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GIGABYTE、RTX50シリーズ搭載のゲーミングノートとWQHD/500Hz対応の最速QD-OLED27型モニターを発表
2025年4月10日 11:14
GIGABYTEは4月9日、メディア向けの新製品発表会を行ない、ゲーミングノートPC5製品とゲーミングモニター2製品を発表した。ゲーミングノートPCは、すべてNVIDIAの最新GPU「GeForce RTX 50 Laptopシリーズ」を搭載し、筐体も一新された新モデルとなる。ゲーミングモニターは2製品ともQD-OLEDを採用したハイエンドモデルであり、リフレッシュレート500Hzという世界最高のリフレッシュレートに対応した製品も発表された。発表会の様子をレポートする。
AMDの最新CPU「Ryzen AI 300シリーズ」の強みとは
今回、GIGABYTEから発表されたノートPCの中で、2モデルはAMDのRyzenを搭載している。そのため、最初に日本AMD 代表取締役副社長兼アジアパシフィック クライアントビジネス ディレクターの関 路子氏が、AMDのCPUについてプレゼンを行なった。その要旨は以下の通りだ。
AMDの製品は、PCだけでなく、クラウドやヘルスケア、産業機器、自動車などの分野でも広く採用されており、コンシューマーゲーム機の分野でもプレイステーション5やXboxなどに使われており、PCゲームでも高性能なものを提供している。今回紹介するRyzenプラットフォームでは、ゲーミングPC、AI PC、エンタープライズPCの3つの分野にフォーカスしている。企業向けのPCでは、グローバルでは35%に近いところまでシェアを伸ばしており、日本においてはもう少しシェアを伸ばしていかないといけないと考えている。
AMDでは、AI PCをHalo、Premium、Advancedという3つのカテゴリに分け、それぞれに最適なCPUを提供している。Ryzen AI 300は50TOPS、最適化が行われたソフトウェアでは55TOPSを実現する現時点で最速のNPUを統合した、世界で最もパワフルなPC向けAIエンジンである。CPUやGPUも最新世代であり、ライバルのQualcomm X Plus X1P-42-100やCore Ultra 7 258Vに比べて、マルチスレッド性能とNPU性能のベンチマークスコアも高い。さらに、省電力機能も優れており、最大24時間以上のバッテリー寿命を実現する。
RTX 5070 LaptopはRTX 4090 Laptopの性能を半分の電力で実現
続いて、NVIDIA シニア テクニカル マーケティング マネージャーの澤井理紀氏が、GeForce RTX 50 Laptopシリーズについての説明を行った。その要旨は以下の通りだ。
GeForce RTX 50シリーズは、電力効率と性能において前世代に比べて大きな飛躍を遂げており、ゲーミングにおいてはDLSS 4のマルチフレーム生成と、ノートPC向けのテクノロジーであるMax-Qを組み合わせることで、RTX 5070 Laptop搭載ノートPCで、前世代のフラッグシップであるRTX 4090 Laptop搭載ノートPCと同等のパフォーマンスを半分の電力で実現でき、AIにおいても、従来よりも2倍複雑なモデルを2倍の速度で処理できる。
GeForce RTX 50シリーズに採用されているBlackwellアーキテクチャには、さまざまな新機能が搭載されている。AIのためのTensorコアは、新たに4ビットの数値表現(FP4)をサポートし、これまでよりも大きなモデルを扱うことができ、最大1800 AI TOPSという驚異的な性能で高速に処理が行える。ビデオエンジンもアップデートされ、4:2:2のビデオフォーマットに対応する。
Blackwellによって実現可能になった技術の一つがDLSSマルチフレーム生成である。これはAIによって複数のフレームを生成することで、ゲームやコンテンツ制作のグラフィックスパフォーマンスを大きく引き上げる技術である。マルチフレーム生成によってグラフィックスパイプラインが大きく変わり、最初のフレームの4分の1だけが従来の方式でレンダリングされる。最初のフレームの残りの4分の3がAIによる超解像度で再稿され、続く最大3フレームの全体がAIによって新たに生成される。トータルで見ると、DLSS 4では表示されるピクセルの16分の15、約94%のピクセルがAIによって再構成または生成される。
