【特集】

【メガドライブミニ2タイトルレビュー】「スペースハリアー」

機能拡張された“if”のメガドライブ上で動く「スペハリ」が爆誕!

【スペースハリアー】

2022年10月27日発売

メーカー:セガ

 メガドライブミニ2最大の隠し球タイトルとして、最後にその存在が明かされたメガドライブ版「スペースハリアー」。

 本作は、同時収録された「スペースハリアーII」のために開発を担当したM2(エムツー)によって、「もしもメガドライブが拡縮機能を備えていたら?」という“if”のメガドライブを感じさせる拡大縮小機能を備えたタイトルとなっている。

オリジナルのアーケード版の醍醐味である無数の巨大なキャラクターを拡大縮小機能によって表示している

 今更詳細を語るまでもない、体感3Dシューティングの金字塔「スペースハリアー」。1985年のリリース以降数々の家庭用ゲーム機にも移植され、その歴史を未来へと繋げている本作だが、このメガドライブミニ2に収録されたものは、逆に過去へとさかのぼり、歴史に存在しないメガドライブで動く「スペースハリアー」を新たに開発したものだ。

【メガドライブミニ2「スペースハリアー」STAGE 1~STAGE 2プレイ動画】

 メガドライブの正史とは別の世界線に存在する「オミットされてしまった“拡大縮小機能”を備えたメガドライブ」を再現し、その上で動く「スペースハリアーII」の副産物としてこのメガドライブ版「スペースハリアー」は誕生した。拡縮機能により、巨大な敵が飛来し、障害物が目の前に迫ってくる迫力はアーケード版そのままで、過去に多くの機種に「スペースハリアー」を移植してきたM2のノウハウが生かされていて、ゲームのスピード感やプレイフィールも間違いない。

本作と「スペースハリアーII」は、起動するとオリジナルの「SEGA MARK V」のロゴが表示される
メガドライブの「スペースハリアー」がここに。メガドライブのハード準拠なので、色味の違いやちらつきなどもあえて残している

 実際に遊んでみて、メガドライブのコントローラーで操作する「スペースハリアー」は、実に感慨深いものがあった。スーパー32Xでも出てはいたものの、今回は大げさな周辺機器を必要とせず、メガドライブミニ2本体だけでプレイできるというのが大きなポイントだ。本作が移植された据置ゲーム機の中では、最も小さいものではないだろうか。現代の技術で機能が追加されているとはいえ、あくまで34年前に発売されたゲーム機上での再現であり、パレットの関係で一部のキャラクターの色味が違っていたり、多量の物体が画面に現れると盛大にちらついたりするところはある意味誠実で、そのこだわりには頭が下がる。5代目のセガハードを意味するゲーム起動時の「SEGA MARK V」のロゴにもグッとくる。

敵が多い場所やボスシーンなど、画面に大きなキャラが表示されるとちらつきは増える。静止画だと見にくいのでその画面は使わないが、プレイ時はあまり気にならない
全体のスピード感も損なわれていない。ボーナスステージも同様だ

 また本作は「スペースハリアーII」とともに、別売りの電波新聞社製「サイバースティック」にも対応している。今回こちらでもゲームプレイをしていて、アナログ操作ができるは異次元の体験だ。形状が違うのでアーケード版を完全再現とまではいかないものの、通常のボタンの他にスティックに備え付けのトリガーや親指ボタンでショットも可能だ。さらにスロットルとスティックは左右のポジションを交換できるので、筆者のように左手でスティックを握り、ボタンを右手で連射するプレイスタイルに対応できるのもいいところだ。

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 「スペースハリアーII」のモードの一つとして入っているタイトルのため、メニュー画面に専用のパッケージが表示されない「オマケのオマケ」的な存在ながら、ながら、このためにメガドライブミニ2を買うという人も少なくないはず。本作が収録されたことで、歴史に残るセガアーケードの移植タイトルがメガドライブミニ2上に勢揃いして(「アフターバーナーII」、「アウトラン」、「ファンタジーゾーン」)、資料的な価値も高くなった。筆者も製品版でメガドライブが発売された34年前当時のことを思い出しながら、これらをコツコツ遊ぶつもりだ。

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