インタビュー
サードウェーブ代表取締役社長 尾崎健介氏インタビュー
「全国高校eスポーツ選手権は3年で2,000校規模に!」日本を代表するeスポーツの“仕掛け人”に今後のビジョンを聞く
2019年6月7日 00:00
- 5月収録
順調な成長を見せる日本のeスポーツ界にあって、主役である選手たちを除き、選手を支える裏方の中で、もっとも影響力、実行力、そして実績を挙げている人物のひとりが、今回紹介する尾崎健介氏だ。PCショップ「ドスパラ」、ゲーミングPC「GALLERIA」を全国展開するサードウェーブの代表取締役社長にして、プロゲーミングチーム Rascal Jesterのオーナーだ。
尾崎氏は、2017年5月にIntel Extreme Masters Sydney 2017を視察後、世界に繋がるeスポーツ大会「GALLERIA GAMEMASTER CUP」を立ち上げ、2018年は、高校生向けのeスポーツ大会「全国高校eスポーツ選手権」、高校のeスポーツ部設立を支援する「eスポーツ部発足支援プログラム」、eスポーツコミュニティが集えるeスポーツ施設「LFS池袋 esports Arena」などを次々に立ち上げた。それらと並行して、JeSUのスポンサーに就任すると共に、多くのeスポーツ大会、チームをスポンサードしており、今年は新たな高校生大会として「STAGE:0 eSPORTS High-School Championship」を発表。さらに一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟の準備会も立ち上げるなど、その活動は留まるところを知らない。本業がPCメーカーであることをついつい忘れてしまうほど、凄まじいスピード、ボリュームでeスポーツ事業を展開している。それらすべての仕掛け人が尾崎氏だ。
ただ、この尾崎氏、稀代の“出たがらな屋”で、メディアのインタビュー依頼を即答で断わってくる。尾崎氏が三顧の礼で迎え入れた榎本一郎氏(サードウェーブ取締役副社長)が入社してからはその傾向に拍車が掛かり、尾崎氏は世界中を飛び回り、“新たな仕掛け作り”に専心しているとされる。
筆者は、ぜひこの尾崎氏のインタビューを実現し、尾崎氏がeスポーツにかける情熱を世に伝えたいと思い、断わられてからもサードウェーブの担当者に会う度にしつこくしつこく依頼し続けた。そして今回ついに単独インタビューに成功し、その想いの一端を聞き出すことができた。これはGAME Watchにとっても、日本のeスポーツ界にとっても貴重なインタビューになっていると思うので、ぜひ最初から最後までじっくりご一読いただきたい。
実は「PUBG」でドン勝を取るほどのゲーマー
――尾崎さん、本当にインタビューお受けにならないですよね。
尾崎氏: 顔があんまり良くないというか、人相が良くないので(笑)。
――私は尾崎さんとゲームとeスポーツの話がしたいとずっと思っていたんです。1年越しで、念願が叶いました(笑)。
尾崎氏: ありがとうございます。
――サードウェーブの担当者から、「事前に質問事項を出してください」、「お答えできないこともあります」とビシッと言われてしまったのですが、今日はざっくばらんにゲームとeスポーツの話をさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。
尾崎氏: よろしくお願いします。
――まずは、ゲーマーとしての尾崎さんを浮き上がらせたいと思っています。ゲームはどのくらいされますか?
尾崎氏: ゲームは種類問わず好きなので、やるときには4~5時間くらいやったりしますね。
――それは若い時ではなく、今でもですか。
尾崎氏: 今でもです。でも、そんなにないですよ。4~5時間やるのは、月1、2回くらいです。
――当然社長として大変お忙しいとは思いますが、日頃はどの位されますか。毎日コツコツなさったりしてますか。
尾崎氏: 毎日コツコツとかはやらないですね。時間が空いて、そういう環境が近くにあったら、家などではします。
――最近、どんなゲームをされましたか。
尾崎氏: 最近では「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)」ですかね。
――サードウェーブでも、様々な形で協力しているタイトルですね。「ドン勝」を取ったことはありますか?
尾崎氏: 1回だけあります。
――おお、それは自慢できますね(笑)。
尾崎氏: 取ったときはは、結構周りに自慢しました(笑)。
――それはいつ頃のお話ですか。
尾崎氏: 3カ月くらい前ですかね。
――現役のゲーマーとして「PUBG」をガンガンされているんですね。
尾崎氏: ガンガンというほどではないですが、たまたま運が良かったんだということでしょうね。実はゲームはあまり上手くなくて、ぶっちゃけ武器もどれが何に使えるのかもわからずに、一生懸命取って。とりあえず取った武器で戦ったら、最後に1位が取れました(笑)。
――その時は、1人で遊ばれたのでしょうか。それとも友人と一緒にされたんでしょうか。
尾崎氏: その時は1人でした。友達とやることはあまりないですね。
――それ以外では、どんなゲームをされますか。
尾崎氏: それ以外だったら「ロケットリーグ」。あとは囲碁とか。囲碁もゲームといえばゲームですよね。いろいろ触るようにはしているんですよね。あとは「荒野行動」をスマートフォンでやったりですね。
――尾崎さんがチームオーナーを務めるRascal Jesterが参戦している「LoL」に関してはいかがなんですか。
尾崎氏: 「LoL」は、ぶっちゃけそんなにわかってなくて。やったことはあるんですが、お金の使い方とか、その辺がまだわかっていなくて。やったことがあるという程度なんです。このキャラが好きだとか、eスポーツとしてどうというところまでは全然いっていないですね。
――PCメーカーの社長としては昔から存じ上げていますが、eスポーツのビジョナリストとして、尾崎さんとの最初の出会いというのは、2年前の「IEM Sydney 2017」ですよね。現地でお会いして、尾崎さんら3人とインタビューをさせていただいた時だと思うのですが、正直に告白すると私自身は、あのときに尾崎さんが示されたeスポーツの未来、eスポーツのビジョンを信じ切れなかったんですね。
というのは、当時はいちPCメーカーがそこまでeスポーツにコミットするのかということが信じられなかったんです。ところが、現在は、インタビューで話されたビジョン通り、むしろそれ以上の規模でeスポーツ事業を展開されている。これは率直に申し上げて凄いことだと思うんです。
私も先々週「IEM Sydney 2019」へ行って、白いパーカーを着た尾崎さんにインタビューしてもう2年が経過したのかと思ったんですが、まさにあっという間の2年だったように思いますが、尾崎さんの中でこの2年、どのような手応えがありますか?
尾崎氏: そうですね。手応えは「なくはない」というところですよね。2年前に比べれば、ちゃんと注目されてきたな、という風には思っていますけれども。私たちは1回の流行りではなく、ちゃんと文化として根付くということを信じているので、そこまでにはまだ途中だと思います。まだ、今の段階だと、eスポーツってどのゲームタイトルでやるのか、PCでやるのか、コンソールでやるのか、スマホでやるのか、というのがまだ固まっていない。ただ、勢いとしては良い感じだなと思っています。
――当時尾崎さんが実現したいと考えていたビジョンからすると、何割ぐらいが実現できていると考えられていますか。
尾崎氏: どうですかね。まだ2割ぐらい……。1割か2割くらいでしょうね。