【特集】

ついにきた! 海外版もまとめて開けちゃう「PCエンジン mini」開封レポート!

今回も全タイトルレビュー掲載します!

3月19日発売予定

価格:10,500円(税別)

 1987年に発売された8ビット機、PCエンジンのミニモデル「PCエンジン mini」がいよいよ3月19日にコナミデジタルエンタテインメントより発売される。

 これまでのミニモデルと同様、ミニチュア感のある小型の本体に合計58本(海外版は57本)のゲームタイトルが収録され、テレビやモニタなどに繋いでお手軽にプレイできる作りは先行した他社のミニモデルと同様だ。

 さて、今回日本国内向けには「PCエンジン mini」、北米向けには「TurboGrafx-16 mini」、欧州向けに「PC Engine Core Grafx mini」がそれぞれリリースされる。「PCエンジン mini」には限定タイトルとして「ときめきメモリアル」と「天外魔境II 卍MARU」の2本が収録されるが、一方で「TurboGrafx-16 mini」と「PC Engine Core Grafx mini」には入っている「沙羅曼蛇」が収録されない。逆に海外版には「沙羅曼蛇」が入っている代わりに「ときめきメモリアル」と「天外魔境II 卍MARU」が入っていないということで、タイトルに関しては2:1のトレードのような形になっていて、これが収録タイトル数の58本と57本の違いとなっている。

 また、付属するコントローラは「PCエンジン mini」のみ初代PCエンジンに同梱されていた、連射機能のない「ピーシーエンジン専用パッド」をベースとしたものとなる。一方海外版の付属パッドは連射機能付きの「ターボパッド」で、これはそれぞれの本体の発売当時に同梱されていたコントローラーがそのまま採用される形になっているからだ。

 今回はコナミデジタルエンタテインメントより3製品をお借りすることができたので、本稿ではこれら3製品の外観の違いや、各種機能の特徴までを一挙にまとめてお伝えする。なお、特設ページにて告知されている通り、3種の本体及び周辺機器については新型コロナウイルス感染症の影響を受け発送・着荷のスケジュールに変更が出ている。購入の際はこちらの情報もご確認いただきたい。

3製品を並べてみたところ。「PCエンジン mini」と「PC Engine Core Grafx mini」はサイズがほぼ同一なのに対して「TurboGrafx-16 mini」の倍近い幅の大きさが目立つ。これは元々オリジナルの「TurboGrafx-16」自体の筐体が大型だった事に起因する。オリジナルの上部の出っ張り部分には拡張バスがあり、ここにCD-ROM2などの拡張ユニットが接続できるようになっていた
「PCエンジン mini」には連射機能のないPCエンジン用パッドが付属するが、海外版にはどちらも連射機能付きのターボパッドが付属する。これは発売当初に本体に付属していたコントローラーをそのまま再現したからで、海外版のPCエンジンはどちらも国内から2年遅れの1989年にリリースされているため、ターボパッドが標準となっていたのだ

様々なバリエーションのPCエンジンタイトルを網羅、厳選した58本が1台に凝縮

 「PCエンジン mini」の最大の特徴はCD-ROM2用タイトルなど、"全バージョン"のPCエンジン向けタイトルを網羅した中で厳選されたタイトルが収録されていることと、海外向けタイトルも1台の中に同時に収録しているところだ。

 全バージョン、という表現がわかりにくいので補足しておくと、PCエンジンは本体の種類が非常に多かったのだ。最初にリリースした「PCエンジン(以下、PCエンジンを省略)」以降も、拡張用バスを省略した廉価版「シャトル」、映像出力を変更した「コアグラフィックス」とそのモデルチェンジ版「コアグラフィックスII」、グラフィックスを強化した上位モデル「スーパーグラフィックス」、携帯用の「GT」、携帯用モデルに拡張バスを備えた「LT」と実に多くの本体をリリースしている。これらは全てHuカードと呼ばれるカード形状のソフトが利用可能だが、上位モデルの「スーパーグラフィックス」のみ専用タイトルが数本リリースされている。

