【特別企画】
【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ」
断末魔がこだまする! 見た目に反して骨太すぎるアクションゲーム!!
2020年11月24日 00:00
今やセガの看板キャラクターといえば、音速のハリネズミことソニック・ザ・ヘッジホッグが一番に挙がると思う。しかし、ソニックが誕生するよりも前にセガのマスコットキャラとして愛されていたのが「アレックス・キッド・オサール」だ。
アレックスが誕生したのが、1986年にセガ・マークIIIで発売されたアクションゲーム「アレックスキッドのミラクルワールド」。そして同年シリーズ第2弾としてアーケードで稼働されたのが、アストロシティミニにも収録されている「アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ」である。
「アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ」は後に「アレックスキッド ザ・ロストスターズ」と名前を変えてセガ・マークIIIにも移植されたが、マシンパワーの関係上再現度の低い残念な移植作品となってしまった。実質、本物の「ロストスターズ」はアーケードでしか遊ぶ術がなかった作品なので、今回収録されたのは嬉しい限りである。
本作は、オーソドックスなステージクリア形式の横スクロールアクションゲーム。ゲーム性は超が付くほどシンプルで、基本アクションはジャンプのみ。アイテムを取ることで一時的にショットを撃つことができるが、これ以外は攻撃の手段は全く存在しない。某アクションゲームのようにジャンプで踏んで倒すことはできないので、ジャンプをうまく駆使して敵をかわしながらゴールを目指すのだ。
奇想天外な7つの世界を冒険することになる本作は、全体的にポップで可愛らしい世界観とほのぼのした曲調のBGMが特徴的だ。本作を未プレイの筆者はゲーム画面を見た瞬間“誰もが楽しめるゲーム”という印象を受けた。
しかし、プレイしてみるとステージ1の序盤で早々にただならぬ空気を感じた。緩やかな作風からライトなゲーム性を想像していたが、敵の配置や行動パターンがとにかく嫌らしく、開幕早々にプレーヤーを本気で殺しにかかってくるというガチガチ硬派なゲームであった。
ステージ中に出てくるものはアイテムを除き全てが敵。少しでも触れてしまえば即ワンミスとなってしまうシビアなゲーム性。プレイしてみると分かるのだが障害物に触れないように掻い潜って進むのはとてつもなく難しく、慎重に進んでいても秒で断末魔とともに散っていく。可愛い世界観に反して命の軽さがハンパではなく、最初のステージから数えきれないほどコンティニューを重ねることとなった。
さらにこのゲームには制限時間も設定されており、時間が0になるとワンミスとなってしまう。なのでステージ中に出現する時計を取って時間を増やしながら進んでいかなければならない。ちなみに筆者の場合は爆速でやられて復活を繰り返していたので時間で困ることはなかった。
ステージが進めば進むほど難易度は凶悪に跳ね上がり、最終的には無限コンティニュー&やられたその場復活という特性を最大限に活用してゴリ押しプレイでエンディングまで遊んだ。
シンプルなゲーム性ながらプレイしていて飽きを感じさせない作りはさすがのセガ。機械工場や生物の体内など、ステージのビジュアル的な面白さに加え、ステージ独自のギミックも豊富でとても面白い。さらに水中ステージや宇宙空間などは操作感も大きく変わって、マンネリにならない工夫が凝らされているのもポイントが高い。
とてつもなく難しい「アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ」だが、この手の理不尽なゲームは人と一緒にプレイすると滅茶苦茶盛り上がれる。本作は2人同時プレイが楽しめるので、手近にいる嫁にお願いして協力プレイで遊んでみた。1Pはアレックスキッド、2Pはヒロインのステラを操作することになる。
ゲームスタートするや否や、初見プレイの嫁が操作するステラは予想通り、ありとあらゆるパターンで命を散らしていった。自分1人でプレイしていると全く笑えないが、人と一緒にプレイするとこの非情な難易度がツッコミどころ満載で楽しくなってくる。
子供同士だったら間違いなく喧嘩に発展するであろう、2人プレイならではの意地悪なゲーム設計も面白い。このゲーム、先を行くプレーヤーに合わせて画面がスクロールする仕様になっており、片方のキャラが先にグイグイ進んでしまうと後ろにいるキャラは画面のスクロールで強制的に引っぱられてしまうのだ。結果、敵にぶつかったり穴に落下したりと、後ろのプレーヤーは地獄を見ることになる。
殺伐仕様以外にもしっかりと協力プレイらしいアクションもあり、片方のキャラクターを頭に乗せて運んであげることができる。連続ジャンプ地帯などの息を合わせて進むのが難しい場面で活躍する。
一通り遊び込んだ感想としては、1人で遊んでも面白いが、間違いなく2人プレイこそが本作の真骨頂のように感じられた。やはり自分以外が理不尽にやられていく様は見ていて笑えるし、協力プレイのはずが途中で足の引っ張り合いに発展するのもかなり面白い。相手のプレイを妨害しても本気の喧嘩にならないシャレの通じる人と遊ぶには最高の作品である。
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