【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「スペースハリアー」
世界中のゲームファンを驚愕させた動く筐体がシンボルだった体感ゲームの代表作
2020年11月26日 00:00
「スペースハリアー」は、1985年にリリースされた3Dシューティングゲームだ。セガが同年に提案した「体感ゲーム」第2弾としてリリースされたタイトルで、プレイヤーの操作にシンクロして可動する筐体のインパクトのみならず、個性的なキャラクターや巨大なボスが登場する世界観、手前から奥に超高速で進んでいくスピード感などにも注目が集まり、1980年代のアーケードゲームを代表する1本となった。
セガの体感ゲームは、同じ1985年リリースの「ハングオン」を皮切りに、この「スペースハリアー」や「アウトラン」(1986年)、「アフターバーナーII」(1987年)、「サンダーブレード」(1987年)、「ギャラクシーフォース」(1988年)、「パワードリフト」(1988年)など、'80年代後半のゲームセンターを大いに賑やかしたタイトルが続々登場した。
同じ体感ゲームでも、同年の「ハングオン」がバイク形の筐体にプレイヤーが乗って自ら動かして操作する能動的な体感プレイだったのに対し、この「スペースハリアー」はプレイヤーの動きに合わせて内蔵されたモーターで筐体が前後左右に傾くという、受動的な体感プレイを味わうことができたのだ。シートベルトも備えられた可動筐体「ローリングタイプ」を稼働当時ゲームセンターで遊んだときは、ステージの繋ぎの部分でも主人公の「ハリアー」を無駄に動かして、筐体の動きを余計に体感していたものである。
魔生物達に侵略されたドラゴンランドの平和を取り戻すために現れた異次元戦士ハリアーを操作し、次々と飛来する生物やメカをというゲームが展開する本作。アーケード版の筐体には操縦桿タイプのコントローラーとショットボタンが備えられ、画面中央のハリアーを上下左右に動かして敵を撃ち落としていくのだ。敵弾や敵本体、あるいはステージ上のオブジェクトなどにぶつかってしまうとミスとなってしまう。
ハリアーが撃つショットは少し特殊な性能を持っている。通常は正面に撃ち出されるが、敵を正面に捕らえると「ピン」という効果音が鳴り、直後に撃った弾は対象の敵に対してわずかにホーミングするのだ。ショットにレティクルはなく、ロックオンというほど確実なものではないが、敵の動きに合わせて動きながらショットを連射することで、撃墜率が上がるというわけである。もちろんその間には敵弾や敵本体、障害物などが向かってくるので、各ステージに出現する敵や障害物のパターンを大まかにでも覚えて、攻撃と回避のどちらを優先するか意識することで、先に進むことができるはずだ。なおショットのホーミングは、破壊できる障害物には機能しないことも頭に入れておくといい。
またボスとの戦闘時など、障害物の少ない場所では、画面を大きく円を描くように移動しながら攻撃するのがコツだ。敵弾はハリアーのいる場所を正確に狙ってくるので、常に動いていれば当たることはない。あまり早く動くと、少し前に撃たれた敵弾が消える前に当たってしまうので、気持ちゆっくりめに動くのが確実だ。
本作は各ステージに登場する敵キャラクターもかなり個性的で、ゲームの魅力の一つとなっている。生物的なものと無機的なもの、メカ的なものが存在していて、出現する敵の傾向に合わせてステージの背景が異なるのもポイントだ。といっても明確に出現するステージが分けられているわけではなく、時折意外なところに意外な敵が現われることもあり、プレーヤーを飽きさせない。そして通常ステージのラストとなるステージ17には、本作を代表する敵が集中して現われるという、総攻撃的な演出になっているのも面白いところだ。
大型筐体に入った体感ゲームでありながら、その後数多くの家庭用ゲーム機に移植されたタイトルでもあり、アーケード版の翌年に発売され、セガファンを喜ばせたセガ・マークIII版を筆頭に、様々な家庭用ゲーム機やPCにも移植され、直近ではNintendo Switchの「SEGA AGES」シリーズでも発売されたので、遊んだことがある人も多いだろう。またセガのコンポーザー“Hiro師匠”こと、川口博史氏作曲のBGMも、いつ聴いても心が躍る名曲だ。
この「アストロシティミニ」に収録された「スペースハリアー」は、本体装備のジョイスティックで遊ぶことがメインとなるわけだが、これが意外に具合がいい。アナログ入力ではないので、アーケード版の感触ではプレイできないものの、前述のハリアーを円を描くように動かすプレイがやりやすいように感じられた。Cボタンを長押しすることで、その場で上下移動を逆転させることもできる(画面右下に表示)ので、遊びやすい設定でプレイしてみよう。
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