【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「エイリアンストーム」

型破りの痛快アクション! 侵略者どもを完膚なきまで駆逐せよ!!

導入年:1990年

基板:System18

開発:セガ

 アストロシティミニに収録されているタイトルの中で、もっともセガの(良い意味の)バカバカしさが炸裂しているのが「エイリアンストーム」ではないだろうか。本作は「SHINOBI 忍」、「ゴールデンアックス」を手掛けたチーム・シノビが開発したベルトスクロールアクションゲーム。タイトル画面では過去の開発タイトルのロゴが流れる演出があるのだが、チーム・シノビの集大成! といった雰囲気が出ていてカッコいいのだ。

「忍」や「ゴールデンアックス」を超えるという気概が見て取れる

 普段はハンバーガー屋を営むエイリアンバスターズの2人と1体のロボットが、地球に襲来してきた宇宙人を退治するという、バリバリのB級映画ノリが全開の作品だ。どこの誰かから緊急指令が入り、ハンバーガー移動販売車の看板が「ALIEN BURGERS」から「ALIEN BUSTERS」に変わって出撃するシーンがなんともイカしている。このノリは好きか嫌いかが大きく分かれそうなところだが、筆者的には大好物である。

平和な日常が1本の電話で一変
看板の文字が変わる表現がクール
客を置いて出動

 世界観もさることながら、2人と1体の主人公も曲者揃い。筋骨隆々の青年「ゴードン」は、レーザー銃や拳銃、キャノン砲などの多彩な武器を操る戦士。軍に友人がいるという彼の大技「スペシャル攻撃」では、爆撃機を呼んでエイリアンを一掃するという破天荒さ。軍に友人がいるからってそんなホイホイと軍の爆撃機をすっ飛ばして来てくれるのかとツッコミたくなる。

バラエティに富んだ武器で敵を殲滅
呼ぶ方も呼ぶ方だが、市街地で爆撃をかます友人もかなりヤバい

 男勝りのお姉さん「カーラ」は、汚物は消毒と言わんばかりに火炎放射やグレネードでエイリアンを焼き払う。カーラのスペシャル攻撃はゴードン以上に強烈で、なんとICBMを降らせて辺り一面を焦土にするというとんでもない技だ。なぜICBMが呼べるのかは不明らしく、もう何でもアリである。

ゴードンに負けず劣らずパワフルな戦いっぷり
エイリアンを倒すためとはいえICBMはやり過ぎ!

 最後のキャラクターは、全身が武器で構成されているトンデモロボットの「スクーター」。電撃鞭を振るい、バズーカをぶっ放し、背中からミサイルを発射したりと、まさに歩く武器庫といった様相。爆撃機、ICBMと来て、次はどんなものをスペシャル攻撃で呼んでくるのかというと、まさかの“自爆”である。身体が木っ端みじんに吹き飛んで首だけが地面に転がったところを、新しい身体が走ってきて頭を拾い上げるというコミカルな演出は必見だ。

お辞儀でミサイルを飛ばしたりと、ビジュアル的に面白い
自爆後に新品ボディが走ってくるのがなんともシュール

 世界観とキャラクターはぶっ飛んでいるものの、ゲームは「ゴールデンアックス」同様のしっかりとしたベルトスクロールアクション。この手のジャンルで主人公たちが銃火器を使うというのはとても珍しく、攻撃を食らわせるとエイリアンが火ダルマになる演出がとても爽快なのだ。

攻撃のエフェクトがド派手で、プレイしていて気持ち良い

 基本ステージはオーソドックスなアクションゲームなのだが実はこのタイトル、道中でゲーム性が大きく変わるのも特徴。建物の中に入ると3Dシューティングパートに突入する。スーパーマーケットに籠るエイリアンを商品もろとも容赦なく吹き飛ばしていくのも最高にスカッとする。この一人称視点ではエイリアンたちもドデカく表示されて、迫力と不気味さが実に良く出ている。

 超スピードで逃げていくエイリアンたちを追いかける高速スクロールシューティングもある。「お前ら本当に人間か?」と疑いたくなる速度で疾走する主人公の姿は、バカバカしくて最高に笑える。

 1つのゲームにアレもコレもと3つのゲームパート盛り込む姿勢は、開発の熱量が感じられる。作風はふざけていても作り手はマジである。

エイリアンを倒す為なら犠牲はしょうがないという精神で、建物内で暴れたい放題
静止画だとわかり辛いが、目まぐるしいスピードで走っている

 「エイリアンストーム」は、ユーモアとセンスの塊とも言える作風と、プレイしていて味わえる突き抜ける爽快感が1つになったセガの傑作といえる1本。プレイしていてとにかくエイリアンのデザインが気持ち悪く、敵が現われるやいなや「野郎! ぶっ殺してやる!」という気持ちにさせてくれる不思議な魅力もポイントだ。

 全体的に難易度が低めなのでボタン連打でサクサク進めることができる。設定やストーリーなど細かい話は抜きにして、無限コンティニューで頭空っぽにしながら遊ぶのが至高のゲームである。

 本作は2人同時プレイにも対応しているので、趣味の合う仲間内で遊べばエイリアンをバスターするのがより盛り上がることだろう。