【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「ファイナルファイトCD」

今ではなかなかプレイできない、異色の移植版に触れられる時が来た!!

【ファイナルファイトCD】

1993年4月2日発売

発売時のメーカー:セガ

 90年代の格闘ゲームのブームが起こる以前は、アーケードの主力タイトルといえばシューティングゲームやアクションゲームだった。そんな時代に爆発的な人気を誇っていたのが、今なお人気の高いベルトスクロールアクションゲーム「ファイナルファイト」である。

 「ガイ」、「コーディー」、「ハガー」の性能の異なる3人から使用キャラを選び、さらわれたハガーの娘・ジェシカを救うため、メトロシティを牛耳る犯罪組織マッドギアをぶっ潰すステージクリア型のアクションゲームだ。

 誰でも遊べる簡単操作で使うボタンは2つのみ。パンチとジャンプ、そしてパンチとジャンプボタンを同時押しで無敵技のメガクラッシュが発動できる。「ファイナルファイト」のアクションはこれが全て。シンプルなゲーム性ながら敵を蹴散らしていくのが痛快で、繰り返し遊びたくなる魅力があるのだ。

武神流忍術の継承者・ガイ。素早い攻撃が強み
マーシャルアーツの使い手でバランスタイプのコーディー。ナイフの扱いが得意
メトロシティの市長、マイク・ハガー。動きは遅いが攻撃力の高さはピカイチ

 アーケードで人気を博した作品だけあり、稼働から1年でスーパーファミコンに移植された。マシンパワーのしがらみもあり、当時はアーケード作品をそのままコンシューマ移植するのはほぼ不可能。アーケード版から多少質を落としての移植という形が当たり前だった。

 スーパーファミコン版も例に漏れず、プレイアブルキャラクターの1人であるガイとステージ4の工場エリア、さらに2人協力プレイの要素が削除されている。後にガイをプレイアブルキャラクターとして復活した「ファイナルファイト ガイ」がリリースされるが、こちらは今度はコーディーが削除と、どちらにせよ残念さの残る移植であった。

 しかし、このメガCD版はディスクメディアになったことで容量不足という問題を見事に解決し、ほぼアーケード準拠の移植――では止まらず、BGMのアレンジやオープニングデモにキャラクターボイスを追加するなど、アーケード版+αの内容となっている。

キャラクターボイスが加わったオープニング。映像も新規の物になっている
アーケードと同様に3人全員使用可能
ロレントが待つ工場エリアも遊べる
「ファイナルファイト」の醍醐味である協力プレイも楽しめる

 そんなメガCD版こそがコンシューマ「ファイナルファイト」の完全版――とは残念ながら言えない問題点もあり、アーケード版やスーパーファミコン版と比べるとキャラクターのパンチ速度が遅く、やや爽快感に欠けるゲームバランスになっていたりする。

 当時メガCD版を購入したファンは「ふざけんな!」となったことかと思うが、今やアーケード版の完全移植版が手軽に遊べてしまう時代なので、ちょっとアレでもレアなメガCD版に触れられるのが嬉しく思っているのは自分だけではないハズだ。

当時の購入者はこうなっていたことだろう

 噂には聞いていたが、筆者はメガCD版をプレイするのは今回が初めてで、どんなゲームバランスになっているのかワクワクしていた。

 実際に触ってみると、キャラクターを動かすよりも前にBGMの雰囲気がガラリと変わっていることが分かった。良くも悪くも新鮮味がすごい。

 そして肝心な操作の感触だが、噂通り「ファイナルファイト」を触ったことがある人なら確実に気付くレベルでパンチの速度が遅い。しかしゲームの面白さが壊滅的に損なわれる程かといわれるとそれほどでもなく、入力の感覚こそ変わるがパンチハメもしっかりできるので想像していたよりも「ファイナルファイト」の旨味を味わうことができた。

パンチをスカらせてコンボを出し切らないようにするパンチハメ。パンチ速度が遅くても普通にできる

 他機種版にはない本作オリジナルのタイムアタックモードを収録している。制限時間内に何体の敵を倒せるかを競うというルールだ。プレイしてみると、タイムアタック用に新規ステージが用意されているのには正直驚かされた。

 このモードではアイテムは一切出現せず、大量の敵がこちらを囲むようにワラワラと出てくるので本編よりも難易度が高い。いかに手際よく敵を片側にまとめるかが攻略の鍵になる。

 オマケモードなので軽く触り程度に思っていたのだが、歯応えのある難易度なのもあってかゲーマー魂に火が点き、クリアするまでリトライしてしまった。プレイ前はオマケだと思い少々舐めていたが蓋を開けばかなり熱いモードであった。

タイムアタックモードオリジナルステージ。キャラごとにステージが違うという力の入れよう
投げで敵を片側にまとめるのが重要
何度もリトライして、何とか最後まで生き残ることができた

 否定的な声も上がる「ファイナルファイトCD」だが、アーケードをそのままとはいかないものの、粗に多少目をつぶれば普通に楽しめる内容だった。「ファイナルファイト」ファンであっても本作をプレイしたことがない人は結構いると思うので、一味違うメガCD版をぜひ一度遊んでもらいたい。