【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「カルテット2」
2人同時プレイが激アツ! SFテイスト満載のアクションシューティング
2020年11月30日 00:00
「カルテット2」は1986年に稼働を開始したSFテイスト溢れるアクションシューティング。4人のキャラクターから1人を選択して、縦幅固定の横長ステージを移動して壁の中から次々と出現する敵を倒しつつ、ステージ毎に登場するボスを倒し、ボスが持つ鍵を奪取して扉に向かう。扉を開けて無事ゴールする事で、次のステージに進める。
全32ステージで構成され、ステージ32をクリアすると再びステージ1にループし、特にエンディングなどは用意されていない。操作はシンプルで左右操作とジャンプ、ショット、道中のアイテム「JET ENGINE」を装着することで上下左右と自由に移動できるようになる。
「カルテット2」で筆者が最も気に入っているのは、ヒロインのマリ……もかわいくて素敵なのだが、本作はBGMが非常に素晴らしい。特にステージ1開始時の空間が開けていくような音は胸がスーッとなる心地よい響きで、この音を聴くためだけにプレイしてほしいくらいだ。他にもステージの種類に応じて非常に多くのBGMが用意されているので、是非全32ステージを駆け抜けてみてほしい。
と、いきなりBGMの話に触れたが、筆者が本作に対して最も衝撃を受けたのは実は「カルテット2」ではなく、正確には「カルテット」、すなわち4人同時プレイ対応の大型アップライト筐体だ。こんなシンプルルールのゲーム、4人同時に遊んだら絶対に楽しい! 筆者は残念ながら数えるほどしか4人同時プレイは体感できていないのだが、この手のタイトルはリアルな人間が多いほど盛り上がるし、画面内はゴチャゴチャになり訳が分からず、ゲームとしてはハチャメチャな展開になるのだが、それがまた面白いのだ。
今回収録されている「カルテット2」はテーブル筐体用の2人プレイ対応版だが、正直なところ未だに裏ワザか何かで4人同時プレイができる「カルテット」も仕込まれているのではないかと疑っている。一方で手持ちのUSBハブなどを繋いでも4つのコントローラを認識する事はかなわなかったため、調査は断念したが、いずれ公開される日を楽しみにしている。ということで、今回は同居するセガ好きな筆者の弟も誘って2人プレイも満喫したので、その様子も含めてご紹介していこう。
「カルテット2」では4人同時プレイの頃の名残もあり、4人のキャラクターから1人を選択できる。キャラはそれぞれショットの性能や体力などで個性があり、例えばマリは赤色のコスチュームを身にまとった紅一点。ドット絵から見ると、大胆に太腿を露出したホットパンツを着ておりかなりかわいい(脳内補完150%)。ショットはパワーバズーカを使うため、火力がかなり高い反面、体力が他のメンバーと比べると劣るようだ、
といった感じで他にも主人公っぽいテイストのジョーや、ドット絵でも口ひげが目立つリー、スキンヘッドでグラサン装備のエドガーなど、いずれもショットの特性や体力が異なるので、好みで選ぶのがいいだろう。
ショットはパワーアップアイテムを取得する事で最大4段階まで強化する事が可能。一方で本作最大の罠とも言うべき仕様として、最大までパワーアップした状態で再度パワーアップアイテムを取得すると、なんとショットの強化が再び1段階目にループしてしまうのだ。4段階目の状態をある程度把握しておき、4段階目に達したら以降はなるべくパワーアップアイテムは取得しないように注意が必要だ。
敵と接触してしまうと即死ですぐにやられてしまうのだが、本作に残機数(ライフ数)という概念は存在せず、代わりにPOWというライフの代わりのような物が存在する。アイテムを獲得したり、ステージクリア時に少し獲得できるが、ゲームをプレイしている間は絶えず減り続ける上に、敵と接触してミスをすると、この値が大幅に減少してしまう。このPOWが0の状態で敵に接触してミスをすると、空から2人の天使が降りてきて強制的に天国へキャラクターを連れて行ってしまい、ゲームオーバーとなる。2人の天使はいずれもマッチョで屈強な雰囲気を醸し出しており、正直言って抵抗できそうもない。
なお、敵と接触してミスをすると、その時持っていたアイテムは鍵を含めてその場、または自機の向いている方向の反対方向にドロップしてしまうため、これらはもし必要な場合は、復帰後に再度回収する必要がある。一方でショットの強化状態は維持したままのため、ミスをしてもPOWの量さえ十分なら比較的スムーズに現場復帰できるのも本作のユニークなポイントだろう。ちなみに、コンティニューでゲーム復帰した場合は流石に武器の強化も初期状態に戻ってしまう点には注意が必要だ。
