【特集】
【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「ゲイングランド」
遊びやすくなったアーケードからの移植版。ステージが10面増えてお得!?
2022年10月27日 00:00
- 【ゲイングランド】
- 1991年1月3日発売
- 発売時のメーカー:セガ
「ゲイングランド」は、1988年にセガのアーケードゲーム基板「SYSTEM24」にてリリースされた同作の移植タイトルとなる。固定画面の戦略性の高いアクションゲームで、20人の個性的な戦士達を救出して仲間にし、暴走した疑似戦闘体験システム「ゲイングランド」から脱出するという内容だ。
長い平和によって劣化してしまった人間の闘争本能を刺激するために作られた疑似戦闘体験システム「ゲイングランド」が突如暴走、中に閉じ込められた人々を救うために3人の戦士が突入するというストーリーが展開する。「アスラ」、「ベティ」、「ジョニー」がその3人で、プレイヤーが持つ初期キャラクターとなっている。キャラクターは彼らを含め20人が登場。初期の3人以外は特定のステージで捕虜になっていて、彼らを救出して「EXIT」から出ることで、次のステージから出撃できるという仕組みだ。またミスをしてたとしても、同様の手順で救出できるのも、本作ならではのゲームシステムで、キャラクターそのものが残機の概念だったのも斬新だった。
戦士達はタイプ別に違った攻撃手段と特徴を持っていて、ステージの形状や登場する敵の数、種類などによって出撃させるキャラクターを変えていくのが重要な戦略となる。ステージには高さの概念があり、高所や壁の向こう側、堀などに存在する敵は、特定の戦士にしか対応ができない。通常のステージではさほど役に立てないが、特定のステージでは大活躍できるキャラクターもおり、プレイを重ねることでそれぞれの活躍できる場所を模索していくことがゲームの醍醐味となっている。敵キャラクターを全て倒すか、手持ちのキャラクター全員をEXITから脱出させればステージクリアとなるが、敵を全滅できずに制限時間が0になってしまうと、脱出させていない戦士は失われるという厳しいルールもある。
アーケード版の「ゲイングランド」は、“ドット単位”とまで言われた緻密な攻略が必要なゲームで、難易度も非常に高く、それが売りの一つでもあった。ところがこのメガドライブ版は、難易度が全体的に抑えられていて、画面比率や解像度が変わった影響もあり、そのプレイフィールはアーケード版からかなり変わっていた。そのためアーケード版のプレイヤーからは「あの緻密で緊張感の高いゲームデザインが再現されていない」とすこぶる評判が悪く、当時の雑誌に掲載されたレビューなどでもそのことが指摘されていた。
筆者は当時、「ゲイングランド」をこのメガドライブ版で初めて触っていて、その印象は決して悪いものではなく、むしろ好意的に捉えていた。基本的なルールは変わっておらず、捕虜を助けて仲間にしていく醍醐味は再現されていて、さらに「現代面」と呼ばれるラウンド4(10ステージ)も追加され、家庭用ゲームとしては、見た目はやや地味ながら、ちゃんと遊べるタイトルだったからだ(その後改めてアーケード版を触って、ひどい目に遭っていたりするのだが……)。またメガドライブ版ならではの、「最初から20人でスタート、ステージ中の捕虜0、コンティニュー不可」という、挑戦し甲斐のある難易度「HARD」もあるので、もの足りないという印象はない。
このメガドライブ版で印象に残っているのは、20人のうちの「バーバル」と「マース」の強さだ。原始世代に所属する2人は足が速く、装備した弓は射程が長いうえに連射が利き、さらに特殊攻撃なら高いところや壁の向こうも攻撃できる。画面比率が変わってステージが狭くなったメガドライブ版では、これらの長所がさらに引き立ち、攻撃のみならず捕虜の救出にも役立つ、最も頼りになる2人となった。それだけに彼らでミスをしたときは救出を最優先とするのだが、中盤ぐらいまでに同キャラが何人か救出できることも意識しておくと安心感がある。もちろんこの2人に限らず、20人がそれぞれ活躍できるシチュエーションは揃っているので、ゲームを遊び込んで捕虜となったステージや活躍できるポイントなどを認識しておくと、より楽しくプレイできると思う。
移植タイトルではあるものの、独自のバランスが設定されたこのメガドライブ版は、ある意味別物といってもいい。筆者のようにメガドライブ版が好きというファンもいて、何よりメガドライブミニ2に収録されるクオリティのタイトルなので、中断セーブを駆使してじっくり挑んでみよう。Nintendo Switchで発売中のアーケード版を忠実に再現した「SEGA AGES」版「ゲイングランド」と比べてみるのもいいかも!?
(C)SEGA