、メガドライブミニの中のまさに重箱のような存在感を放っている。

 本作を起動すると12本のタイトルがズラリと並び、その中から1本を選んで遊ぶような形になる。プレーヤー心理的には全タイトルをゆったりと確認した後、最初にカーソルが合っていた一番左上のタイトル「16t」から遊んでみるか……という気持ちにもなりそうなものだが、当時を知らない世代がそうしてプレイを始めるといきなり度肝を抜かれることになる。

ゲームを起動すると、まずタイル状に並べられた12本のタイトルの中から1本を選ぶことになる。デフォルト位置は「16t」
「フリッキー」や「テディーボーイブルース」、「イカスぜ! 恋のどきどきペンギンランドMD」などアーケードでおなじみのタイトルも収録されている

タイトル選択画面のデフォルト位置はいきなり異色の「16t」

 「ゲームのかんづめ お徳用」では殆どのタイトルにおいて、起動直後に世界観や設定、操作を説明するテキストが表示される。マニュアルがなくともゲームにスッと入れる仕組みで、これはプレイにおいて非常に助かる部分なのだが、「16t」においては起動後「このゲームは、どくでんぱによってつくられている。」というメッセージが表示され、血まみれの包帯を巻いたミイラのようなモンスターとコートを着た妙な男、近未来風のスーツをまとった女性を赤のシマシマ模様の囚人服のような服を着た少年が後ろから追いかけていく……というなかなかにカオスな光景が展開される。

不穏なメッセージと不穏な画面に一瞬不安に襲われる

 ゲームそのものは横画面のアクションで、画面上部のスロットから落ちてくる敵を主人公の「アップル だいきち(当時はもっと危険な名前だったと調べて知った)」が、16tのおもりを武器に倒していくというもの。おもりが敵に命中すると「グチャァ」といったSEとともに血しぶきが飛び散ったり、敵はやはり冒頭の説明で出てきたちょっと……大分気持ち悪いモンスターと近未来お姉さんだったりと、その世界観は異色。

 ただ、おもりは一定時間のチャージ制で、闇雲に連射していればいいわけではないということや、ステージの上下やおもりを足場にして敵を避けながら攻撃していく必要があること、そしておもりはすでに置いてあるおもりにぶつかるとバウンドしてさらに遠くに投げられたり、跳ね返ってきてアップル だいきちを襲撃したり(もちろん跳ね返ってきたおもりにぶつかるとミスになる)と、おもりの挙動がかなり面白い。敵が大量に出てくると確実に処理落ちしてしまうのが玉に瑕だが、その世界観と独自の手触りは非常に印象的だ。

世界観はオープニング通り不穏で奇妙だが、ゲームとしてはおもりの挙動が独特で面白い

アクションからパズルまで!"全13本"のゲームを楽しめる

 「16t」の世界観にやや飲み込まれそうになりつつ他のタイトルを起動してみると、いずれもどこか尖ったところのある、今プレイしても面白いタイトルばかりであることに気づく。個人的にはアクションパズルの「ピラミッドマジック」や「ハイパーマーブルズ」などが非常に気に入った。「ピラミッドマジック」は謎解き系のアクションで、マップに設置された宝箱を定められた順番どおりに開けつつゴールを目指していくというもの。パッと見では通れない通路や超えられない壁、足りない足場などを、知恵を絞ってその場にあるものと限られた主人公のアクションで切り抜けていくのだが、そこそこ高めの難易度と相まってパズルが解けた瞬間の気持ちよさは格別だ。

練り込まれたアクションパズルが楽しめる「ピラミッドマジック」。結構難易度は高めで、それだけに解けたときの爽快感と達成感はひとしお

 一方の「ハイパーマーブルズ」はボール状のマシンを操作して、体当たりで敵マシンをレーザーに弾き飛ばし、制限時間内に敵を全て破壊していくというタイトル。ルールはシンプルながら、敵マシンには自機より小さくて素早いものや、逆にぶつかるとこちらが大きく弾き飛ばされる巨大なものがいたり、フィールドには障害物や上を通ると滑るオイル溜まりのようなものがあったりと、マップごとに様々なギミックが仕掛けられている。敵にぶつかる方向を考えるのはもちろん、うっかり自機がレーザーに突っ込んでしまわないような位置取りが必要になるので、気づけばミシミシと音を立てるほどコントローラーを握りしめつつ熱中してしまっていた。

相手をレーザーに叩き込んで破壊する「ハイパーマーブルズ」。ルールがシンプルであるが故に燃える

 その他にもローグライクは今も昔も面白いことを教えてくれる「死の迷宮」、ピンボールやビリヤードのようなプレイ感の「パターゴルフ」、ポーカーとブラックジャック、スロットがプレイでき、お約束ながら一度始めると時間を忘れてしまう「メダルシティ」などなど、「ゲームのかんづめ お徳用」では様々なゲームが楽しめる。なお、タイトル選択画面の1番右下、つまり1番最後のタイトルは「アウォーグ」。一見メカやキャラクターの名前のようにも感じるが、これは両手に持ったCYBERウチワで空を飛ぶヒーロー「アウォーグ」という主人公の名前であり、ウチワ……扇ぐ……アウォーグ!というダジャレである。「ゲームのかんづめ お徳用」はどくでんぱの「16t」から始まり、ダジャレの「アウォーグ」で締めるという構成になっているというところも面白いポイントの1つと言えるだろう。

【魅力的な収録タイトル】
「死の迷宮」
「パターゴルフ」
「メダルシティ」
「ロボットバトラー」
「パドルファイター -大宇宙一のエアホッケー野郎!-」
「アウォーグ」

 ちなみに、発表当初「ゲームのかんづめ お徳用」には「全12本タイトル」が収録されるということだったが、メガドライブミニ発売前日に配信された「『メガドライブミニ』おまけ話」において、「『メダルシティ』にカーソルを合わせ、ABCボタンを押しながらスタート」することで隠された13本目のタイトル「キスショット」がプレイできることが明らかにされている。

 メガドライブミニの中の小さな宝箱「ゲームのかんづめ お徳用」。"13本"のゲームたちを、是非1本ずつプレイしてみてほしい。

隠しタイトル「キスショット」

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