【特集】
「インテリジェントコントローラ サイバースティック」レビュー
メガドライブミニ2のために復刻! アナログ操作が快適になる、ハイクオリティな周辺機器だ
2022年10月27日 00:00
- 【インテリジェントコントローラ サイバースティック】
- 2022年10月27日発売
- 価格:19,800円(税込)
電波新聞社は、2022年10月27日に発売されるメガドライブミニ2対応の「インテリジェントコントローラ サイバースティック」(以下、サイバースティック)を発売する。
1990年にシャープが同社のゲーミングPC「X68000」向けに発売したアナログ入力対応のインテリジェントコントローラーを、当時同機のOEM販売も行っていた電波新聞社がセガの打診を受けて、メガドライブミニ2で使用できるUSBコントローラーとして復刻。同ハードに収録されるアナログ入力対応タイトルで使用することで、より快適なゲームプレイができる周辺機器だ。
このサイバースティックの発売前のサンプルを電波新聞社より借用することができたので、同じくセガよりレビュー用に借りているメガドライブミニ2に接続して、対応タイトルを実際にプレイし、その感触を確かめてみた。
ずっしりと重い本体とは対照的に、クイックな操作性が実に快適
サイバースティックは1990年の発売当時、「コクピット感覚」をうたい、アナログ入力が可能なコントローラーとして23,800円(税別)で発売された。本体は電波新聞社が発売したX68000タイトル「アフターバーナー」をアーケード版の感覚で操作できること売りとしていたようで、右側に操縦桿型のスティックを、左側にスロットルを備えた設計となっている。両者には複数のボタンが備えられていて、これもやはり「アフターバーナー」を意識したと思われる設計だ。本体上面のパネルには5つの操作ボタンと、連射や動作切り替え用の6つのスイッチやボリュームがある。接続端子は「ATARI規格」と呼ばれた当時のPCなどに使われていた9ピンのもので、形はメガドライブとも同じものだったが、規格が異なるため使うことはできなかった。その代わりというわけではないが、「カブトガニ」とあだ名された、ラジコンのプロポのような形のアナログジョイパッド「XE-1AP」が電波新聞社より発売され、これがメガドライブに対応し、やはり同社が発売したメガドライブ版「アフターバーナーII」もアナログ操作でプレイできたのだ。
今回復刻されたサイバースティックは、当時シャープとともに開発に携わった電波新聞社マイコンソフト事業部とユニオン電子工業の共同開発製品である。当時のX68000向けのものと基本的に同じ設計ではあるものの、金型などは残っておらず、新たに金型を起こしたとセガの奥成洋輔氏は配信番組にて話している。残念ながらオリジナルの実物は手元になく、筆者もユーザーではなかったので詳しい比較はできないが、当時のカタログ写真などと見比べてみた限りでは、本体のメーカーロゴが異なる程度しか違いはわからなかった。
メーカー発表のサイズは幅412mm×奥行144mm×高さ159mm(突起部を除く)。単体で見ると大きく感じるかもしれないが、土台はフルサイズキーボード程度なので、ある程度のスペースがあるデスクの上などなら問題なく使用できるはず。近年のアーケードコントローラーなどと比較しても、面積はそれほど大きなものではない。重量は1.4kg。裏蓋が金属製で重心が低くなったつくりだ。
気になるスティック部分の操作感は、軽く動かしやすい印象だ。近年はゲーミングPC向けフライトコントローラーなどと比較するとリアル感には欠けるものの、メガドライブミニ2のゲームをプレイするのにリアルな操縦桿は必要ないと思われ、ゲームコントローラー然としたサイバースティックは、ある意味メガドライブミニ2にマッチしている。かといって堅牢さに欠いた作りでもなく、収録タイトルを遊ぶのはどれも快適だった。
ゲームプレイやプレイスタイルに応じて設定できる様々な機能を搭載
