【特集】
【メガドライブミニ2ゲームレビュー】「スタークルーザー」
ポリゴン最初期のグラフィックスで描かれる本格スペースオペラ!
2022年10月30日 00:00
- 発売日:1990年12月21日
- 発売時のメーカー:メサイヤ
「スタークルーザー」は大宇宙を舞台とした本格スペースオペラだ。プレーヤーは高性能宇宙戦闘艇「スタークルーザー」を駆り、太陽系を飛び越え他星系まで向かう壮大な宇宙の大冒険に旅立つ。ゲームジャンルはかなりアクション要素の強いアドベンチャーである。
舞台となるのは27世紀の未来。200年前に宇宙人とのファーストコンタクトから始まった大戦争により、地球中心の世界が滅んでから200年、異星人排斥を目指す軍事国家「VOID」が大きな勢力を誇っていた。地球連邦の生き残りである「連邦パトロール」はこれに対抗、ハンターと呼ばれる賞金稼ぎを取り込み戦いを繰り広げていた。ハンターである主人公は相棒のギブスンと共に、VOIDの開発した最新宇宙戦闘艇「スタークルーザー」を奪うため、作戦を開始する……。
本作の最大の魅力は宇宙船を駆り大宇宙を冒険する「スペースオペラ」に正面から挑んでいるところにある。各惑星にワープで移動したり、アステロイドベルトで資源を回収したり、惑星やコロニーに降り立つ。灼熱の水星、テラフォーミングを達成した金星、他星系へと飛び立つ重力カタパルトなどなど宇宙ものの小説や漫画でおなじみの要素がぎゅっと凝縮されている。
ゲーム部分はポリゴン最初期の非常にシンプルなもので、各惑星もマップとしてものすごく小さく、建物の表現なども簡素だが、展開する物語がイマジネーションを刺激してくれる。また簡素な表現だからこそ様々な惑星や宇宙船を表現でき、シナリオボリュームもたっぷりで遊びごたえのある作品となっている。
ただ、現在の視点でいうとやはり癖が強いところがある。本作は各惑星や施設(ダンジョン)をランドタンクで探索する要素に比重が置かれているが、原色のポリゴンによる描写は単調でマッピング機能もないので迷いやすく、わかりにくい。戦闘はスピーディーで迫力があるが、あっという間にダメージを受けてゲームオーバーになる。このため細かくセーブしておくことが大事だ。まだまだゲームの手法が確立されていない時期のゲームだと割り切らないと楽しめないところがある。
しかし、だからこそ「スタークルーザー」にはゲームの可能性や、クリエイターが自分が考える物語をどのように表現するかに心を燃やした情熱が感じられる。ゲームを作ること、プレイすることの原初的な熱さを感じられる作品だ。取っつきはかなり悪いところがあるが、ぜひ触って、この魅力的な世界を楽しんで欲しい。
©extreme
※画面は16:9フルサイズ設定で撮影しているため、本来の画面設定よりも横に引き伸ばされています。