【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「フリッキー」
シンプル操作で誰でも楽しめる、一度プレイしたら止まらなくなる傑作アクションゲーム
2020年11月25日 00:00
主人公フリッキーを操作して、ステージ内のあちこちにいるピヨピヨ(ヒヨコ)を集め、すべてのピヨピヨを家に連れて帰るとクリアとなる横スクロールアクションゲーム「フリッキー」。フリッキーが敵のニャンニャン(ネコ)やチョロ(トカゲ)に捕まるとミス(※ピヨピヨは敵に触れても、フリッキーから切り離されるだけでミスにはならない)となり、フリッキーのストックがなくなるとゲームオーバーになる。
操作はレバーでフリッキーの左右の移動と、ジャンプボタン1個だけという極めてシンプルな構成だが、一度遊び始めると不思議なほど夢中になってしまう。ついつい夢中になる理由はズバリ、ルールが簡単でわかりやすいことに加え、フリッキーがジャンプしたときの独特の操作感覚にある。他のジャンプアクションゲームに比べ、滞空時間がとても長く、なおかつ空中で微妙に慣性が掛かっている、つまり、左右の向きや軌道を急激に変えられないため、狙った場所に、思ったとおりのタイミングで着地させるのが意外と難しい。今回のアストロシティミニ版でも、この操作感覚はきっちりと再現されている。
さらにステージが進むにつれて、地形がどんどん複雑になっていく。操作感覚に慣れないうちは、思った場所になかなか飛び移ることができず、その間に敵キャラクターに捕まったり、せっかく集めたピヨピヨを切り離されるたびに、「ああ、もうちょっとでクリアできたのに!」などと思わずうなってしまうことだろう。しかし、ただジャンプをするだけでも、まるで空を飛んでいるかのような気持ち良さがあり、敵に捕まったときのフリッキーのリアクションや、ピヨピヨたちが文字どおりピヨピヨと鳴く声がとても可愛らしいので、ミスをしても不思議とストレスにならない。アクションゲームとしての手強さと、ほのぼのとした世界観を併せ持つところも、本作ならではの大きな魅力だ。
敵キャラクターは、ステージ内に置かれた植木鉢やトンカチ、電話機などを投げて(※ジャンプボタンを押すと投げる)命中させれば倒すことも可能。倒した敵が、グルグルと回転しながら消えていく演出も実に快感で、なおかつ敵を倒すとたまに得点アイテムが出現することもある。また、すべてのピヨピヨを一度にまとめて連れ帰ると5,000点の高得点が加算され、さらに30秒以内にステージをクリアすると、タイムボーナスも最高得点の10,000点が獲得できる。まるでカルガモ親子のように連なったフリッキーとピヨピヨを操り、敵キャラの追撃をいかにかわし、素早くかつすべてのピヨピヨをまとめて連れ帰るパターンを考えながら遊ぶと、本作の面白さはさらに増す。
敵キャラたちと「追い掛けっこ」をするだけなのシンプルなゲームでありながら、今遊んでも本当に面白い。パステル調でほのぼのとした温かみのあるグラフィックス、軽快でノリノリなBGMもきっちりと移植、再現しているのも、本作のファンにはうれしいとことろだろう。本作を知らないという人も、セガを代表する古典的名作アクションゲームの妙味を、この機会にじっくりと堪能していただきたい。
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