 そしてPCエンジンのもう1つの特徴が、発売から1年後の1988年にCD-ROMをメディアとして使う「CD-ROM2」を周辺機器として発売したことだ。また、その3年後にはバッファメモリの容量を増加させることでCD-ROMの読み込みの多さを軽減した「Super CD-ROM2」をリリース。後年はSuper CD-ROM2とPCエンジンが最初から一緒になった一体型本体として「Duo」や「Duo-R」、「Duo-RX」と廉価版を含めて3モデルをリリースしている。CD-ROM2タイトルについてはCD-ROM2用、Super CD-ROM2用タイトルのほか、Huカード部分にさらに大容量のバッファメモリを搭載した「アーケードカード」を挿す事でプレイできるアーケードカード専用タイトルもリリースされた。

筆者所有のPCエンジン Duoがこちら。Super CD-ROM2と本体が最初から1つになった一体型モデルで定価は59,800円とかなり高額だった。

 今回のPCエンジン miniではこうしたハードの垣根を越えて、Huカードだけでなく、CD-ROM2やSuper CD-ROM2、さらにはスーパーグラフィックス専用タイトルやアーケードカード専用タイトルまで全てのタイトルを網羅した中から厳選された58本が収録されている点が驚きなのだ。

 また、言語設定を変更しなくても手軽に北米版PCエンジン「TurboGrafx-16」収録タイトルが遊べるのもユニークなところだ。北米版のみ収録のタイトルもあるが、中には日本語版と北米版の両方が収録されているタイトルもあり、このようなタイトルでは言語の違いなども楽しめるようになっている。

開封の儀。同梱品は最小構成で、ACアダプタは別途必要

 では早速「PCエンジン mini」を開封してみよう。同梱品としては、「PCエンジン mini」本体のほか、コントローラー、紙のマニュアル、給電用のmicroUSBケーブル、映像出力用のHDMIケーブルとなっており、海外版も同じ構成だ。PCエンジン自体がコンパクトな本体だった事もあり、ミニチュア感は感じにくいが、コントローラーやHuカードなどと並べてみると、確かにサイズが小さくなっている事が実感できる。

 なお、付属するのはmicroUSBケーブルのみでACアダプタは付属しないため、別途用意する必要がある。

PCエンジン miniの外箱。発売当時と同じデザインのパッケージ(※画像のモザイクは製品版にはない管理用ラベル)
背面には収録タイトルがずらっと並ぶ
PC Engine Core Grafx miniの外箱。日本語版のパッケージがベースなのか、欧州向けのはずが日本語が目立つ
背面には収録タイトルが並ぶ。前面と比べると日本語表記はなく、欧州向けっぽいデザインだ
TurboGrafx-16 miniの外箱。こちらは北米版のパッケージがベースのため、日本語表記は見当たらない
背面には収録タイトルが並ぶが、こちらはTurboGrafx-16の収録タイトルが上に並ぶ作りになっている
本体以外の同梱品はUSB接続のコントローラーとHDMIケーブル、microUSBケーブル、取扱説明書とシンプル
マニュアルのサイズはそれぞれのモデルごとに異なっている

 「PCエンジン mini」と「PC Engine Core Grafx mini」はカラーリングや外装デザインの違いはあるが、本体サイズは基本的に同じだ。どちらもオリジナルでは背面に拡張バスを備えていたが、ミニモデルでは拡張バスの代わりに電源供給のmicroUSB端子とHDMI映像出力を備える。

PCエンジン mini本体と付属のピーシーエンジン専用パッド
PC Engine Core Grafx mini本体は外装のデザインが異なるが、サイズはPCエンジン miniとほぼ同じ。付属コントローラーは連射機能付きのターボパッドだ
オリジナルでは背面にCD-ROM2などを接続できる拡張バスを備えていたが、代わりにmicroUSBの電源入力端子とHDMI出力を備える

 外観で最も衝撃だったのはやはり「TurboGrafx-16 mini」だ。そもそもオリジナルの「TurboGrafx-16」の現物を見たことがなかったので、今回初めてミニモデルで対面する事になったが、とにかくデカい。ミニモデルでこのサイズ感だと実物はどのくらいかと興味深い。機会があったら見てみたいところだ。

 背面の部分が出っ張っているのも「TurboGrafx-16」の特徴で、ここに拡張バスを備えるが、「TurboGrafx-16 mini」では出っ張りの裏側に給電用のmicroUSB端子を備える。この内部のmicroUSBにケーブルを挿そうとすると、出っ張りの部分に手が当たってしまうため、若干ケーブルが差しにくい点はちょっと残念なポイントだ。

