【特別企画】

「アストロシティミニ」最速プレイレポート

サイズはミニでも懐かしのアーケードゲーム36タイトルがタップリ。快適に遊べる!

【アストロシティミニ】

12月17日発売予定

価格:12,800円(税別)

 懐かしのアーケード用ビデオゲーム筐体、アストロシティをミ二サイズにして復刻し、セガ製アーケードゲーム36タイトルを収録したアストロシティミニ。発売まで2カ月あまりとなった9月某日、ついに全タイトルを収録した本機のプレイ取材が実現した。

 今回の取材でお借りしたのは、東京ゲームショウ2020オンラインのセガ/アトラス公式番組でも発表された、レバーボールとボタンがピンク色になった本体と、別売りのアストロシティミニアーケードスティック。ミニサイズになったコンパネの操作感、液晶ディスプレイで表示した懐かしのゲーム画面は、はたしてどんな出来栄えなのか? あるいは、移植再現度やオリジナル機能はどのようになっているのか? 以下、4タイトルをプレイしたうえでまとめた、ファーストインプレッションレポートをお伝えしよう。

【アストロシティミニ本体とアストロシティミニアーケードスティック】
取材時にお借りした、レバーボールとボタンがピンクのアストロシティミニとアストロシティミニアーケードスティック。ピンク版は「バーチャファイター」シリーズなど、ゲームセンターで2P側の通信対戦筐体にしばしば使用されていた

コマンド入力も問題なし、過去最高の美しさを実現した「バーチャファイター」

 まず最初に選んだのは、全収録タイトルのなかでも最も有名なタイトルのひとつであろう、3D対戦格闘ゲームの金字塔「バーチャファイター」だ。本作で使用するボタンはパンチ、キック、ガードの3種類だが、ボタンが6個あるメリットを生かし、パンチとキックボタンをそれぞれ2か所に設定することで、セガサターンなどの家庭用から本作を始めた人にも遊びやすくなるように配慮している(※ボタン配置は下記の写真を参照)。

 本機のレバーとボタンは、いずれも実物のアストロシティよりも小さいが、打撃の連打や投げ技など、各種コマンドの入力も問題なくできる印象だ。プレイしていて特に感激したのが、元祖アストロシティ、あるいはアーケードスティックと同様にレバーを動かした際にカチカチという、レバーシャフトが内部のマイクロスイッチに触れたときの音、および感触が手にしっかりと伝わってくること。この音と感触をしっかり再現したことによって、ゲームセンターでプレイしたときと同様の気分になれるのがたまらなくうれしい。

 画面は小さくても見やすくて、処理落ちするようなことも特に見られなかった。むしろ最新の液晶ディスプレイを使用したことで、ブラウン管のモニターが主流だった時代に登場した作品でありながら、まるで新作ソフトを見たかのように綺麗だなと思える画質が良かった。とある開発スタッフが、「おそらく、過去最高に綺麗な『バーチャファイター』の移植版です」と太鼓判を押していたのも確かにうなずける。デモ画面やサウンドなども筆者が見た限りでは違和感がなく、すべての面で移植再現度は非常に高かった。

 対戦、あるいはCPU戦でのタイムアタックを極めようとするのであれば、多少力を入れても動かない安定・重量感があり、かつて「バーチャファイターー5」用に発売されたバーチャスティックと同じパーツを使用して作られた、アーケードスティックでプレイするのがベストだろう。だが、本体の小さなレバーとボタンだけでも十分に楽しめるハズだ。

【「バーチャファイター」】
メニュー画面でタイトルを選択すると、操作方法が表示される親切設計。プレイデータのセーブができるのも実にうれしい
ビジュアルもコマンド入力時の操作も違和感ナシで快適に遊べた

きめ細かく描かれたビジュアルに改めて驚かされた、アクションゲームの名作「フリッキー」

 次に、「バーチャファイター」とは逆に収録タイトルのなかでは最も古いアクションゲーム「フリッキー」(※アーケード版は1984年発売)をチョイスしてみた。本作は、主人公のフリッキーを操作して、敵のニャンニャン(ネコ)やチョロ(トカゲ)を避けながらステージ内に点在しているピヨピヨ(ヒヨコ)を捕まえて、家(扉のある地点)まで送り届けるというアクションゲームである。

 極めてシンプルな内容だが、一度にたくさんのヒヨコをまとめて助け出すと高得点となるアイデア、滞空時間の長い独特のジャンプ操作、そして可愛らしいキャラクターと軽快なBGMの組み合わせも絶妙で、少なくとも筆者のなかでは文句なしの名作である。アストロシティミニ版でも、その面白さはバッチリ再現されていた。

