【特別企画】

【アストロシティミニ全タイトルレビュー】「青春スキャンダル」

難易度激ムズ! 現在、過去、未来と時空を越えた青春ストーリー

導入年:1985年

基板:SYSTEM1

開発:コアランド

 「青春スキャンダル」は1985年に稼働を開始した横スクロールのアクションゲーム。主人公のたけしは昭和の漫画などによく登場する不良のような出で立ち。ヒロインのマリは濃い目のアイシャドウに丈の長いスカートというこちらも昭和の漫画に出てきそうな不良女子のようなビジュアルだ。

 本作は、2人で街を歩いていると突然、ロックなビジュアルの不良にマリがさらわれてしまうので、それを助けにいくという、非常にシンプルなストーリー。システムも非常にシンプルで、横スクロールのフィールドをひたすら右に向かって進んでいき、端までいくとボスとのタイマンバトルとなり、それに勝利する事でステージクリア、次のステージへと進める。

 たけしはパンチやジャンプキック、足払いを駆使して敵を倒していく。フィールドの移動中は、道中の敵を倒しながら進んでいく事になるが、ベルトスクロールアクションとは異なり、ライフなどは用意されておらず、敵に触れると即死というシビアな作りだ。ボスとのタイマンバトルのみ変則的なライフ制となっており、相手に攻撃を10回当てた方が勝利となる。

主人公のたけし。学ランの中に赤いシャツ、髪型もリーゼントっぽく茶髪と言う実に昭和後期の不良のテイストが満載だ
ヒロインのマリちゃん。最初は普通の女の子かと思ったが、目を閉じた時のアイシャドウがこれまた昭和のスケバン感が出ている
たけしはパンチやジャンプキック、足払いで敵を倒していくが、フィールドではジャンプキック、ボス戦は足払い一択が基本となるだろう

 本作は全3ステージ構成で、最初はロックな不良と戦う現代編だ。ビルが立ち並ぶ中に本屋や床屋、ゲームセンターなどのお店などが描かれており、時代を感じさせる。フィールドでは明らかに人の道を外れた感じのチンピラたちが敵として登場し、たけしの行く手を阻む。これらを撃退して、端までたどりつくとそこは夕陽のまぶしい海岸となっており、そこで先ほどのロックな不良とのタイマンバトルが開始となる。

 このタイマンに勝利すれば、夕陽に向かって涙を流す不良を主人公が慰め、そのそばには先ほどさらわれたマリがやってきて、うっとりとしながらたけしに寄り添うという青春なクリア演出が入るのだ。

 だが青春タイムは長く続く事はなく、画面上にタイムトンネルのような“不思議な扉”が出現し、そこに何の脈略もなく、謎の忍者が現れて再びマリをさらってしまうのだ。それを追って江戸時代のようなビジュアルの過去にタイムトラベルするというおかしな展開になっていく。

最初のステージは現代。ナイフを投げつけてくる敵や、サングラスに角刈りのあからさまに危険な敵が街をうろつき、ビルの窓からはビール瓶を落としてくるパンクなヤツがいたりと、すごい無法地帯だ
後半にはブロックが積まれた場所に炎が飛び出す仕掛けなど、一触即死の罠が張り巡らされている。この現代、めっちゃ怖いんですけど
冒頭に登場してマリをさらったロックな不良が登場してタイマンバトルとなる。バトルは画面上部のアイコンで状況が表示され、先に10回攻撃を当てると勝利となる

 過去編も基本的な構成は現代編と同様だ。お城の中のような場所や竹藪など、時代劇で使われそうな場所を舞台に、出現する敵はこれまた時代劇に登場しそうな忍者たち。これらを撃退して進めると、最後には忍者ボスとのタイマンバトルが待っている。そしてそれを倒すと今度は近未来の雰囲気のサルのような未来人が三度マリをさらっていくため、それを追って未来編が開始となる。

