【特集】
【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「炎の闘球児 ドッジ弾平」
原作を知らなくても楽しめる、ハイクオリティなドッジボールアクション
2022年10月26日 00:00
- 【炎の闘球児 ドッジ弾平】
- 1992年7月10日発売
- 発売時のメーカー:セガ
「炎の闘球児 ドッジ弾平」は、同名タイトルのマンガ原作とアニメーションが世の子供達をドッジボールブームに巻き込んでいるさなかに発売された。ドッジボールのゲームはそれ以前にも発売されていたが、原作の「闘球(スーパードッジ)」やストーリーを上手くゲームに取り入れたゲームデザインと3,880円という低価格により、メガドライブユーザーから高く評価されたタイトルだ。
原作の「炎の闘球児 ドッジ弾平」は「月刊コロコロコミック」にて1989年から約6年にわたって連載され、その間アニメ化もされたヒット作だ。読者の中にもリアルタイムでドッジブームを体験した人がいるのではないだろうか。筆者は既に大人だったので、直接ブームには乗っていなかったが、当時の動向はもちろん知っていて、何よりメガドライブでのゲーム発売がその人気の証だった。
過去のレビューでも述べているが、当時筆者はメガドライブ専門誌の「BEEP!メガドライブ」編集部にアルバイトとして所属していて、本作も発売前に触っていた。同年に発売され今回メガドライブミニ2にも収録された「まじかる☆タルるートくん」と同様、セガのキャラクターゲームの侮れない完成度の高さに感心させられ、本作も発売前後に編集部で対戦が盛り上がっていたことを思い出す。
ゲームは7人制のドッジボールで、内野の選手にボールをヒットさせてHPを削り、HPを0にすると外野の控え選手と交替する仕組み。相手の選手全員のHPを0にして内野手を0にすれば勝利となる。これはデフォルト設定の「ノックアウト」ルールとなるが、ボールをヒットさせてそれを味方の選手が拾えなければ一発アウトになる、一般的なドッジボールの「こうしき」ルールがあるのも面白いところだ。
投球時はジャンプ中にシュートボタンを一定時間押して放すことで、より強いショットを投げることができる。ジャストタイミングでボタンを離すとボールが光り、選手ごとに挙動やスピードが異なる強力な必殺シュートを投げられるのだが、高いジャンプをするほど投げやすく、そのためには助走が必要なので、必然的に内野側からのシュートが多くなるはず。またシュート時やキャッチしたときにラインを超えてしまうと相手側ボールになったり、ライン上のボールはどちらが取ってもOKだったりと、ドッジボールのルールにも忠実だ。その他、攻撃側の内野と外野がフォーメンションを組んでパスを繰り返し、任意のタイミングで速球を放つ「フォーメーションアタック」も勝負のカギとなっている。
本作で何より重要なのは、攻防時のボールのキャッチングだと筆者は考えている。相手からの投球はボールが選手にぶつかる瞬間にシュートボタンを押すことでキャッチして反撃できるのだが、相手の必殺シュートやフォーメーションアタックまでもキャッチすることが可能で、それを投げ返せば同じ効果のシュートを返すことができるのだ。なお相手からのシュートのターゲットとなるのは原則として動かせる選手で、キャッチするときは相手が投げてくる方向を向いていないとタイミングが合ってもキャッチできないことも覚えておきたい。ゲームに慣れてくるとキャッチを絡めた必殺シュートの応酬や外野を使ったフェイントなど、多彩な攻防が展開するので、同等の腕があれば対戦は必ず盛り上がるはずだ。
弾平と球川小闘球部のメンバーを主役に、アニメの一部とオリジナル要素を盛り込んだストーリーモード「倒せ!闘球の強豪たち」をメインに、好きなチームやルールを選んで試合を行う「1PvsCOM」と「1Pvs2P」、複数のプレイヤーが参加できるリーグ戦「闘球リーグ」、そして練習モードの「炎の猛特訓」と、プレイモードも充実している。特に「炎の猛特訓」は、原作さながらに火浦先輩のもとでキャッチングと必殺シュートのコツを身に着けられ、実戦にも役立つものだ。初めて遊ぶときはこちらをやってみるのをオススメする。
今回メガドライブミニ2に収録されたものを遊んでみて、シュートやキャッチの感触を体が覚えていたことに驚いたのと同時に、当時編集部のメンバーで楽しく対戦していたことを思い出した。収録タイトルの中でも、対戦ツールとしてはトップクラスの面白さで、原作を知っていても知らなくても、スーパードッジの醍醐味を味わっていただきたいものだ。
(C)SEGA
(C)こしたてつひろ/小学館・ShoPro