【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「ボナンザブラザーズ」
正義の兄弟ギャングが繰り広げる、お宝強奪大作戦。ステルスアクションも熱い!
2020年11月24日 00:00
「ボナンザブラザーズ」は、1990年にゲームセンターに登場したアクションゲームだ。正義の大泥棒(当時のチラシには“おとぼけギャング”とある)の「ロボ」と「モボ」の兄弟が指令を受けて、市民を脅かす悪人の町「バッドタウン」の建物に忍び込み、厳しい警備をかいくぐって証拠品となるお宝を全て盗み出し、ゴールから脱出するというゲームが展開する。
サイドビューのステージが映っているのは画面の半分だけで、2人プレイをすることで両方が映るようになっている。両方の画面は一つのステージの中の、ロボとモボがいる場所を中心に映し出していて、2人で協力してお宝を取っていくのである。
目を惹くのは3DCG然としたグラフィックスだ。本作のシステム基板「System 24」は24.830kHの高解像度モニターで画面を表示していて、当時のゲームセンターの中でも、際だって美しく見えたのだ。この「アストロシティミニ」には「スクランブルスピリッツ」や「ゲイングランド」などSystem 24でリリースされたタイトルが揃っているが、この「ボナンザブラザーズ」は当時注目されつつあった3DCGを意識したグラフィックスで描かれていた。グラデーションが美しい背景と、ツヤのあるおもちゃの人形のようなキャラクター達の組み合わせは画面映えし、その当時同じゲームセンターにあった他のゲームよりも綺麗に見えたのである。また本作のキャラクターデザインは以降、「タントアール」シリーズへと受け継がれている。
2人が忍び込む建物は、銀行や富豪の邸宅、造幣所など、お宝が眠っているところばかりだ。建物は警備が厳重で、あらゆるところに様々なタイプの警備員が配置され、こちらを発見すると攻撃をしてきたり、警笛を鳴らして仲間に知らせたりするので厄介だ。彼らは特定の巡回ルートを巡回していて、規程の範囲に接近するまで気づかれることはないので、死角になる場所に移動するまで隠れたり、よそ見をしている間にすり抜けたりするのが本作における基本戦術となる。今で言う“ステルスアクション”の走りともいえるゲームデザインが、この当時から施されていたのである。
プレーヤーに与えられた時間は1ステージにつき3分しかない(ミスをするとリセットされる)ので、いつまでも隠れて待っているわけにはいかない。手持ちの麻酔銃やステージにあるギミックなどを上手く使って、警備員を気絶させたり、その目を欺いたりして進んでいくのがポイントだ。また2人プレイならば、手分けしてお宝を集めることができるので、攻略方法も変わってくるだろう。
本作でもうひとつ惹かれるのはサウンドだ。System 24のFM音源を使ってステレオで演奏されるアダルトなBGMはゲームの雰囲気にマッチしていて、遊んでいて実に心地がいい。当時のゲームセンターで筆者は「エアロシティ」の筐体に入っていた本作を遊んだ記憶があり、大音量で流れていたBGMはとてもインパクトがあった。ステージ開始時とステージ1のBGMのメロディは、今でも口ずさめるぐらい好きだったりする。
アーケード版のリリースから比較的早い段階でリリースされたメガドライブ版や、録り下ろしのBGMが流れるPCエンジン版、アレンジ移植された「セガエイジス2500」版など、移植の機会が多かった本作だが、アーケード版の完全移植はあまり機会がなく、この「アストロシティミニ」で初めて遊ぶという人もいるかもしれない。後半のステージはマップが複雑になり、敵や集めるお宝の数も増えるのでかなり難しくなるが、コンティニューはその場で復活できるので、ぜひチャレンジして、全12ステージをクリアしてみてほしい。
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