【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「ゴールデンアックス デスアダーの復讐」

シリーズ最高傑作との呼び声も高い幻のAC作品が初移植!

導入年:1992年

基板:System32

開発:セガ

 セガを代表する剣と魔法のファンタジーベルトスクロールアクション「ゴールデンアックス」。1989年にアーケードで稼働し、王道RPGのような世界観と敵を蹴散らせる爽快感が人気を博した。後に様々なコンシューマハードに移植された不朽の名作だ。

 1作目以降のナンバリングタイトルはコンシューマ専用タイトルとなってしまったが、逆にアーケード専用のタイトルも存在する。それが1992年に登場した「ゴールデンアックス デスアダーの復讐」である。

 初代「ゴールデンアックス」のラスボスである「デスアダー」が再び蘇るという、シリーズファンにはたまらない内容。ゲームの完成度も非常に高く、移植が熱望されていた作品だ。筆者は稼働当時1、2回触った程度でしかプレイしたことがないので、じっくり遊ぶのは今回が初である。

 アーケードでは筐体によっては4人同時プレイにも対応していたが、アストロシティミニでは最大2人プレイとなっている。

デモ画面では4人プレイの様子が見られる

 今作のプレイアブルキャラクターは4人。前作よりもさらに個性的な面々が揃っている。

 メインキャラクターの「スタンブレード」は、前作の「アックス=バトラー」を彷彿とさせる筋骨隆々の戦士。武器はロングソードとシリーズ伝統のスタイル。使い勝手もクセがなく、パワーとスピード、共にバランスが取れた性能で、誰が使っても楽しめるキャラクターだ。

 「ゴールデンアックス」シリーズにはポーションというアイテムが存在し、使用することで強力な魔法を放つことができるのだ。魔法に使用するポーションの必要数はキャラクターごとに異なり、スタンブレードは9個のポーションで炎の渦を巻き起こす。この魔法の演出が衝撃的で、炎に飲まれた敵兵が徐々に焼け爛れていくのがエグくて最高だ。

スタンブレードは主人公らしいバランスタイプ
魔法は画面全体にダメージを与える
演出はかなり過激

 斧で戦う大男の「ゴア」は見た目通りゴリゴリのパワー系。通常攻撃と魔法が高火力で、使っていてスカッとする痛快なキャラクターだ。前作のプレイアブルキャラクターの1人であった「ギリウス=サンダーヘッド」がおんぶされている姿がなんとも可愛らしい。

ボスが相手だろうが大ダメージを食らわせられる破壊力
ポーションの使用量は1番多いが、その分威力が絶大
背中のギリウスはやたらと張り切っている

 小柄な戦士「リトル・トリックス」は三叉矛を武器にして戦う。小柄な体を活かした素早い動きと、魔法で体力が回復できるのが最大の特徴。必然的に生存率が上がるので初心者向きのキャラクターといえよう。

素早い攻撃で敵を圧倒
魔法で回復の木の実が出現。もちろん仲間を回復させることも可能

 そして最後は、シリーズ屈指の人気キャラクター「ドーラ」だ。性能だけで言ったら体感的に最弱キャラのような感じもするのだが、何故そこまで人気があるのか――それは言わずもがな彼女のビジュアルだ。金髪でスタイル抜群、しかも下半身は馬となっているケンタウロス美女である。

 下半身が馬ではたとえ美女でも熱くなれない(?)という声もあるだろうが、そんなものはセガにとっては予測の範囲内。道中に出てくる乗り物(モンスター)にドーラがまたがると、どういう理由だかは不明だが人間の脚が生えてくるのだ。どの方位からも(キャラ性能以外)全く死角のないキャラクターとなっている。

身体が大きいので敵の攻撃が当たりやすく、それに加えて攻撃力もあまり高くはない。しかし可愛さはある
乗り物に乗ったときだけ見せるこの生足。これが見られればキャラ性能なんて些細な問題だ

 ここからは肝心なゲーム内容だが、敵が強すぎず遊びやすい難易度は今作でもそのままに、ゲームスピードが全体的に上がっておりキャラクターの攻撃アクションがダイナミックなものに進化している。さらに攻撃ヒット時のSEも重く、敵をぶっ飛ばす爽快感が格段にパワーアップ。

 敵の動きのクセも大きな変化はなく、前作のプレイ経験も活きる仕様なのも良い。「ゴールデンアックス」は敵と軸が合ってしまうとダッシュ攻撃を仕掛けられてしまうので、軸をずらしてジャンプ攻撃をメインで使うのが鉄則。本作はほぼ初見プレイだが、シリーズをプレイした経験値だけでサクサク遊べるのはとても気持ちがいい。

前作ではもっさりしたアクションだったが、今作ではこんなにもダイナミックなアクションに!
同じ軸に立ったら直進してくるのはお約束
敵に囲まれないよう、ジャンプ攻撃が有効

 乗り物が圧倒的に強いのも過去作を踏襲している。前作の乗り物はドラゴンなどのファンタジー感全開なものだったが、今作では巨大なカマキリやサソリなどキワモノ系が多い。乗り物を上手く使いこなせばボスもノーダメージでハメて倒すこともでき、これぞ「ゴールデンアックス」という懐かしい感覚を味わえた。

今作で登場するのはマニアックな乗り物ばかり。もちろん乗り物ごとに攻撃法は異なる

 ベルトスクロールアクションはステージが一本道というのは基本なのだが、本作ではなんとルート分岐が用意されている。特定の場面ではプレーヤーが進む道を選択することができ、選んだルートによってステージがガラリと変化するのだ。“単調になりがち”というベルトスクロールアクションの弱みを見事に解消させ、何度遊んでも飽きが来ない工夫は流石である。

進行ルートは2つから選択できるので、これはもう1周プレイしたくなる

 今回初めてエンディングまで通しでプレイしたが、各ステージの長さ、敵の硬さなどのバランスが絶妙で、プレイしていてダレることなくノンストップで遊び倒してしまった。

 グラフィックスの進化によりキャラクターがとにかくカッコ良くなっているのも本作の大きな魅力だ。特にラスボスのデスアダーは今回初めて見たのだが、1作目と比べてめちゃくちゃ強そうな見た目になっていたのも衝撃的だった。

こちらが初代のデスアダー。もちろんラスボスである
こちらが今作のデスアダー。これは間違いなくラスボスの風格が出ている

 アストロシティミニではアーケードの「ゴールデンアックス」シリーズをまとめてプレイできるので、初見の人は是非1作目からプレイして「ゴールデンアックス デスアダーの復讐」の進化を味わってもらいたい。