ステージを進めていく上で、ハマりそうなポイントをいくつか紹介しておこう。例えば、ステージ16には比較的大きな穴があり、ジャンプで飛び越えたいが、普通にジャンプすると天井に当たってしまいうまく越えられない場所に遭遇した時のやり方だ。このような時は伏せた状態のままでジャンプ直前まで移動して、そこから一気にジャンプしてみてほしい。伏せた状態だと穴の淵のような場所では普通に歩くよりも奥まで進む事ができるようで、普通に歩いたままの状態でジャンプするよりも遠くまでジャンプできるのだ。
本作のフィールドは中盤では迷路のように入り組んだ場所が多くなる。その中で例えばステージ23のように上部に白いバーのような物が設置されている場所がある。このバーは掴んで移動する事ができるのだが、斜め上にキーを入れないとうまく掴めないので、迷路の移動で煮詰まったらチェックしてみてほしい。
ボスについては、比較的前半から登場するダンゴムシのようなボスが意外と曲者だ。このダンゴムシ、こちらの攻撃が1度でもあたるとその場で丸まってしまい、この状態ではダメージが与えられなくなるという、ダンゴムシそのものの挙動を見せる。これについては、特別な攻略方法はなく、とにかくひたすら動き出したら攻撃、丸まっている間に周囲の敵を倒しておくなど、こちらの態勢を整えつつ、再度動き出したらまた攻撃、を繰り返すのみだ。地味ながらも一番面倒なボスキャラかもしれない。
1人プレイで何度か遊んで当時を思い返したあとは、本作最大の魅力の1つである2人同時プレイも楽しんでみた。正直言ってやっぱり本作は2人同時プレイが最高だ。
特にゲームクリア時の「PRESENTATION CEREMONY」での評価を競うのがとても面白い。プレイ中の感触だと出口に最初に入ったプレーヤーが上位になる傾向が強い印象だったが、他にもボス撃破やボスへのダメージなどもチェックされ、最終的に評価の高いプレーヤーが上位となり、より多くの報酬が手に入る。
今回のプレイで先にゴールしたプレーヤーが上位になりやすい傾向は、恐らく2人ともさほどゲームがうまいわけではなく、コンティニューを繰り返す事になっていたため、ボスを倒したプレーヤーが鍵を取り、そのままゴールする事が多かったり、ステージ前半で鍵をゲットして、扉につくまでの間にゲームオーバーになってしまうことで、ボス撃退の評価が消えてしまったりといったことがあるのかもしれない。
とは言うものの、中盤以降はとにかく難易度が高くなり、特に敵の数がかなり多くなるため、評価の事など気にする余裕もなく、ひたすら死にまくりながら前に進むといった感じで2人とも夢中になってトータル1時間30分ほど延々とプレイしまくってしまった。
狭い通路で前を走る味方を後ろから援護射撃するといったオーソドックスな協力スタイルも楽しいし、高い場所にあるアイテムを取るために味方の頭を踏み台にして、より高いジャンプを行なったり、またボス戦では協力してひたすらボタンを連打してボスを撃退するなど、1人でやっていると折れそうな場面でも乗り越えられる。
なお、画面分割などはないため、画面内に常に2人が同時にいなければならない。上下に分割された迷路などでは、コンティニューで復活した仲間が1番下に復活してしまうため、協力して移動する必要もある。また、ステージ終盤などで片方がゲームオーバーになった場合などは、そのまま1人でクリアしてもらって、次のステージから再開といった小休止もできる。
コンティニュー時には再度キャラ選択ができるのだが、このキャラ選択中はゲームの進行が一時停止するため、タイミングなどはダイレクトに声などで連携して復活するのがいいだろう。
本作の「アストロシティミニ」ならではの楽しみ方は2つ。1つはシングルプレイで最強装備まで育てて、装備を維持したままノーコンティニュークリアを目指すやり方。こちらはセーブ機能を活用する事で、現実的になるだろう。もちろん腕を磨いて真の1コインクリアを目指すのも、自宅でいくらでも遊べる「アストロシティミニ」ならではの楽しみ方と言える。
もう1つの楽しみ方はとにかくコインを投入しまくってコンティニューの連続で全ステージをループするやり方だ。こちらはセーブ機能は使わず、とにかくひたすらコインを投入してゲームを進める方法だ。特に2人プレイで遊んでいる時に、ちょいちょいセーブするのは興醒めなところもあるため、クリア目指してワイワイ言いながらコンティニューしまくるのはとても面白い。
1人で遊んでも2人で遊んでも最高に面白い「カルテット2」。PS2などにも移植版はあるが「アストロシティミニ」ならではのタイトルとして、手元に届いたら是非遊んでほしいおススメの1本だ。
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