【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「ESWAT:サイバーポリス イースワット」

気分は特撮ヒーロー! パワードスーツを身に纏い悪を撃つ!!

導入年:1989年

基板:System16B

開発:セガ

 「忍」や「ゴールデンアックス」など、セガは数々の名作アクションゲームを世に送り出してきた。今回レビューする「ESWAT:サイバーポリス イースワット(以下、「イースワット」)」は、先に挙げた2タイトルのように長くシリーズ展開するには至らなかった作品なのだが、筆者個人的にとても好きなタイトルである。

 「イースワット」は1989年にアーケードで稼働。その後、メガドライブに「ESWAT」がリリースされるのだが、これはアーケード版とは内容が丸っと別物で続編的な位置づけの作品であった。今ではアーケード版がプレイできる機会はなかなかないので、アストロシティミニの中でも貴重なタイトルの1つだ。

 本作は、装甲機動警察「ESWAT」の隊員となって犯罪組織の壊滅を目指すといった内容。ゲームはオーソドックスな横スクロールアクションゲームで、ステージの最奥にいる凶悪犯を倒して逮捕すればステージクリアとなる。

 ゲームシステム自体は真新しい部分はさほど無い本作に幼少の筆者がどこに惚れ込んだかといえば、主人公が身に着けるパワードスーツ「ICE」のカッコ良さに尽きる。全身メカメカしい装甲に覆われ、片腕はアームガンになっている。当時の筆者にとってパワードスーツという存在がとにかく斬新に映り、ビジュアルだけでハートを鷲掴みにされた。

デモ画面から、パワードスーツのカッコ良さを前面に押し出している
特撮ヒーローのようなスーツを着た主人公。これにワクワクしない男の子はいないだろう!

 事件現場にパトカーがサイレンを鳴らして急行してくるシーンからゲームが始まる。車のドット絵も細かく描き込まれて非常にカッコ良く、プレイする前からテンションはブチ上り状態。次の瞬間、パトカーの中から主人公が降りてくるのだが、姿を見せたのは厳つい装甲を纏った隊員ではなく拳銃を片手に持った普通の警察官なのである。この予想外の事態に当時の筆者は、もらったクリスマスプレゼントがお願いしていたものと全然違ったくらいの衝撃を受けたのを今でも覚えている。

思い描いていた主人公との落差がすごい

 実はこのゲーム、最初の3ステージは生身の警察官で凶悪犯と戦わなければならないのだ。警察官の状態はアクションも少なく、攻撃は拳銃を撃つのみ。弾数には制限があるので、極力無駄撃ちをせず、道中で弾薬を拾いながら進んでいかなければならない。

 セガのアクションゲームといえば難易度の高いイメージがあると思うが、本作はライフ制を採用しているということもあり、多少のゴリ押しでも進める易しめな難易度になっている。アクションゲームに自信がない人でも遊びやすいバランスだ。

基本攻撃は拳銃。弾が無くなると蹴りになる

 過去にプレイしたときは、正直パワードスーツ以外に何も目を向けていなかったが、今改めてプレイしてみると敵キャラのクセがかなり強く良い味を出している。子分のザコキャラは拳銃を所持しているにも関わらず、ボスはブーメランや錨といった原始的な武器で戦いを挑んできてツッコミどころ満載である。

敵はなかなかに個性派揃い

 3人の凶悪犯を逮捕すると主人公の階級が上り、晴れてESWATの隊員の仲間入りだ。子供の頃は最初からパワードスーツの状態で遊ばせてくれよと思っていたが、大人の目線で見ると警察官パートを経ることでパワーアップの喜びが強く感じられ、ゲームを盛り上げる良いスパイスになっている。

階級が上りパワードスーツが与えられる。主人公は満面の笑み

 待ちに待ったパワードスーツだがもちろん見た目の変化だけではない。通常攻撃は拳銃からアームガンに変わり、連射性能が格段にパワーアップ。襲いかかる敵をまとめて蜂の巣にできるのはめちゃくちゃ爽快だ。さらに、アイテムを取ることでキャノンや炸裂弾などの特殊な武装を使うこともできる。非常に強力だが回数制限があるので使いどころがステージ攻略の鍵になる。

拳銃とは違い、敵をまとめて蹴散らせる
特殊武器は全部で3種類。ボス戦や敵に囲まれたときに活躍する

 スーツを着ることで大幅にパワーアップするのだが、敵も同じくどんどん手強くなってくる。ビルを破壊して建物もろとも主人公を葬り去ろうとする破天荒なやつをはじめ、まさかの虎やゴリラまで襲いかかって来るのだ。正統派な世界観のように思わせながら型破りな敵を盛り込むセンスは、良い意味でセガらしさが爆発している。

ダイナマイトで主人公のいるビルを潰してくる。手段を選ばな過ぎ!
猛獣を相手にする場面も!

 「イースワット」は、今プレイしてもカッコ良さに満ちた作品であった。スーツの無骨なフォルムはもちろん、ダメージを受け続けると徐々にアーマーが壊れていく表現は最高に痺れるポイントなので、プレイの際は是非注目してもらいたい。