実際のゲームにおいてもDLSS 4の機能をフル活用することで、DLSSを使わない場合と比べてフレームレートが最大8倍に向上する。さらに、DLSS 4ではTransformerモデルを導入することで、画質もさらに向上しており。DLSS 4の採用は、従来よりも早いペースで進んでおり、3月の時点で100以上のゲームやアプリがマルチフレーム生成に対応し、今後も多くのタイトルが対応予定である。
GeForce RTX 5090 Laptop搭載ノートPCは、DLSS 4対応ゲームならRTX 4090 Laptop搭載ノートPCの2倍程度のパフォーマンスを実現している。また、調査によるとゲーミングノートPCユーザーの70%がRTX 30シリーズまたはそれ以前のGPUを使っているため、GeForce RTX 50 Laptopシリーズに乗り換えることは大きな性能の飛躍となる。
RTX 50 Laptopシリーズを搭載したゲーミングノートPCの新製品、5モデルを発表
続いて、GIGABYTE 日本エリアノートPC営業担当のマービン氏が、今回発表された新製品を紹介した。以下はその要旨である。
2025年のGIGABYTEのゲーミングノートPCは、クリエイター系にも向いた「AERO」、ハイエンドモデルの「AORUS MASTER」、メインストリーム向けの「AORUS ELITE」、エントリー向けの「GIGABYTE GAMING」の4シリーズとなる。AUROS 18/16のRTX 5090モデルとRTX 5080モデルはすでに日本で発売済みで、AUROS 18は英語キーボード、AUROS 16は日本語キーボードである。AUROS 16のRTX 5090モデルは、67万円程度で販売されており、他社製品に比べると若干安い。RTX 5070 Ti搭載モデルは4月19日から順次発売予定である。AORUS ELITE 16は、筐体はAORUS MASTER 16とほぼ同じだが、素材が違い、価格帯が少し下がっている。AORUS ELITE 16は5月中旬発売予定で、価格は35万円からとなる。
AEROは、ライフスタイル、日常生活でも使いやすいノートPCを目指して、従来よりも価格を下げた。また、重量が1.9kgと軽いこともAEROの特徴である。GIGABYTE GAMINGは、エントリー向けのゲーミングノートPCで、コストパフォーマンス重視の学生や初心者ゲーマー向けである。さらに、今年のGIGABYTEのゲーミングノートPCは、すべて新しいAIソフトウェアが搭載されている。
AERO X16は、Ryzen AI 300シリーズを搭載したGIGABYTE初のCopilot+ PCであり、マイクロソフトとも協業してアピールしていきたい。GIGABYTEが、Ryzen搭載ノートPCを発売するのも4年振りとなる。ハイエンドモデルは、Ryzen AI 9 HX 370とRTX 5070 Laptop、価格を抑えたモデルはRyzen AI 7 350とRTX 5070 Laptopとなる。AERO X16は、5月上旬発売予定で、価格は27万円程度からとなる。今回発表された製品はすべてDolby Atoms対応である。
ハイエンドモデルのAUROS MASTERシリーズは18型と16型があるが、大型ベイパーチャンバーを採用と4つのファンを搭載するなど冷却性能にこだわっており、最大270Wの放熱性能を実現。RTX 5090 LaptopやRTX 5080 Laptopの性能を十分引き出せる。ゲームでよく使われるWASDキー周りの温度を下げる「WASDアイスタッチエリア」設計を採用し、快適にゲームをプレイできる。18型はMini LED液晶、16型は有機ELパネルだが、どちらもWQXGA/240Hz対応である。サウンドにもこだわっており、18型は6つのスピーカーを搭載、16型は4つのスピーカーを搭載している。