過去編は忍者を相手にマリの元へと突き進む。とにかく忍者の動きが非常にいやらしく、ジャンプキックをかわして即座にカウンターを入れてくるため、複数で現われるとかなり厳しい。ジャンプキックはジャンプ中に軌道を変えられるので、これを駆使して敵との間合いをうまく取るのが重要だ
後半には炎の罠の他に、謎の蛇が登場し、謎の弾を撃ってくるのでこれをジャンプでかわして進む必要がある
先ほどマリをさらった忍者とのタイマンバトル。ボス戦は基本的にひたすら足払いでクリアできるなど、フィールドと比べるとその難易度は圧倒的にゆるい。だが端に追い詰められると返り討ちにあってしまうう場合もあるので、中央で足払いやジャンプキックで戦うのが基本戦略だ

 未来編もステージ構成自体は同じで、サルのような顔をした未来人やロボットたちを相手に近未来風の建物を通り抜け、これまでと同様に未来人のボスとのタイマンバトルが待っている。この未来編をクリアすると、今度は現代編で登場したロックな不良が再登場し、もう1度マリをさらう、という無限ループに突入する事になり、エンディングなどは特に用意されていない。

近未来っぽい服を着たサルのような顔の未来人が相手だ。映画「猿の惑星」かな?
ステージ後半の罠エリアはロボットが飛び回ったりして行く手を遮る。触れたら最後なので慎重かつ大胆なアクションが必要になる
ボス戦ではサルっぽい未来人が登場。敵にダメージを与えると、顔が一瞬紫色に変化するのが妙にリアル

 なお、道中には敵に捕らわれの身となっている謎の友人? しゅんくんも登場する。彼を助けるとオプションのようにたけしと同じような動きでついてきてこちらの手助けをしてくれる。一方でしゅんくん自体も罠や敵の攻撃でやられてしまうため、そのまま最後まで連れて行くのは至難の業だ。そのため、しゅんくんを生かしたままボスの手前まで連れて行くと、100万点ボーナスが手に入るというユニークなチャレンジ要素にもなっている。なお、今回筆者も何度か挑戦したが、しゅんくんを最後まで連れていく事はかなわなかった。

 なお、本作はセガ・マークIII向けにのみ移植されているが、この移植版では容量の都合から現代編のみのループという作りになっていたため、過去編や未来編を自宅で遊べるのは基板購入以外では今回の「アストロシティミニ」版が初となるようだ。

現在、過去、未来、どの世界でも捕らわれの身からスタートのしゅんくん。助けると一緒に戦ってくれるオプションのような存在だ
操作は基本的に主人公の操作に追随する形になっているので、障害物をかわす場合などは、そこも意識して操作する必要があるため、生きたまま最後まで連れて行くのはかなり困難だ。最後まで連れて行くと100万点ボーナスが獲得でき、開発元のコアランドが過去に開発したアーケードタイトル「ごんべえのあいむそ~り~」のごんべいが表示されるという遊びが入っているが今回は出せなかった
セガ・マークIII版では現代編のみで過去や未来には行けず、常に現代編をループする。また背景の簡略化のほか、しゅんくんも登場しない。加えて細かい違いだが、倒した敵が吹っ飛ぶ際にビジュアルが変化するのもアーケード版のみの演出だ。ただしそれ以外の要素はかなり忠実に再現できており、完成度は高かったようだ

 本作を語る上で真っ先に伝えたいこと、それはBGMの素晴らしさだ。どうにも頭に残る心地のいいリズミカルな楽曲は各ステージ毎にアレンジが変わってそれぞれの時代の雰囲気が出るようになっており、ずっと流しておきたくなる気持ちよさがある。これは是非実際にプレイしてその音楽でうっとりしてほしいところだ。

 また、キャラクターデザインも少ないドットを活かしてカッコよくコミカルに仕上げているので、このビジュアルも今の時代には新鮮に映るだろう。特にマリがさらわれた時のとぼけた表情はすごくいい。

