【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「シャイニング・フォースCD」

新たなシナリオ追加、ビジュアル調整などがされたゲームギア版外伝2作品をリメイク!

【シャイニング・フォースCD】

1994年7月22日発売

発売時のメーカー:セガ

 メガドライブで発売され、メガドライブミニにも収録された「シャイニング・フォース」シリーズ2作品は、キャラクターの個性が活き活きとした画期的なシミュレーションRPGとして、かなり魅力的な作品だった。人気も高かったようで、当時はゲームギアでも外伝が3作品リリースされており、これらについても「ゲームギアミクロ」を買う事で遊ぶことが可能だ。

 一方でテレビなどの大画面で外伝シリーズを遊びたいという声があるのも事実だ。「ゲームギアミクロ」はコンパクトなハードがめっちゃかわいいし、ゲーム自体も遊びやすい作りになってはいるが、やはり大画面で遊びたい人もいるだろう。

 ゲームギア発売当時からそのような声があったかどうかは不明だが、そんな外伝2作品をメガドライブで遊べるようにしたのが今回紹介する「シャイニング・フォースCD」だ。本作にはゲームギアでリリースされた「シャイニング・フォース外伝 遠征・邪神の国へ」と「シャイニング・フォース外伝II 邪神の覚醒」の2本が収録されたお得なタイトルとなっている。単なる再収録ではなく、メガドライブ向けにビジュアルなども調整されたほか、BGMは全てCD再生を使用、さらにゲーム的にも新たなシナリオが追加されるなど、ゲームギア版をプレイした人でも満足のいく仕上がりになっている。

 ただし、外伝3作目となる「シャイニング・フォース外伝 ファイナルコンフリクト」については、本作発売後のリリースのため、残念ながら本作には収録されていない。

スタート後は本を持った女の子が登場してどちらの本を読むのか聞いてくる。本作収録の2本はここで選択できる。ストーリー的に繋がりはあるが、利用するキャラクターはそれぞれ独立しているため、どちらから始めても問題はない。ただ外伝2のストーリーは完全に1からの続きとなっており、オープニングもよく分からない状態から開始するため、やはり外伝1をクリアしてからプレイする方がいいだろう
外伝1はサイプレス国からの謎の来訪者が現れるところから物語が始まる
外伝2は怖そうな顔の謎の男、ワードラーが何らかの儀式を行なっているところから始まる

 「ゲームギアミクロ イエロー」全収録タイトルレビューでも触れた通り、「シャイニング・フォース外伝 遠征・邪神の国へ」はメガドライブ版1作目「シャイニング・フォース 神々の遺産」から20年後の物語。南の王国サイプレスの使者を名乗るウォルドル一行から呪いの小箱を渡されてしまい、本編にも登場したアンリ女王が永遠の眠りにつく呪いにかけられてしまう、というもの。

 呪いを解くために旅に出るメンバーたちは主人公の少年「ニック」以外は、本編に登場したキャラクターたちの親族が操作キャラクターとして登場するため、続編としてストーリーを満喫できるのが魅力だ。

 続く「シャイニング・フォース外伝II 邪神の覚醒」は外伝Iの2年後の物語であり、続き物のお話となっているため、上から順番に進めていくのがストーリーを満喫する上での重要なポイントだ。なお、ストーリー的には続いているものの、どちらもレベル1から開始して育成する流れになるので、ストーリーを意識せず、シミュレーションRPGを楽しむのであればどちらから始めても問題はない。

 外伝とは言え、「シャイニング・フォース」シリーズである以上、本作も基本的な進め方は感覚的にはメガドライブのナンバリングとあまり変わらない印象だ。今回、2本とも軽くプレイしてみたが、分かりやすいシンプルなシミュレーション要素は変わらない。近距離担当の戦士や剣士は前線で敵と戦い、遠距離攻撃が行なえる騎士やアーチャー、魔術師は1歩下がったところから攻撃できるので、戦士や剣士を壁にして援護射撃するのが基本戦略だ。さらには1人の敵に対して複数の仲間で取り囲んでボコるのが重要となる。やっぱり戦いは数なんだよなぁ。