TurboGrafx-16 miniは北米向けのTurboGrafx-16がベースのため、miniと言いつつかなりデカい。コントローラーは連射機能付きのターボパッドが付属する
TurboGrafx-16 miniもmicroUSB端子は背面部に備えるが、本来拡張バスを備える背面の出っ張りの中にあるため、ケーブルが挿しにくくて苦労した

 付属のコントローラーは3モデルともサイズは同一で、これはオリジナルのターボパッドやピーシーエンジン専用パッドとほぼ同サイズだと思われる。接続はいずれもUSBで本体と接続できる。

筆者手持ちのPCエンジン Duo付属のターボパッドと今回のPCエンジン mini用のピーシーエンジン専用パッドとを比較してみた。今回付属のパッドの方が高さが若干大きいような印象だ
厚みや幅はほとんど変わらない

 そして実は今回のミニモデルには1点、オリジナルからの重要な改良点がある。それは本体にコントローラーを2台接続できるようになっている点だ。オリジナルのPCエンジンではどのモデルもコントローラー用端子は1基のみで、2人以上のマルチプレイを行なうためには、別売の「ピーシーエンジン専用マルチタップ」が必須だったが、「PCエンジン mini」ではUSB入力を2基備えるので、2つのコントローラーを接続する事で、マルチタップがなくても2人までなら同時プレイが行なえるのだ。

本体前面のコントローラー接続部にはUSBが2基あるのが新しい。これで2人プレイ対応タイトルであればマルチタップがなくてもプレイできる。従来のPCエンジンはどのモデルもコントローラー入力端子は1つだけだった
オリジナルの「ピーシーエンジン専用マルチタップ」。従来はこれがないと2人対戦もプレイできなかった
PCエンジン miniでもオプションでUSB接続のマルチタップが用意されており、これを使う事で最大5人までの対戦や強力プレイなど、マルチプレイが可能になる。特に5人対戦のボンバーマンはかなり白熱するので、リアルにコントローラーとPCエンジン miniを持ち寄って是非遊んでみてほしい。なお、コントローラーが足らない場合は連射機能が付いた「ターボパッド for PCエンジン mini」を用意しており、別売で購入できる

豊富な画面カスタマイズ、スクリーン設定ではGTモードも再現可能!

 電源スイッチはオリジナルと同じで、Huカードスロットの横にスイッチがある。本来はHuカードが正常に奥までしっかりささっていないと電源が入らないように、電源投入時はスイッチがHuカードスロット側に出っ張るようになっていたが、その動作も再現されている。

PCエンジン自体がコンパクトだったため、あまり小さく見えないPCエンジン miniだが、手持ちのHuカードを実際に並べてみると確かにかなり小さくなっているのがわかる
PCエンジンDuoに実際のHuカードを挿入して電源スイッチを入れてみたところ。スイッチの出っ張りがHuカードをロックするような作りになっている

 初回起動時のみ、言語メニューが表示され、言語を選択すると、軽快なテーマ曲とともにメインメニューが立ち上がる。「PCエンジン mini」と「PC Engine Core Grafx mini」ではPCエンジンのタイトル一覧が表示され、「TurboGrafx-16 mini」ではTurboGrafx-16のタイトル一覧が表示される。これらは画面下部の切り替えボタンで簡単に切り替えが可能だ。収録タイトル以外のメニューなどの動作は全モデル共通となっている。

 メニューの操作はシンプルで、左右操作でタイトルを選択し、RUNボタン、またはIボタンでゲームを起動。画面下部には、設定ボタン、ソフトの並び順の変更ボタン、前述のPCエンジンとTurboGrafx-16の切り替えボタンが並ぶ。

初回起動時には言語設定が立ち上がる。もちろん後から設定メニューで変更することも可能だ
PCエンジン mini、PC Engine Core Grafx miniの場合、PCエンジンのメニューが立ち上がる。メニューではタイトルを選ぶと、下部にメディア(HuCARD、CD-ROM2など)、タイトル名が表示される。ちなみに直下のアイコンはコントローラーのマークが最大プレイ可能人数、横の小さいPCエンジン型のアイコンは中断セーブスロットの利用状況を示している。PCエンジンのアイコンにバックアップ用のお周辺機器「天の声2」を模したアイコンが被っている場合、そのスロットは使用中ということだ