 そして、本作を是非プレイしてほしいもう1つの理由は、その理不尽なまでの難易度の高さだ。シンプルなルールとシンプルな操作にも関わらず、実際にプレイしてみるとその厳しさが痛感できる。とにかく当たり判定が全体的に非常にシビアなのだ。たけしのリーチはあまり長くなく、それでいて敵のリーチはかなり長い。

 基本的に攻撃手段はパンチとジャンプキック、足払いがあるが、殆どの場面ではジャンプキックが非常に有効な手段だ。ジャンプキックについては発動している間は敵の攻撃を全てはじき返し、触れた敵全てを倒す事ができる。このジャンプキックの距離感を如何に正確に掴むかが本作を攻略する上での一番のポイントになるだろう。

 一方で着地するまでに敵を倒せなかった場合、そこで即座に敵の反撃で返り討ちにあってしまう。普通はこの返り討ちがあったりなかったりと、そこに運の要素が出てきた李するものだが、本作の敵は容赦せず、こちらが失敗するとほぼ100%反撃があるため、この辺りが難易度を引き上げてる要因なのだろう。

 さらに本作を動画で見ているだけだとこの難しさが伝わらないのもまた面白いところだ。例えば、ゲーセンミカドのYouTubeチャンネルでは宴帝氏による青春スキャンダルの攻略配信が公開されている。こちらを見ていると、宴帝氏は実にスムーズに最初のステージをクリアしていく。システムがシンプルなため、これを映像で見ているだけだと、すごさが全く伝わらないのだ。

 そこで配信を見てから実際に自分でプレイしてみると、宴帝氏のプレイのすごさが痛感できる。こんなにスムーズにジャンプキック決まらないから! となる。そういう意味では本作は実に現在の動画配信向きのタイトルであるとも言える。

【宴帝のアクションゲーム攻略配信 青春スキャンダル(My Hero : Seishun Scandal)】

 また、この恐ろしいまでの難易度、普通の移植版だったら数回遊んで投げ出してしまうレベルだが、「アストロシティミニ」版ならではの楽しみ方としては、セーブ機能を駆使してとりあえず1ループしてみる、というプレイが可能だ、というか筆者の腕ではどんだけやっても1コインクリアは無理だったので、とりあえず1ループするべく、このセーブ機能を駆使して、どうにか最後のボスまで進める事ができた。

 とにかく道中の敵は理不尽なまでに強いため、敵の出現が落ち着くところまでは何度もリトライしながら進めて、敵の出現がなくなるエリアまできたところで即セーブ、これを繰り返す事で筆者のようにあまりアクションが得意ではない人でも「青春スキャンダル」がクリアできてしまうのだ。

 筆者としては購入後は是非しゅんくんをステージ最後まで連れて行き、100万点ボーナスを狙ってみたいと思っている。もちろんセーブ&ロードを駆使して、だ。また慣れてきたら1コインクリアを狙ってみるのも面白そうだ。

このマリがさらわれた時のたけしの表情がとにかくいい。ドット数が少ないにも関わらずポカーン、という音が聞こえてきそうな面構えだ
こんな感じの炎の罠。ジャンプで飛び越すだけとすごく簡単に見える場所だが、実際に操作してみると、かなりハードなのだ
理不尽を感じた一番のパターンがこの画像だ。一見、何で死んでいるのか分からないと思うが、これ、上の窓から瓶が落ちた直後なのだ。落下した瓶の当たり判定が残っており、そこに触れてしまったのが原因。
「アストロシティミニ」のセーブ画面では、操作方法も再度確認できるのがうれしい
全機を失うとゲームオーバー。画面中央に「終」の文字が表示され、物悲しいBGMが流れてゲームプレイの終わりを告げる。なお自機の追加は3万点獲得時に1度のみ
ハイスコア画面に表示されるデフォルトの名前は当時のスタッフたちの遊び心がチェックできて面白い。例えば、CBR400Fや、VT250などバイク好きなスタッフもいたのか、とか、ヨーコとケイコは当時のアイドルかな? など色々と想像できておススメだ