このサイバースティックは様々な機能が搭載されている。本体上面のパネルの切り替えスイッチやボリュームを操作することで、A・Bボタンの切り替えや連射、連射スピードの調整を行える。あまり使うことはないかもしれないが、アナログ非対応のゲームをプレイするためのデジタル入力モードにも対応可能だ。なおボタンの切り替えや連射はパネル上のCボタンには非対応となっている。
またアナログモード時のみの「移動量2倍モード」、「スティック前後反転モード」、「スロットル前後方向反転モード」、「APモード(スティック、スロットル1.5倍モード)」、4つの特殊モードを用意。特定のボタンと本体後方のリセットボタンの同時押しで行い、ゲームごとに違う入力設定にも対応している。
そしてもう一つ、ハードウェア的な大きな機能として、スティックとスロットルの入れ替えが可能だ。両者の前方に見えるベゼル固定レバーを「UNLOCK」側に入れ、根元にあるベゼルを回転させると、それぞれを引き出せるようになり、内部で接続されているコネクタを取り外して入れ替え、逆の手順で戻せばOK。筆者は「スペースハリアー」をプレイするとき、左手でスティックを持ち右手でボタンを押すプレイスタイルなので、両者を入れ替えられるのはありがたい仕様だった。
当時は味わえなかった4+1本のメガドライブタイトルをアナログ操作で楽しめる
メガドライブミニ2に収録されたタイトルでアナログ入力に対応しているのは「アフターバーナーII」、「スターブレード」、「ナイトストライカー」、「スペースハリアーII」&「スペースハリアー」の5タイトルとなっている。「スペースハリアーII」以外はアナログ入力を備えた大型筐体のアーケードゲームの移植タイトルであり、当時の感覚でゲームプレイができるのは実に嬉しいところだ。
中でも「アフターバーナーII」は、サイバースティックがこのタイトルのために作られたといって過言ではないほどの完璧なプレイスタイルの再現性で、アーケード版と同じくスロットルで速度調整ができるのが実に快適だ。同時にメガドライブ版の「アフターバーナーII」の完成度の高さを改めて感じられるだろう。
残る4タイトルはスロットルを使わない操作系で、前述の通りゲーム内とサイバースティックの設定により自分好みのスタイルでゲームプレイが可能となる。個人的に楽しかったのは「スターブレード」で、アーケード版の両手で掴む操縦桿の感触とは違うものの、他の4タイトルとは違う回避の必要がない(=敵弾は撃ち落とす)レールシューティングの醍醐味をたっぷりと味わうことができた。
また「スペースハリアーII」はメガドライブオリジナルタイトルであり、アーケードテイストのアナログスティックでプレイできるのが当時のプレイヤーとしては実に新鮮な感覚だ。同作は今回新たに作り直されたタイトルで、「スペースハリアー」と同等のロックオン機能なども備えていて、サイバースティックのアナログ操作でプレイすることで、続編としての存在感もアップするだろう。
メガドライブミニ2のために復刻されたこのサイバースティック。当時発売されていたものはメガドライブに対応していなかったが、それが今回ついに対応し、「アフターバーナーII」をはじめとする対応タイトルをアーケードゲーム感覚でプレイできるようになった。特にオリジナルのメガドライブユーザーにとってこの操作感覚は新鮮さも手伝って大きな感動を味わえるだろう。周辺機器としても隅々までしっかり作られているので、手に取ったときの満足感も高いものとなるはずだ。
メガドライブミニ2収録の対応タイトルが5本と少ないのは残念だが、オリジナルの対応タイトル自体少ないのでこれは仕方ないことだろう。実物を触ってみて、「ギャラクシーフォース」あたりもこの操作感覚で遊んでみたいとも思ったが、それはまた次の機会に期待しよう。また本製品はPCでも使用可能なUSBコントローラーでもあるので、今後発売されるタイトルや発売済みタイトルにおける各社の対応も楽しみにしておきたい。
今回のメガドライブミニ2の対応タイトルとサイバースティックの親和性はバツグンで、購入した人が大きな価値のある体験ができるのは間違いない。当時は体験できなかったアーケードライクなゲームプレイを、この令和4年に存分に楽しんでいただきたいものだ。
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