 設定メニューでは、オンラインマニュアルが参照できるほか、言語設定の変更、ゲーム画面のスクリーン設定や壁紙設定、メニュー画面のメインフレーム変更、スタッフクレジットや本体の初期化がある。

 スクリーン設定では、画面比率4:3、画面比率4:3保持のまま拡大、ドットバイドット、フルスクリーン、PCエンジンGTモードが選択できるほか、RUNボタンを押すことで、ブラウン管の走査線を擬似的に表示させるCRTフィルターも備える。

設定メニュー。ここから各種カスタマイズが行なえる
スクリーン設定。画面比率やCRTフィルターの有無が設定できる
CRTフィルターをONにすると擬似的にブラウン管の走査線が表示され、画面全体が薄暗く、ブラウン管の雰囲気が出る
画面表示だけをPCエンジンGT風にする「GTモード」。ユニークなのは拡張バスを持たないため、CD-ROM2などが接続できなかったPCエンジンGT上でCD-ROM2のソフトがプレイできる事だ。一方で解像度がかなり低く、視認性もあまりよくないため、雰囲気を楽しむためのモードと考えるのがいいだろう

 壁紙はゲーム中のスクリーン余白の部分の壁紙で、4種類から選択できるほか、長時間放置しても液晶や有機ELディスプレイが焼き付きなどを起こさないようにする画面焼け軽減機能も備える。

 メニュー画面のメインフレームは通常のPCエンジン、またはコアグラフィックスの2種類から選択可能なほか、背景にPCエンジンに手足を生やしたマスコットのようなキャラクターがうろうろと歩き回るアニメーションのオン/オフが選択可能だ。

 なお、画面下部の「TurboGrafx-16」アイコンをクリックする事で、画面全体が1度電源がオフになるような演出が入り、その後TurboGrafx-16のメニューが開く。各種操作はPCエンジンと同じだが、こちらで選択できるタイトルは全て英語版となっている。言語設定を変更することなく簡単に切り替えて英語版が遊べるのはうれしいところ。

壁紙はゲーム中の画面両端部に貼られるもので、カラフルな物や黒一色など好みで選べる。焼き付き軽減機能も備えるので、長時間プレイして壁紙が焼き付いてしまう可能性がある場合は有効にしておくのがいいだろう
メインフレームはメニュー画面のデザインが変更できる。通常のPCエンジンかコアグラフィックスの2種類から選択できるほか、メニュー画面の裏側をちょこまかと動き回るキャラクターをオン/オフする設定も行なえる
コアグラフィクスのメインフレームを選択するとメニューは黒基調の画面に切り替わる
TurboGrafx-16のメニュー画面。こちらではメインフレームは選択できず、TurboGrafx-16のフレームのみとなる。

 各タイトルを起動する際には、Huカードをスロットに挿入する演出が入り、その後、タイトルが起動するようになっている。また、CD-ROM2などの場合はそこからCDの回転音が鳴るようになっているなど、当時の雰囲気を醸し出す演出が多く用意されており、当時実機でプレイしていた人には懐かしく、未体験の人にとっても、こういうハードがあったのか、という新たな発見になると思う。

 ゲーム中は、セレクトボタンとRUNボタンの同時押しで、「PCエンジン mini」の中断セーブ機能が開く。このコマンドはオリジナルのPCエンジンでは、リセットの機能として馴染みのあるコマンドなので、今でも実機でプレイしている人は、あまりこの操作に慣れすぎないように注意が必要だ。中断セーブでは全てのタイトルごとに4つのスロットが用意されているので、RPGだけでなくアクションゲームやシューティングゲームなどでも活用する事で高難易度のゲームであっても進めやすくなっている。

 なお、弊誌では収録58タイトルのレビューを順次掲載していく事になっているので、こちらを参考に「PCエンジン mini」に収録された日本語版、英語版入り混じっての全58タイトルを隅々まで堪能してみてほしい。

タイトルを選ぶと、メニュー画面が消えてPCエンジンのフレームにHuカードが挿入される演出が入る
TurboGrafx-16でも同様の演出が入る
ゲーム中にセレクトとRUNボタンを同時押しする事で、中断セーブのメニューが開く。全てのタイトルに4スロットずつ用意されており、いつでもどこでもセーブできるのはかなり便利。ここからゲーム自体をリセットしたり、メニュー画面に戻ったりすることもできる