【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「ぷよぷよ通」

現代のeスポーツでも採用されるルールを確立した、対戦パズルの金字塔

導入年:1994年

基板:C2 Board

開発:コンパイル

 「ぷよぷよ通(つう)」は、現在はeスポーツタイトルとしても人気を誇るパズルアクション「ぷよぷよ」シリーズの第2弾として、1994年にアーケードに登場した。画面上から2個ずつの組で落ちてくるカラフルな「ぷよ」を4個以上並べて消すという、前作で確立されたルールはそのままに、対戦におけるバランスを重視した新たなルールが設定された続編である。

1人プレイ時の「ひとりでぷよぷよ」は、「魔導物語」のキャラクター達が登場し、プレーヤーのアルルと対戦する
名物の「漫才デモ」は、この「ぷよぷよ通」ではなくなり、キャラ紹介だけとなった
塔で遭遇する敵キャラクターと戦い「経験値」が規定数を超えると次の階へすすむ

 コンパイルのRPG「魔導物語」の世界観を踏襲し、そのキャラクターである「ぷよぷよ」を落ちものパズルのブロックとして採用した「ぷよぷよ」は、家庭用ゲームとしてその原型が完成し、後にアーケードで1992年にリリースされた。この「ぷよぷよ通」はその2年後の1994年にリリース。その数カ月後にはメガドライブにも移植され、新ルール下での対戦システムが高い評価を得て、そのルールは現代の新作まで受け継がれている。

ぷよを連鎖的にたくさん消すことで、あいてに「おじゃまぷよ」が送られる仕組みだ
おじゃまぷよは透明で、隣接するぷよを消すことで一緒に消える

 ゲームは1人プレイ用のストーリーモード「ひとりでぷよぷよぷよ」と、2人プレイ用対戦モード「ふたりでぷよぷよ」、そして前者をプレイ中に他のプレーヤーが乱入したときの全てのプレイが対戦ルールのもとに行なわれる。自分の盤面のぷよを一定数消すと、相手に「おじゃまぷよ」が送られるというルールは前作を踏襲しているが、本作ではおじゃまぷよを送られた側が、それが送られてくる前に規定数のぷよを消すことで「相殺」することができるのである。このルールが採用されたことにより、前作では「相手より先に大きな連鎖を打ったほうが有利」だったものが、本作では「相手よりも大きな連鎖を打ったほうが有利」という戦略へと変化し、連鎖数だけだなく、連鎖を打つタイミングや、大連鎖を打った後の攻防なども重要となり、立ち回りが大きく変わった。

相手からおじゃまぷよが送られたときに画面上に表示される「予告ぷよ」を、こちらの連鎖によって相殺するのだ
相殺分よりも大きな連鎖をすることで、おじゃまぷよを返すことができる

 その他にも盤面のぷよを全て消したときに発生する「全消し」や、回転ができない場所に落下中のぷよが入ったときにボタンを素早く2回押すと上下のぷよを入れ替えられる「クイックターン」、次の次に出てくるぷよまで見える「ネクスト2ぷよ」といったシステムもこの「ぷよぷよ通」から備わったルールだ。

全消しをすると、盤面に「全消し」と表示され、次にぷよを消したときに大量のぷよを相手に送り込む
左右がぷよや壁に挟まれた1ライン分の隙間に落下中のぷよを入れたときに、ボタンを2回押すと上下が入れ替わる

 「ぷよぷよ」は現在、eスポーツタイトルとしてセガ主催のプロ・アマ大会が1年を通して行なわれていて、そこで採用されているのがこの「ぷよぷよ通」のルールであり、その対戦ルールの完成度の高さが伺える。さらにこのアーケード版を使った世界大会も行なわれるなど、発売から26年が経った現在も高い人気を誇っている。

対戦時は、3つのルールから選んでプレイできる
腕の差があるときは、ハンディキャップを付けることも可能

 アーケード版のリリース後、メガドライブやゲームギアをはじめ非常に多くのハードに移植され、遊んだ経験がある人も多いと思われるが、アーケード版が完全移植される機会は数える程度しかなかった。この「アストロシティミニ」版も、オリジナルの面白さは健在で、本体装備のジョイスティックでプレイできるのもいい感じだ。ただし移植版と違ってモード自体は少ないので、対戦相手を見つけられれば理想的だ。また前作の「ぷよぷよ」も収録されているので、対戦におけるプレイフィールの違いを試してみるのもいいかもしれない。