【特集】
【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「メガパネル」
実は対戦が熱い、ナムコの快作(怪作!?)スライドパズルゲーム
2022年10月30日 00:00
- 【メガパネル】
- 1990年11月22日 発売
- 発売時のメーカー:ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)
「メガパネル」は、ナムコがメガドライブで発売した初のオリジナルタイトルだ。「テトリス」や「コラムス」など、当時の定番となりつつあった“落ちもの”とはひと味違った手触りが特徴的なパズルゲームである。
ナムコのメガドライブ参入はメガドライバー(メガドライブユーザーの呼称)にとって大きなニュースだったが、その初期ラインナップは「フェリオス」、「クラックス」、「バーニングフォース」と、少々メジャー感に欠ける印象もあった。同時期のPCエンジンのナムコタイトルがとても魅力的だったぶん、反動はそれなりに大きかった気がする。そして満を持して発売されたオリジナルタイトルがこの「メガパネル」だ。「最初のオリジナルがパズルか……」というのが筆者の正直な感想で、同じ発売月には「鮫!鮫!鮫!」や「グラナダ」なども出ていたため、ゲームは当時アルバイトで出入りしていた「BEEP!メガドライブ」編集部で触っただけだった。BGMが印象的で、クリアをすると女の子の絵柄が出てくるゲームだったということぐらいしか当時の記憶はない。
本作の面白さに気づいたのは、ここ10年以内の比較的最近のことだ。ある日この「メガパネル」を中古で手に入れて何気なく遊んでみたら、その印象がガラッと変わった。冒頭でも述べた通り本作は、上から落ちてくるものを並べて消す“落ちもの”ではなく、盤面のに敷き詰められたパネルに1枚分の隙間があり、隣接したパネルをスライドさせていく、いわゆる「15パズル」の要領で同じ色を揃えて消す独特のルールが設定されていて、これが15パズル好きの筆者のツボにハマったのだ。
パネルは同じ色を縦か横に3枚以上並べると消え、ドスンと音を立てて上のパネルが下に落ちる。パネルは下から1段ずつせり上がって、最上段が詰まった状態でせり上がるとミスとなるルールだ。縦に揃えて消すとパネルの縦列が一気に下がってしまい、デコボコになってミスしやすいので、主に横に揃えて消していくのが基本となるが、なかなかそうもいかないのが面白いところ。連鎖も落ちものパズルとは性質が異なり、狙って連鎖させるのはコツがいるため筆者はあまり意識しないで、淡々とパネルを消していくプレイスタイルが好きだったりする。
実はこのルール、後の1995年に任天堂より発売されたスーパーファミコンソフト「パネルでポン」(以下、「パネポン」)に酷似していることがわかる。横6列のカラフルなパネルが下からせり上がってきて、縦横に3枚以上並べると消えるところまでは基本的に同じ。決定的に違うのはパネルの動かし方で、本作がパネルをスライドさせるだけなのに対し、「パネポン」は左右2枚分のパネルを入れ替えるというもので、さらにパネルがないところにもパネルを移動できるのも大きなポイントであった。ある意味「メガパネル」のルールをブラッシュアップしたのが「パネポン」という印象で、後にシリーズ化されるほどヒットさせたのはさすがの任天堂というところだが、筆者は「メガパネル」に慣れすぎてしまっていて、「パネポン」のルールをまったく受け付けない体になってしまっていることが、Nintendo Switch Onlineで配信された同作をプレイして判明したところだ。
ゲームモードは3つあり、それぞれ味わいのある仕様だ。練習モードの「EXERCISE」は中東を思わせる背景画像に、真ん中では謎のポンチョ男がギターをかき鳴らしている。これがBGMのメロディともシンクロして、実にシュールな雰囲気を醸し出している。順にお題をクリアしていくスタイルで、LESSON1~4までが用意されている。
「PIN-UP」はステージクリア型で、パネルを消すと画面右側上方にある爆弾が落ちて、下にあるブロックが壊れ、裏にある女の子のピンナップがあらわになっていく。ステージが進むほど露出度が高まっているような気もするが、きっと気のせいである。連鎖も含めパネル4枚以上を消すと爆弾が複数落ちる仕組みで、積極的に狙っていくとクリアがはかどるなど戦略性もあり、実質本作のメインモードといえる。ちなみに女の子は「たかい みあ」、「ほしの ゆみこ」、「アンナ・レジン」など、ちゃんと名前が付けられている。
そして「VERSUS」はその名の通り対戦モードだ。ここでは盤面に「攻」と「守」というパネルが現れ、「攻」を消すと並べても消えない×のパネルを相手の盤面に送り、「守」を消すとその×パネルを消せるというルールが設定されている。相手の盤面を見ながら攻守のパネルをどう使っていくか考えるゲームプレイは、他のモードでは味わえない戦略性が備わっている。筆者も対戦を味わったの当然ながら最近のことで、この面白さは完全に盲点であった。対戦できるタイトルの多いメガドライブミニ2の中でもダークホース的な存在で、意外に熱くなれるので、機会があれば試してみることをオススメする。
メガドライブの歴史の陰に隠れがちなタイトルながら、今回メガドライブミニ2に収録されることになって本当によかったと思っている。筆者は発売当初に体験しなかった分を、このメガドライブミニ2でさらに楽しむつもりだ。
(C)SEGA
MEGAPANEL™&(C)Bandai Namco Entertainment Inc.