GAMING A16は、今年力を入れて販売していきたいと考えているエントリー向けのゲーミングノートPCであり、Ryzen 7 260搭載モデルとCore i7-13620H搭載モデルがある。Core i7-13620H+RTX 4050 Laptop搭載モデルはすでに発売中だが、Ryzen 7 260+RTX 5070 Laptop搭載モデルの発売は5月中旬、価格は26万円からの予定である。
GIGABYTE独自のAIソフトウェア「GiMATE」を搭載
GIGABYTEは、AIにも力を入れており、今回発表された新製品にはすべてGiMATEと呼ばれるGIGABYTE独自のAIソフトウェアが搭載されているほか、キーボードにGiMATEを呼び出すための専用ホットキーが用意されている。
GiMATEは、ハードウェアに関する設定などを、対話形式で行ってくれるもので、ローカルで動作する。一般のLLMのように、汎用の問いかけができるわけではないが、例えば、ファンの音が大きいので気になるときには、GiMATEを呼び出して「ファンの音を落としたい」と入力すれば、自動的にファンの設定が静音モードに変更される。
また、従来からAIを活用したCPU/GPU性能の自動調整機能や冷却機能はあるが、それらもより機能が向上したほか、新たにAIを活用したオーディオの最適化やノイズ除去、覗き見防止機能も追加された。さらに、Stable DiffusionやFlux AIなどの生成AIモデルを簡単に利用できるようにするGiMATE Creatorも搭載されている。GiMATE Creatorを使えば、各種の生成AIモデルを共通のインターフェースで利用できるようになり、初心者でも気軽に画像生成などを行うことができる。
27型WQHD/500Hz対応QD-OEDゲーミングモニターと24型4K/240Hz対応QD-OLEDゲーミングモニターも登場
最後に、GIGABYTE アジアパシフィックエリアのモニター製品プロダクトセールスマネージャーのローレンス氏が、ゲーミングモニターの新製品を紹介した。以下はその要旨である。
今回発表されたゲーミングモニターは、AORUS FO27Q5P(以下FO27Q5P)とGIGABYTE MO27U2(以下MO27U2)の2製品である。どちらもCESで発表された製品だが、発売はこれからになる。FO27Q5Pは、リフレッシュレート500Hzに対応した27型QD-OLEDゲーミングモニターであり、解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)である。DP 2.1(Display Port 2.1)に対応したフラッグシップモデルである。MO27U2は、GIGABYTE初の4K/240Hz対応27型QD-OLEDゲーミングモニターであり、166ppiという高精細な画面を実現している。MO27U2は、DCI-P3色域を99%カバーしており、Pantone認証も取得しているので、クリエイターにも最適である。
OLEDモニターは、画面の焼き付きが心配になるが、どちらの製品にも、GIGABYTE独自の冷却機構とAIによる「OLEDケア」が搭載されており、焼き付きを防いでいる。まず、冷却については、熱伝導率に優れたグラフェン放熱フィルムと四面換気、カスタムヒートシンクによりファンレスで高い冷却性能を実現。OLEDケアでは、固定表示部分の輝度を下げたり、1ドットずつ表示をずらすなど、さまざまな手法により、焼き付きを低減する。
また、Night VisionやUltra Clearなどのゲームを快適にプレイするための機能も多数搭載している。27型モニターを24型相当として使うことができるタクティカルスイッチも2.0に進化し、解像度だけでなくアスペクト比も16:9、4:3、5:4から選べるようになった。MO27U2の発売時期は現在調整中で、価格は15万円からの予定で、FO27Q5Pは発売時期、価格ともに調整中とのことだ。
ゲーミングノートPCとゲーミングモニターの実機が展示
会場には、今回発表された新製品が展示されていた。なお、27型WQHD/500Hz対応QD-OEDゲーミングモニター「FO27Q5P」はまだ試作機であり、一部の機能が実装されていないとのことだ。FO27Q5Pは、発売時期も未定とされており、今年の夏以降になると思われる。