【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「ボンバーマン'94」

5人対戦のバトルモードが超楽しい! 1人で遊べるノーマルモードも魅力

1993年12月10日 発売

 いまさら「ボンバーマン」の詳細な説明は不要だろう。時限式のボムを設置し、その爆風で敵や壁を破壊しながらステージを進めていくアクションゲームだ。壁の中にはアイテムが隠されており、それにより1度に設置できるボムの数を増やしたり、爆風の炎を強化してクリアを目指す。

 ファミコン版が1985年にリリースされ、その後、ファミコンで続編「ボンバーキング」がリリースされたが、以降は特にシリーズ展開などは行なわれず、1990年のPCエンジン版「ボンバーマン」の登場となる。そして、ここから「ボンバーマン」シリーズの新たな時代が幕を開ける事になる。

 何が衝撃だったか。そう、PCエンジン版では、新たにシリーズ初となる5人同時対戦を実現したのだ。固定の1画面内に5人が登場して戦うスタイルは、その後のシリーズでも定着した「ボンバーマン」における革命であり、ファミコンではなしえなかった快挙だ。その2年後の1992年には「ボンバーマン'93」が発売、1993年発売の本作はPCエンジンでは3作目となる。

 その後はスーパーファミコンなどでも5人同時対戦が利用可能になっていくが、その礎になったのがPCエンジン版であることは間違いないだろう。

1人用プレイとしてストーリーが楽しめるノーマルモードを用意
最大5人で遊べるマルチプレイのバトルモードは当時のPCエンジン版最大の特徴だった

謎の新お助けキャラ「ルーイ」参戦!

 本作は1人プレイ用のノーマルゲームと、1~5人での対戦が行なえるバトルゲームの2種類が選択できる。ノーマルゲームでは、自身を強化しながらステージ内の敵を倒しながら「精霊の絵」のかけらを集めていくというストーリーが楽しめる。エリアごとに精霊の絵を集め、全て集め終わるとボスとの戦闘も用意されており、フィールド内でボムを使ってボスを撃破すればエリアクリアとなり、次のエリアへと進む。

 各ステージはエリアごとに特徴があり、例えば木々が生い茂るジャングルのような場所だったり、火山のような噴火する山が設置されているような場所があり、バラエティ豊かなので、単調にならずに進められる。ステージ内の仕掛けについても、トロッコでブロックを破壊しながら突き進んだり、など派手ながらもゲームバランスを崩さないユニークな仕掛けが多い。

エリアごとに特色のあるステージが用意されている
エリアの最後にはボスも登場。固定フィールド内でボスを倒せばエリアクリアとなる
火山をモチーフにしたエリアにはトロッコが設置されており、これに乗ると線路上の壁を全て破壊することができる

 本作最大の特徴は新キャラクター「ルーイ」の存在だろう。1人プレイのノーマルゲーム、マルチプレイのバトルゲームのどちらでも登場するお助けキャラだ。見た目は恐竜のような姿形で、フィールド上にランダムで出現するタマゴに接触することで生まれる。これにボンバーマンが乗る事で、ルーイの種類に応じて特殊な操作が行なえるほか、身代わりの役割も果たすため、乗っている間は1度だけ爆風を受けたり、敵と接触しても、死なずに済むのだ。

 PCエンジンでの3作目ということもあり、操作感やシステム全体が成熟した作りになっており、遊んでいてストレスを感じさせない。バトルモードは基本複数のプレーヤーで遊ぶものなので、1人で遊ぶときにこうした軽めのストーリーが楽しめるモードがあるのは息抜きにもちょうどいいだろう。

いつものように壁を破壊すると、タマゴが出現する場合がある。何度かタマゴが出てきたが、今のところタマゴから敵が出るなどのハズレを引いた事はないので、多分ルーイ確定なのだろう
タマゴに接触すると搭乗するアニメーションとともに、ルーイに乗り込める
バトルモードでもルーイは利用できる

マルチプレイの「バトルゲーム」は1人でもプレイ可能

 バトルゲーム選択時は2~5人のプレーヤーでバトルが行なえる。フィールドは1画面固定で、この画面の中で最後まで生き残ったプレーヤーが勝利となる。ステージは10くらい用意されており、ステージに応じた仕掛けや、ルールもある。なお、PCエンジン miniの場合、コントローラーを2個接続できるので、2人までならマルチタップなしでもバトルゲームがプレイできる。

 キャラクターのビジュアルは"色"以外にも様々なデザインのボンバーマンが用意され、自由に選べるようになったのは面白いポイントだ。また、このボンバーマンのデザイン選択時にプレーヤーかCOMかを選択できるので、1人でも4人のCPUを相手に5人対戦が遊べるようになっている。バトルゲームのコツや腕を磨きたい人は事前に練習しておけるのでありがたい。

 バトルゲームの設定は、通常のバトルロイヤルの他にタッグマッチも選択できる。人数は最大4人までで1つのチームにできるので、いつも強い人は1人で戦い、残り4人の誰か1人が勝てば勝ち、という変則タッグマッチも楽しめる。また、「勝負数」は試合の総数ではなく勝利条件なので、5回勝負の場合誰か、またはいずれかのチームが5回勝った時点で試合終了となる。

対潜人数を選択。なおCPU相手を足す場合はこの人数を増やす。ボンバーマン上部の「MAN」は人が操作するが、ここを「COM」に変更することでCPU対戦が可能だ
キャラクターの色以外のビジュアルも色々変更できるようになった
タッグ戦は最大2チームでの対戦となる。チームと言ってもボムが無効になるなどのメリットは特になく、シンプルにチーム内の誰か1人が勝てばチームの勝ちになるというものだ

 バトルゲームのルールはシンプルだが、今回は「ルーイ」が加わった事により、更に運の要素が強くなった印象だ。前述の通りルーイに搭乗することで、1度だけダメージを受けても復帰できるからだ。バトルゲームについては、とにかくボムの動きを見落とさないことだ。特にキックで滑りこんでくるボムは判断を誤ると大惨事。とはいうものの、「ボンバーマン」の対戦がうまい人はこうしたキックや連鎖のタイミングが驚くほど的確なので、こればかりはボム設置から爆破までの時間を体で覚えるくらいしか攻略方法はなさそうだ。

 筆者の大学時代、仲間たちと集まって色んな対戦ゲームを遊んできたが、そのうちの1つとして熱くバトルしたPCエンジンの「ボンバーマン」シリーズと、令和のこの日に再会できたのは感慨深い。同じような思い出を持っている人たちは、当時の仲間を集めて遊んだり、家族と遊んだりして盛り上がってほしい。

バトルステージは10ステージほど用意され、ステージによっては全員の強化状態が最大など、特殊なルールが用意されているものもある。筆者は初代ボンバーマンの画面がシンプルで好みだ
チームが指定回数を勝利することで決着がつき、簡単なデモ画像が表示される
キャラクターがやられると、所持していたアイテムが画面いっぱいにばら撒かれる
ルーイの出目が勝敗に大きく左右しそうだ