【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「炎の闘球児 ドッジ弾平」

原作を知らなくても楽しめる、ハイクオリティなドッジボールアクション

【炎の闘球児 ドッジ弾平】

1992年7月10日発売

発売時のメーカー:セガ

 「炎の闘球児 ドッジ弾平」は、同名タイトルのマンガ原作とアニメーションが世の子供達をドッジボールブームに巻き込んでいるさなかに発売された。ドッジボールのゲームはそれ以前にも発売されていたが、原作の「闘球(スーパードッジ)」やストーリーを上手くゲームに取り入れたゲームデザインと3,880円という低価格により、メガドライブユーザーから高く評価されたタイトルだ。

タイトルロゴが出てくる演出もアニメと同じ。オープニングではアニメ版主題歌「炎のゴー・ファイト」のインスト版が流れる
【ドッジボールは最強格闘技?【炎の闘球児 ドッジ弾平アニメ】誕生! 炎の闘球児1話【レジェンドアニメ】】

 原作の「炎の闘球児 ドッジ弾平」は「月刊コロコロコミック」にて1989年から約6年にわたって連載され、その間アニメ化もされたヒット作だ。読者の中にもリアルタイムでドッジブームを体験した人がいるのではないだろうか。筆者は既に大人だったので、直接ブームには乗っていなかったが、当時の動向はもちろん知っていて、何よりメガドライブでのゲーム発売がその人気の証だった。

ストーリーモードの「倒せ!闘球の強豪たち」では、ライバルとなる二階堂大河との出会いを経て、彼が所属する聖アローズ学園闘球部との対戦から始まる

 過去のレビューでも述べているが、当時筆者はメガドライブ専門誌の「BEEP!メガドライブ」編集部にアルバイトとして所属していて、本作も発売前に触っていた。同年に発売され今回メガドライブミニ2にも収録された「まじかる☆タルるートくん」と同様、セガのキャラクターゲームの侮れない完成度の高さに感心させられ、本作も発売前後に編集部で対戦が盛り上がっていたことを思い出す。

劇中に登場するキャラクターがドット絵で描かれているのもいい感じだ
試合中のキャラも劇中に近い等身で、なおかつ軽快に動くので、触っていて楽しい

 ゲームは7人制のドッジボールで、内野の選手にボールをヒットさせてHPを削り、HPを0にすると外野の控え選手と交替する仕組み。相手の選手全員のHPを0にして内野手を0にすれば勝利となる。これはデフォルト設定の「ノックアウト」ルールとなるが、ボールをヒットさせてそれを味方の選手が拾えなければ一発アウトになる、一般的なドッジボールの「こうしき」ルールがあるのも面白いところだ。

画面上に内野の選手のHPゲージと、チームの残り人数が表示されている。どちらかが0になると試合終了となる
ボールを当てられるとHPが削られてしまう。「こうしき」ルールにHPはなく、当てられたボールをキャッチできないとアウトに

 投球時はジャンプ中にシュートボタンを一定時間押して放すことで、より強いショットを投げることができる。ジャストタイミングでボタンを離すとボールが光り、選手ごとに挙動やスピードが異なる強力な必殺シュートを投げられるのだが、高いジャンプをするほど投げやすく、そのためには助走が必要なので、必然的に内野側からのシュートが多くなるはず。またシュート時やキャッチしたときにラインを超えてしまうと相手側ボールになったり、ライン上のボールはどちらが取ってもOKだったりと、ドッジボールのルールにも忠実だ。その他、攻撃側の内野と外野がフォーメンションを組んでパスを繰り返し、任意のタイミングで速球を放つ「フォーメーションアタック」も勝負のカギとなっている。

助走をつけると高くジャンプができるので、空中でボタンを押して力を溜め、ボールが白く光ったところで放すと必殺シュートになる
内野からのシュートはキャッチされやすいデメリットもあるので、シュートと見せかけてパスをして、外野が相手の後方からシュートするといったフェイントも使える
内野と外野でフォーメーションを組んでパスを回し、任意の場所から強力なシュートを放つフォーメーションアタック。1試合で互いに3回ずつ使える

 本作で何より重要なのは、攻防時のボールのキャッチングだと筆者は考えている。相手からの投球はボールが選手にぶつかる瞬間にシュートボタンを押すことでキャッチして反撃できるのだが、相手の必殺シュートやフォーメーションアタックまでもキャッチすることが可能で、それを投げ返せば同じ効果のシュートを返すことができるのだ。なお相手からのシュートのターゲットとなるのは原則として動かせる選手で、キャッチするときは相手が投げてくる方向を向いていないとタイミングが合ってもキャッチできないことも覚えておきたい。ゲームに慣れてくるとキャッチを絡めた必殺シュートの応酬や外野を使ったフェイントなど、多彩な攻防が展開するので、同等の腕があれば対戦は必ず盛り上がるはずだ。

キャッチングの判定はそれほどシビアではない。慣れると速いシュートも取れるようになる。ただし速いシュートはキャッチ時のノックバックが大きく、選手が外野に押し出されて相手ボールになってしまうこともある
必殺シュートでもキャッチできれば、すぐさま同じシュートを投げ返せる
キャッチが難しいフォーメーションアタックなどは、ボタンを押してのしゃがみやジャンプで回避する手段もある

 弾平と球川小闘球部のメンバーを主役に、アニメの一部とオリジナル要素を盛り込んだストーリーモード「倒せ!闘球の強豪たち」をメインに、好きなチームやルールを選んで試合を行う「1PvsCOM」と「1Pvs2P」、複数のプレイヤーが参加できるリーグ戦「闘球リーグ」、そして練習モードの「炎の猛特訓」と、プレイモードも充実している。特に「炎の猛特訓」は、原作さながらに火浦先輩のもとでキャッチングと必殺シュートのコツを身に着けられ、実戦にも役立つものだ。初めて遊ぶときはこちらをやってみるのをオススメする。

チームは原作の4チームと、日本各地と世界各国の強豪15チーム(+10チーム)が登場する
攻防の要であるキャッチングと必殺シュートの特訓。基本の感覚はこれで掴める

 今回メガドライブミニ2に収録されたものを遊んでみて、シュートやキャッチの感触を体が覚えていたことに驚いたのと同時に、当時編集部のメンバーで楽しく対戦していたことを思い出した。収録タイトルの中でも、対戦ツールとしてはトップクラスの面白さで、原作を知っていても知らなくても、スーパードッジの醍醐味を味わっていただきたいものだ。