【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「餓狼伝説2 新たなる闘い」

今遊んでも新し過ぎるゲーム性! 独自のアレンジで生まれ変わった新生・餓狼伝説!

【餓狼伝説2 新たなる闘い】

1994年6月24日発売

発売時のメーカー:タカラ

 90年代の格闘ゲームブームの真っ只中、カプコンとバチバチに競い合っていたメーカーがあった。それが「THE KING OF FIGHTERS」シリーズでお馴染みのSNKだ。メガドライブミニ2でも「スーパーストリートファイターII」の対抗馬(?)としてタカラ製の「餓狼伝説2 新たなる闘い」(以下、「餓狼伝説2」)が収録されている。

 「餓狼伝説2」といえば、2ラインを自由に行き来できる斬新なゲーム性、ド派手な超必殺技の実装、セクシー過ぎる女忍者「不知火舞」が初登場した伝説の格闘ゲームである。

 格闘ゲーム界に衝撃を与えた作品ではあるのだが、対戦バランスが悪かったり、コンボの概念が無かったりと格闘ゲームとしてはベタ褒めできる内容ではなかった。なので、バランス調整を加えて神ゲーになった続編「餓狼伝説スペシャル」の方をなぜ収録しなかったのかと筆者は怒りに震えていたのだが、どうやらメガドライブ版の「餓狼伝説2」はアーケード版やスーパーファミコン版とは全くの別物といえる作品になっているようだ。

 メガドライブ版は一体どのような内容になっているのか、プレイして確かめていきたいと思う。

前作から格段に増えたプレイアブルキャラクター
「餓狼伝説2」から奥と手前の2ラインを自由に行き来できるようになり、戦略性が上った
当時では珍しかった超必殺技が全キャラに実装
格闘ゲーム界隈を震撼させた不知火舞。このキャラを生み出した人は間違いなく天才である
メガドライブ版でも勝ちポーズの揺れは健在

 触ってみたところ、この「餓狼伝説2」は想像以上にアレンジが加えられていた。特に大きいのが“通常攻撃からありとあらゆる必殺技へ繋がってコンボになる”点だ。強Pからなんと超必殺技に繋ぐこともでき、良調整を施された「餓狼伝説スペシャル」よりも自由度と爽快感が格段に上である。

弱P→弱P→強P→斬影拳のように爽快なコンボが決まる
超必殺技もコンボに組み込めるので、1コンボでこの絶大な威力

 後半に登場するボスキャラクターの三闘士とクラウザーは特別仕様となっており、本作ならではのオリジナル必殺技を持っている。中でもラスボスのクラウザーの激レッグトマホークがかなり凶悪で、足にオーラをまといながら縦横無尽に飛び蹴りを繰り出す技なのだが技後の硬直がほぼ無く、ガードしてもこっちのターンにならない出し得性能なのだ。

 ボスの4人はCPU専用キャラだから仕方が無い――と思ったのだが、ぶっ壊れキャラの4人をプレーヤーが使うことができてしまうのだ。対人戦で使われたらコントローラーをぶん投げることだろう。

テリーのパワーゲイザーのようなオリジナル技を持つビリー
激レッグトマホークはガードしても裏へ回るので対処が難しい
裏技を使えば強キャラ4人をプレーヤーが操作可能

 ボスキャラクター解放だけではなく、裏技を使うと何と“ゲームバランスを変更”するなんてこともできる。

 本来、超必殺技は体力が僅かになった状態で初めて使えるようになるのだが、それを常時使い放題にするものや“空中で攻撃の当たり判定をつける”ことなんかも可能なのだ。

 この空中当たり判定ありの対戦が斬新で、昨今のコンボゲーのようにどこからでも拾える爽快なゲームに生まれ変わる。キャラによっては1発浮いたら終了の即死コンボなどもあるが、そういったバランス崩壊も含めて笑える面白さがある。

TAKARAのロゴが表示されているときに裏技コマンドを入力する
裏技を入力するとオプションに「TEST」という項目が追加されるので、ここでゲームバランスの変更ができる
開幕から超必殺技をぶっ放せる
空中の当たり判定がありだと、飛んでいる相手を半月斬で落として
そこから超必殺技の鳳凰脚で空中拾いができる
さらに半月斬の追撃で10割コンボが簡単に決まる。対戦にピッタリな世紀末感である

 噂通り、従来の「餓狼伝説2」とは全く別作品になっており、メガドライブミニ2に本作が収録されたのも納得がいった。

 グラフィックス面を除けば正直アーケード版を超えるクオリティ。本家のゲームバランスを無視して大胆なアレンジを加えた作品の珍しい成功例である本作。身内で対戦すれば色んな意味で盛り上がれるハズだ。