【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「ソニックブーム」
33年の時を経て、ついに初の移植が実現。個性あふれる縦スクロールシューティング
2020年12月1日 00:00
「ソニックブーム」は8方向レバーと攻撃ボタン、スーパーショット(ボンバー)ボタンを使用して自機を操り、敵を倒していく縦スクロールシューティングゲームで、家庭用に移植されるのは今回が初めてとなる。1周全6ステージで、空中には自機とよく似たデザインのジェット機型の敵機が数多く出現するのが特徴で、地上にもステージによって戦車や固定砲台などの敵キャラが出現する。ゲーム開始やリスタート時、あるいは各ステージでボスが出現したときには、英語でプレーヤーに向けた指令(ボイス)が流れる演出もあり、パイロットになったかのような気分でゲームが楽しめる。
攻撃ボタンを押すと自機が放つショットは正面にしか撃てないが、縦長でレーザーのような形状で、耐久力の高い敵に命中したときに鳴る、カンカンという音がとても気持ちいい。筆者はこれまで多くのシューティングゲームをプレイしてきたつもりだが、本作のようなショットの形状や撃った際の感触は非常に珍しく、他に類を見ない独特の面白さがある。
赤色の敵編隊を全滅させると、自機の攻撃力をアップさせる役割を果たす、オプションファイターが装着されるパラシュート(アイテム)が、黄色の敵編隊を全滅させるとスーパーショットのストックが増えるパラシュートが出現する。より先にのステージに進むためには、当然ながらその倒し方と、アイテムを回収するパターンをマスターすることが必須条件となる。
オプションファイターは自機の側面に固定され、攻撃ボタンを押すと前後に1発ずつショットを発射する。同時に最高4機まで装着することが可能で、特に後方から敵が出現する場面では1機でも重宝する。ただし、オプションファイターは敵や敵弾に当たったり、自機がやられると消えてしまうので、ボス戦を迎えるまでに1機でも多く残しておきたい。
一方のスーパーショットは、オプションファイターの数によって3種類に変化する。オプションファイターがゼロのときはミートボールキャノン、1または2機のときはバグキャノン、3または4機のときは、さらに強力なソニックブームウェイブを放つ。いずれも画面内の敵弾を一掃し、ボスキャラなどの強敵にも大ダメージを与えることができる。
うれしいことに、アストロシティミニ版には超高速でショットが撃てる連射ボタンが搭載されているので、特に各ステージの最後に出現するボスキャラや、耐久力の高い敵には絶大な威力を発揮する。ただ速過ぎるあまり、ザコ敵が上下左右に散らばった場所で使用するのは、撃ち損ねた際に体当たりを受けるリスクが高まるので避けたほうが無難だ。
これはあくまで筆者の体感だが、本作は自機の当たり判定がやや大きめで、移動速度も遅めに設定されている。よって、敵弾をかわすときはなるべく上下左右に大きく動き、狭いスペースには極力入らないようにしたい。なおスーパーショットは、途中でストックがゼロになってもステージクリア後には必ず3個補充されるので、特にボス戦では惜しまずにどんどん使いまくることをおすすめする。
本作の難易度はかなり高めと言える。1面の開始直後から、スクロールで消えかかった道路の隅から戦車が突如出現し、たとえ自機の背後からでも容赦なく弾を撃ってくる場面が何度も登場する。しかも敵弾のサイズがかなり小さいので、初めてプレイしたときはその存在に気付かず、あるいは気付いたときには至近距離から弾を撃たれて避ける間もなく、あっという間にやられてしまうからだ。またアイテムを取るときにも、画面の左右から突如出現して突っ込んでくる敵機や敵弾をついつい見落としやすくなので、本作をガチで攻略するのであれば、HDMIケーブルで、テレビやPCのモニターに接続してプレイすることをおすすめする。
ミスをした場合はボス戦も含め、特定の地点に戻されてからリスタートすることもあり、1周クリアするのはかなり難しい。今まで一度も移植されなかった原因のひとつが、おそらくここにあるのだろう。だが今回、本作がアストロシティミニに収録されたことによって、レーザー状のショットを連射したり、オプションファイターを利用して背後の敵を狙い撃てるなど、独特の面白さを持った本作を遊べる機会に再び恵まれたことは、シューティングゲーム好きにとっては喜ばしいことであるのは確かだ。
1980年代からの熱心なセガファンであれば、本作がセガ・マークIII用ソフト「ボンバーレイド」(※1989年発売)の原作にあたることはご存知かもしれないが、元祖アーケード版の発売からすでに33年も経過した今となっては、その存在を知らない人も少なくないだろう。「『ボンバーレイド』は遊んだけど、『ソニックブーム』は知らないよ」という人も、本作と「ボンバーレイド」とでは内容がまったく異なるので、アストロシティミニを手に入れたならばぜひ一度お試しを。そして、かつて難しさのあまりゲームセンターでクリアを断念した人も、本機に搭載されたプレイデータのセーブ機能を利用しつつ、ぜひエンディング到達を目指してほしい。
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