【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「ふしぎの海のナディア」

　「ふしぎの海のナディア」はNHKにて1990年4月から全39回で放送されたテレビアニメーションだ。監督は「新世紀エヴァンゲリオン」でもお馴染みの庵野秀明氏。

　筆者は当時別のアニメに夢中だった事もあり(1990年はNG騎士ラムネ&40にドはまりしていた)、ナディアをリアルタイムで視聴していなかったのだが、後日全話視聴してみて、旧約聖書などの神話やアトランティス伝説などの要素をうまくまとめて詰め込んだSFとしてしっかり作られた1作だった。特に旧約聖書を絡めたエピソードの中にはエヴァンゲリオンと絡めようとしたのでは？と思われるネタもいくつか含まれているので、もしエヴァンゲリオンのファンでナディア未見の人がいたら、是非見てみてほしい。

　また、主題歌を歌う森川美穂氏は当時筆者がチェックしていたアーティストの1人だったこともあり、オープニングの「ブルーウォーター」、エンディングの「Yes,I will...」は視聴前から大好きだった曲だ。

　そんなアニメ版「ふしぎの海のナディア」のストーリーを簡単に実体験できるのが、本作メガドライブ版「ふしぎの海のナディア」だ。本作は見下ろし視点の2Dアドベンチャーとして作られており、ロールプレイングゲームのようにキャラクターを操作して、会話をしたりアクションを行なうことで、ストーリーが進められていく。

　なお、本作のオープニングは歌こそ収録されていないが、アニメ版のオープニングをメガドライブで再現するというなかなか冒険的な試みも行なわれており、ナディアが好きな人ならこのオープニングアニメだけでも見てみる価値はアリだ。

メガドライブ上でオープニングを再現

ゲーム本編は見下ろし視点の2Dロールプレイングゲームのようなビジュアルのアドベンチャーゲーム。成長要素や戦闘、アクションなどは特にない

キーポイントではカットシーンが挟み込まれる

　基本的なストーリーは原作に沿って展開するが、予めストーリーが分かっていても、ゲーム的にプレーヤーがより能動的に関われるような作りに変更されている点も多く、実際にプレイしてみると、思ったようにストーリーが展開しない場面も多く見られる。

　例えばジャンの飛行機が不時着する場面はアニメでは海の上で、その後アメリカ海軍の戦艦に助けてもらったり、その後再度遭難したところを潜水艦「ノーチラス号」に救出してもらい、その後再び飛び立ったところを狙撃され、島に不時着するといった流れになっているのだが、そうしたエピソードは一気に省略していきなり島に不時着してマリーと出会う流れになっている。

　島ではジャンとナディアとキングの3人で洞窟内を探検するような場面が追加されており、道中で丸太を拾って足場にしたり、てこの原理で岩を動かしたり、といった操作をこちらで行なうような作りになっているなど、ゲームとしての仕掛けが随所に施されており、メガドライブ版ならではの面白さに繋がっている。

　また、これ以外にも道中の展開などは各所にかなり変更が加えられているほか、ラストはかなり大幅にテレビ版のラストとは異なる流れになっていたので、アニメ版を一通りみた人こそ是非プレイして違いをチェックしてほしい作りになっている。

　章立てで物語が構成されている本作にはデータセーブの機能が存在せず、1つの章をクリアすると次の章の最初からプレイが可能なパスワードが表示される仕組みになっている。セーブがないため、ステージの途中で中断したい場合に、従来の方法では章の最初からやり直すしか方法がなかったが、今回は「メガドライブミニ2」の中断セーブ機能が使えるので、章の途中であっても、自由に中断したり再開できるのはありがたい。

　「ふしぎの海のナディア」はメガドライブ以外にもファミコン版や、PC-98版/X68000版/FM TOWNS版、PCエンジン版など、異なるストーリーと異なるシステムでマルチプラットフォーム展開している。いずれもストーリー含めて全くの別物となっているため、全てのゲーム版ナディアをチェックするのも面白そうだ。

　筆者が試した範囲では、少なくともメガドライブ版「ふしぎの海のナディア」については、オリジナルのアニメを知っているファンにこそ改めて遊んでほしい1本に仕上がっているので、ナディアファンの人は「メガドライブミニ2」を買ったら是非プレイしてみてほしい。

フィールドではコマンドから話しかけたり、アイテムを使ったりといった操作が必要になる場面も多い

デフォルメされたドット絵キャラクタのみのアニメーションで見せる場面も多くある

ベースとなるストーリーはアニメと同じだが、道中の細かいシーンはゲーム向けに改変されているほか、ゲームオリジナルのラストシーンが追加になっている

章をクリアすると、アイキャッチの「THE SECRET OF BLUE WATER」の音に合わせてパスワードが表示される

飛行モードのグラタンが追ってきた！巨大なオブジェクトが動くシーンも多く、見ごたえのあるビジュアルが展開する

マリーの登場シーンやその前後の展開もアニメとはだいぶ違った気がする

いきなり「ブルーウォーター」のイントロが流れてくるので驚くオープニング。かなりカッコいいのでココだけでも見てほしい