【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「スーパーストリートファイターII」

アーケード版を限界まで再現した意欲作!

【スーパーストリートファイターII】

1994年6月25日発売

発売時のメーカー:カプコン

 格闘ゲームの一大ブームメントを巻き起こした火付け役である「ストリートファイターII(以下、ストII)」。今回メガドライブミニ2に収録される「スーパーストリートファイターII(以下、スパII)」は「ストII」シリーズ4本目となるタイトル。本作から開発基板が新たなCPSIIとなり、グラフィックスの向上をはじめ、4人の新キャラクター&新必殺技の追加とあらゆる面でパワーアップした。

新キャラクターの登場で「ストII」に新しい風が吹いた
既存のキャラにも新必殺技が実装された。ケンの昇龍拳に炎が付いたのにはシビレた

 アーケード勢としてはクオリティが上がることは嬉しい限りだが、ここで問題になるのがコンシューマ版だ。CPS Iの「ストII」でさえ、コンシューマハードへの移植はアーケード版からグレードダウンしていたのにも関わらず、アーケード版のスペックがさらに上がったことで移植は非常に困難だったのは容易に想像できる。

 コンシューマ版の「スパII」は1994年にスーパーファミコン版とメガドライブ版が同日リリースされた。32MBitロムカセットのスーパーファミコン版はかなり無理な移植だったようで、攻撃の打撃音が弱かったり、ラウンドごとにBGMがリセットされるなど粗が目立つ内容であった。

 もう一方のメガドライブ版はというと、こちらは大容量の40MBitロムカセットを採用したことでスーパーファミコン版で残念だった部分がほぼ解消されており、アーケード版に限りなく近い仕上がりになっている。両機種を所持していたガチの格ゲーマーはメガドライブ版一択だった。

オープニングのアニメーションの細かさが、アーケード版に近い仕様になっている
メガドライブ特有のガラガラ音声だが、しっかりラウンドコールも入っている
BGMが途切れず、次のラウンドに跨ぐのもアーケード版準拠

 これまで「ストII」はシリーズを重ねるもゲームバランスの調整が中心でお馴染みの顔ぶれが長いこと続いていたのだが、ここにきて待望のニューカマーの登場にテンションが上がったのを今でも覚えている。

 中でも衝撃的だったのは際どい衣装をまとったキャミィ――ではなく、規格外のデカさを誇るT・ホークだ。ザンギエフを超える巨漢でありながら鳥のように宙を舞う様は、当時少年だった筆者の心を鷲掴みにした。今回久々に触ったが、敵を軽々とぶん回すメキシカンタイフーンが決まる瞬間はやはり爽快の一言だ。

「スパII」以降もほとんどの作品に登場しているキャミィ。新キャラ4人の中では圧倒的人気
たくましい肉体のT・ホーク。コンドルダイブで飛び回る
メキシカンタイフーンのダイナミックなアクションに惚れたプレーヤーも多かったのではないだろうか

 「スパII」は、前作の「ターボ」からゲームスピードが格段に落ちており、そこはアーケード版でも否定的な声が上がっていた点だ。しかしメガドライブ版ではそんな欠点にも手が加えられており、ゲームスピードを4段階で調整することができる。

 デフォルトでは少し眠たいスピードだったが、速度を3にするとちょうど「スーパーストリートファイターIIX」くらいのゲームスピードになって、テンポの良いスピーディなバトルが楽しめた。ちなみに、最大速度の4にするともはや対空など不可能なレベルの超スピードになるので、CPU戦ではオススメできないが身内対戦では最高に笑えるハズだ。

タイトル画面で速度変更可能。☆4が最速
アーケード版では味わえなかったハイスピードバトルが楽しめる

 アーケードモードに相当するSUPERモードだけでもストII勢にかかれば永久に遊べてしまう訳だが、ガチではないライトユーザーのことも考慮して、スコアやクリアタイムを競うCHALLENGEモードや団体戦のGROUPモードなど様々なオリジナルモードが充実している。飽きずに長く遊べる工夫がされているカプコンのサービス精神はさすがである。

複数のプレーヤーが参加できるTOURNAMENTモード
己の限界のスコア&クリアタイムに挑むCHALLENGEモード
最大8キャラクターでチームを組める団体戦のGROUPモード

 本作をプレイしてみて、メガドライブ版ならではの真新しさは無いものの、アーケード版に近い感覚でプレイできるのはシリーズファンとしては嬉しい作りである。

 メガドライブミニ2には格闘ゲームの傑作が2タイトル収録されていて、その1つの「餓狼伝説2」はアーケード版のベースをぶっ壊して新しいゲーム性を生み出しているのに対して、「スパII」はアーケード版を可能な限り完全再現を目指した非常に硬派な作品に仕上がっている。