【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「フリッキー」

シンプル操作で誰でも楽しめる、一度プレイしたら止まらなくなる傑作アクションゲーム

導入年:1984年

基板:System1

開発:セガ

 主人公フリッキーを操作して、ステージ内のあちこちにいるピヨピヨ(ヒヨコ)を集め、すべてのピヨピヨを家に連れて帰るとクリアとなる横スクロールアクションゲーム「フリッキー」。フリッキーが敵のニャンニャン(ネコ)やチョロ(トカゲ)に捕まるとミス(※ピヨピヨは敵に触れても、フリッキーから切り離されるだけでミスにはならない)となり、フリッキーのストックがなくなるとゲームオーバーになる。

 操作はレバーでフリッキーの左右の移動と、ジャンプボタン1個だけという極めてシンプルな構成だが、一度遊び始めると不思議なほど夢中になってしまう。ついつい夢中になる理由はズバリ、ルールが簡単でわかりやすいことに加え、フリッキーがジャンプしたときの独特の操作感覚にある。他のジャンプアクションゲームに比べ、滞空時間がとても長く、なおかつ空中で微妙に慣性が掛かっている、つまり、左右の向きや軌道を急激に変えられないため、狙った場所に、思ったとおりのタイミングで着地させるのが意外と難しい。今回のアストロシティミニ版でも、この操作感覚はきっちりと再現されている。

 さらにステージが進むにつれて、地形がどんどん複雑になっていく。操作感覚に慣れないうちは、思った場所になかなか飛び移ることができず、その間に敵キャラクターに捕まったり、せっかく集めたピヨピヨを切り離されるたびに、「ああ、もうちょっとでクリアできたのに!」などと思わずうなってしまうことだろう。しかし、ただジャンプをするだけでも、まるで空を飛んでいるかのような気持ち良さがあり、敵に捕まったときのフリッキーのリアクションや、ピヨピヨたちが文字どおりピヨピヨと鳴く声がとても可愛らしいので、ミスをしても不思議とストレスにならない。アクションゲームとしての手強さと、ほのぼのとした世界観を併せ持つところも、本作ならではの大きな魅力だ。

ピヨピヨを捕まえて家に送り届けると得点が加算され、すべてのピヨピヨを連れ帰ればステージクリアとなる

 敵キャラクターは、ステージ内に置かれた植木鉢やトンカチ、電話機などを投げて(※ジャンプボタンを押すと投げる)命中させれば倒すことも可能。倒した敵が、グルグルと回転しながら消えていく演出も実に快感で、なおかつ敵を倒すとたまに得点アイテムが出現することもある。また、すべてのピヨピヨを一度にまとめて連れ帰ると5,000点の高得点が加算され、さらに30秒以内にステージをクリアすると、タイムボーナスも最高得点の10,000点が獲得できる。まるでカルガモ親子のように連なったフリッキーとピヨピヨを操り、敵キャラの追撃をいかにかわし、素早くかつすべてのピヨピヨをまとめて連れ帰るパターンを考えながら遊ぶと、本作の面白さはさらに増す。

敵キャラは、ステージ内にあるさまざまな物を当てて倒すことも可能。一度に複数の敵を倒すとさらに得点が増える
ステージ内にいるすべてのピヨピヨを速攻で捕まえて、いっぺんにまとめて連れ帰るとスコアがどんどんアップするのも楽しい
ステージが進むと地形がどんどん変わり、ピヨピヨを連れ出すためにはより正確なジャンプ操作が必要となる

一定間隔でボーナスステージが登場。シーソーから飛び上がったピヨピヨを、網で捕まえた数だけボーナス得点が加算される。

 敵キャラたちと「追い掛けっこ」をするだけなのシンプルなゲームでありながら、今遊んでも本当に面白い。パステル調でほのぼのとした温かみのあるグラフィックス、軽快でノリノリなBGMもきっちりと移植、再現しているのも、本作のファンにはうれしいとことろだろう。本作を知らないという人も、セガを代表する古典的名作アクションゲームの妙味を、この機会にじっくりと堪能していただきたい。

サングラスをかけたピヨピヨは、ニャンニャンに捕まっていったんフリッキーから離れた後はステージ内をフラフラ歩き回るため、再回収しにくくなる特徴がある
10面から新たな敵、チョロ(緑色のキャラ)が登場。トリッキーな動きをするので行動が読みにくい
高精細の液晶モニターを搭載し、HDMI出力にも対応したおかげで、アーケード版ではわからなかったドット絵の細かい描き込みがハッキリわかるのもうれしい