 また、敵を攻撃したり、魔法を使う事で経験値が入るため、バランスよく育成していくように調整したり、一部キャラクターを優先して強化するなど、育成にも戦略の要素があって、プレイしていて何度もリトライしたくなる。リトライは「リターン」の魔法を使う事で育成した状態で繰り返し同じステージをプレイできるので、これで鍛え上げれば大抵のバトルでは負けなくなる。一方でリターンなしでどこまでキッチリ育成を組み立てるかを考えるのも本作の楽しみの1つといえる。

 メガドライブミニ2であれば、毎度おなじみの中断セーブも行なえるため、道中の際どそうなポイントで中断セーブすることで、敵との戦闘での立ち回りに気に入らない展開があった場合でもやり直しできるので、これを活用するのもアリだ。

 戦闘の合間のストーリーは、普段操作する見下ろし視点のドット絵キャラクターたちがちょこまかと動き回るアクションでストーリーが展開する。そしてそのまま戦闘が開始となり、戦闘が終わると再度ストーリーが進展し、戦闘が開始という流れが続く。ゲームギア版がベースである事もあり、街での買い物といったキャラクターを操作して自由に動き回るアクションは簡略化され、常に戦闘が継続するような作りとなっている。

 体力やMPについては、戦闘終了後に自動回復するが、買い物や転職、仲間の入れ替えはどうするのか。その答えは、戦闘と戦闘の合間で「本陣」に行けるタイミングが用意されているのだ。1画面上で表現された本陣では、データを保存したり、状態異常の回復、持ち物の受け渡し、仲間の入れ替えや転職などが行なえる。また、本陣の反対側にはお店も用意されており、武器や道具などの売買、壊れた武器の修理などが行なえる。

 「シャイニング・フォースCD」はゲームギア版をベースにしているが、BGMがCD収録だったり、追加シナリオも用意されているため、「ゲームギアミクロ イエロー」で遊んだ人が再度やり直すのにも、ミクロに挫折してしまった人にとっても魅力の1本となっている。特にゲーム配信やゲーム実況などで「シャイニング・フォース」シリーズを遊びたかった人にとっては、HDMI出力が可能なメガドライブミニ2は最適な選択肢の1つだ。

 もちろんメガドライブミニで「シャイニング・フォース」シリーズを知った人が続編感覚で、メガドライブミニ2の「シャイニング・フォースCD」を遊ぶというのも大いにアリだ。筆者はミクロ挫折組のため、これを機会に「シャイニング・フォースCD」で全シナリオを制覇しておきたい。

外伝1はアンリ女王の呪いを解く方法を求めて船旅の途中、船上で敵襲を受ける
戦闘に勝利しても船はボロボロで使えなくなってしまい、一行は船から投げ出され、近隣の島に打ち上げられてしまう。そして間髪入れずにここでも敵から襲撃を受けてしまうのだ
ここでの戦闘は武器も防具も打ち上げられた時に無くしてしまった状態での戦闘となるため、仲間たちは身近にある木の切れ端を使って戦闘に挑む。そのため、攻撃力、防御力ともに低下した危険な状態でのバトルとなる
戦闘をクリアするとイベントが発生
イベント後は、戦闘の前に本陣に入れるようになる。左側は本陣で右側はお店だが、ここで武器を買い替えておかないと次の戦闘も引き続き木の切れ端で挑む羽目になるため、お店に入るのを忘れないように
外伝2は城の見張りをしていた留守番部隊の元に襲撃が!
敵は「破邪の剣」を盗んで逃走してしまう。慌てて後を追う留守番部隊!
魔法使いの魔法は序盤のうちから非常に強力!
キャラクターレベルが上がると魔法自体のレベルが強化されるほか、新たな魔法も使えるようになる
ヒールの魔法の回復力はかなり高いが、序盤は使用回数に限りがあるため、HPギリギリのところで使うのが効果的だ
敵の動きにも注意が必要だが、孤立した敵は取り囲んでボコすのが基本戦術だ
中断セーブ機能がめっちゃ有効に役に立つ。役に立ちすぎてスロットが4個じゃ足らないほどだ
外伝2の主人公は、重傷を負って行き倒れていた少年シュウ。謎の少年、一体何者なのだろうか?
敵も味方も通常の攻撃や防御に加えて追加反撃を行なったり、連続攻撃を繰り出す場合がある。これが発生すると想定外の展開となるので、こまめな中断セーブが必須だ