 「バーチャファイター」と同様に、液晶ディスプレイおよびHDMI出力にも対応したことで、キャラクターや背景のドット絵がきめ細かく描かれていることに改めて気付けたのも、アストロシティミニ版ならではのうれしいところだ。まだテーブル筐体が目立っていた時代のゲームセンターではなかなか気付けなかったであろう、開発者入魂のグラフィックスもこの機会にじっくりと愛でていただきたい。

【「フリッキー」】
主人公のフリッキーをはじめ、各キャラクターのドット絵がより鮮明に見えるようになった。元祖アーケード版を知る方であればきっと驚くハズ

連射機能搭載で快適に遊べる「スクランブルスピリッツ」

 今度は、クラシカルな2Dシューティングゲームのなかから、今回が初の家庭用への移植となった「スクランブルスピリッツ」を試してみた。

 本作の操作には8方向レバーと3個のボタンを使用するが、6ボタンを搭載した本機のメリットを生かし、AとDボタンに割り当てたショットボタンのうち、Aボタンをオート連射にしてあるのが実にうれしい。状況に応じてDボタンと併用することで、より攻略がしやすくなるなるハズだ。

 ボタンのサイズは小さいが、筆者が試した限りではショットを連射する際は指1本での連打(「ケイレン撃ち」)だけでなく、2本の指を交互に連打する「ピアノ撃ち」でも問題なくプレイすることができた。ただし、レバーはシャフトが短いので、筆者のようにクラシカルな通称「ワイン持ち」(※親指以外の2本の指でシャフトを挟んで持つ方法)は不向き。よって、レバーボールを上から親指と人差し指や中指でつまむ「かぶせ持ち」でプレイするといい。

 1面の対空母戦など、ボーナスエリアに進むと自機のサイズや背景が拡大表示され、超低空飛行で敵と戦うユニークなアイデアも本作ならではの面白いところ。2Dのドット絵で描かれたキャラクターや背景が拡大、または縮小する際のアニメーションや、スコア表示に使用されているフォントデザインを忠実に再現しているのもこれまたうれしい。

【「スクランブルスピリッツ」】
Aボタンがショットの連射になっているのがうれしい
ボーナスエリアなどで、キャラクターが拡大表示される演出もバッチリ再現

ポリゴン時代の前夜に登場した、独特の世界観が堪能できる「アラビアンファイト」

 最後に、こちらも初の移植が実現したベルトアクションゲーム「アラビアンファイト」をご紹介する。

 本作は、その名のとおり「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」をほうふつとさせる世界観が特徴。4人の主人公のなかから1人を選択し、8方向レバーと攻撃、ジャンプボタンの操作の組み合わせでパンチやキック、投げ技を繰り出して敵を倒していく。また、ランプのアイテムを取って「MGAGIC!」と画面に表示されているときにボタンを2個同時に押すと、画面内の敵にまとめてダメージを与える強力な魔法が使用できる。

 さまざまな技を駆使して敵と戦える楽しさに加え、砂漠やピラミッドなどの古代遺跡を舞台に、サーベルを持ったりターバンを巻いた敵が次々と出現する独特の世界観もかなりのインパクトがあり、見ているだけで何だか楽しくなってしまう。ポリゴンではなく、2Dのドット絵で描かれたキャラクターの拡大・縮小表示で遠近感を表現したビジュアルもバッチリ再現されていた。

 魔法で敵を一層したときも気分爽快。同じセガのゲームに例えれば、「マイケル・ジャクソンズ ムーンウォーカー」で、敵をマイケルといっしょにダンスさせて倒したときのような気持ち良さだと言えば、その快感が伝わるだろうか? また、魔法発動時は主人公たちが、カメラ目線でこちらに迫りつつポーズを取るアニメーションがカットインする演出も必見だ。

【「アラビアンファイト」】
ゲーム開始時に、4人の主人公キャラクターのなかから1人を選ぶ
ランプを取り、2個のボタンを同時に押すと強力なマジックが発動する
マジック発動時の、主人公がカメラ目線で叫ぶアニメーションは必見
マジックで敵を一掃したすると実に快感だ

 今回のところは、時間の都合もあり4タイトルに絞ったうえでのレポートなったが、いずれも操作性、移植再現度ともに問題がなく、しかもボタンの配置が的確で、タイトルによってはオート連射を搭載するなど、快適に遊べることがわかったのはまさに朗報であった。

 さらに、ピンク版の本体とアストロシティミニアーケードスティックをセットで購入すると、特典としてNEWアストロシティ(後期型のアストロシティ)のパネルを再現したパーツが付いてくる。すでに公表されている、別売りのアストロシティミニゲームセンタースタイルキット(※ベース、椅子、看板の3点セット)ともども、アーケードゲーム好きの心をくすぐるゲームとアイテムがズラリとそろったアストロシティミニの発売が本当に待ち遠しい。

【マニアックなセット購入特典が!】
特典アイテムのNEWアストロシティ型パネル。その時々の気分に合わせて、付け替えて楽しんでみては?