【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「ニュートピア」/「NEUTOPIA」

剣と魔法を駆使して悪魔にさらわれた姫を救い出すアクションRPG

1989年11月17日 発売

 1989年にハドソンから発売された「ニュートピア」(海外タイトル「NEUTOPIA」)は、主人公の「フレイ」を操作して敵を倒していくアクションRPGである。アクションRPGは、日本では昔から人気のジャンルであり、PCエンジン miniにも収録されている「イース」をはじめ、「ゼルダの伝説」、「ハイドライド」などの有名タイトルがすぐに思い浮かぶ。「ニュートピア」は知名度の点ではそうした有名タイトルにはかなわないだろうが、有名タイトルをよく研究して作られており、遊びやすい良作に仕上がっている。なお、1991年に発売された続編の「ニュートピアII」もPCエンジン miniに収録されているが、ストーリーが繋がっているのでまずは「ニュートピア」からプレイすることをおすすめする。

 勇者「フレイ」の目的は、闇の帝王を名乗る悪魔「ラファエル」から世界を平和にもたらす力を持つ8つのメダリオンと「ララン姫」を奪還することだ。フレイの冒険は地上から始まるが、メダリオンを2つ取り戻すごとに、「地上」→「地下」→「海」→「空」の順で、新しい世界への扉が開く。メダリオンは迷宮に1つずつあり、迷宮のボスを倒せば手に入る。画面の端まで移動すると、次の画面に切り替わるタイプで、このあたりも「ゼルダの伝説」でお馴染みであろう。操作方法もアクションRPGでよくあるタイプで、十字キーでフレイを上下左右に動かし、Iボタンで剣を振る。IIボタンには爆弾や魔法の杖、薬など、サブ武器やアイテムを割り当てて使うことができる。敵との接触の当たり判定がやや大きいように感じられるが、慣れれば問題はない。

最初は剣しか持っていないので、剣で戦う。画面内の敵をすべて倒すと地下への階段が現われることもある

 洞窟などにいる人から情報を集め、迷宮攻略に必要なアイテムを入手して、迷宮を攻略。ボスを倒してメダリオンを手に入れるというのが、基本的な攻略の流れだ。最初にコンパスが与えられるが、このコンパスの赤い針が指す方向に迷宮がある。また、コンパスは、迷宮内ではメダリオンがある方向を指してくれる。「ゼルダの伝説」と同じように、敵を倒しても経験値が入るわけではないので、無理に雑魚敵を倒していく必要はない。地上のフィールドにもさまざまな仕掛けがあり、その画面内の敵を全滅させたり、岩を押して動かしたりすると、地下への階段が現われることがある。

 迷宮内には、鍵やクリスタル、武器、防具などが入った宝箱が隠されている。ボスがいる部屋へ続く扉を開けるには鍵が必要になる。また、クリスタルを入手すると、迷宮内の部屋の配置がわかる(隠し通路などは表示されない)。迷宮の謎解きでよく使われるのが爆弾だ。部屋の壁に爆弾を使うと、壁に穴が開いて隠し部屋に行けるようになることがある。RUNボタンを押してメニューを開けば、迷宮の地図(行った部屋が表示される)が表示されるので、隠し部屋の当たりをつけられる。メニュー画面では、IIボタンで使うサブ武器やアイテムを選択することもできる。

 1つめの迷宮をクリアして、2つめの迷宮に入る前に魔法の杖が手に入るのだが、この魔法の杖がやたら便利だ。魔法の杖を使えば、火の玉を出して攻撃できるのだが、いくらでも火の玉を撃てるので、連射していればほとんどの敵を倒せる。魔法の杖は、フレイの残りライフによって生じる火の玉や炎の挙動が変わるようになっており(つまりライフが大きいほど強い)、後半、フレイのライフが増えると、火の玉ではなく炎が前方に飛び、しばらくその場で燃え続けるようになる。

迷宮内では爆弾を使って壁を壊し、隠し部屋に行く必要がある。爆弾は最大8個まで持てるが、冒険を進めていくと持てる数を増やしてくれる人が現われる
迷宮内の鍵が必要な扉の向こうにはボスがいる。ボスを倒すと、メダリオンが手に入り、その迷宮から脱出する。集めたメダリオンはスタート地点の神殿のくぼみにはまっていく
火の玉や炎を無限に出せる魔法の杖が便利だ。4つの世界には2つずつ迷宮があり、メダリオンを2つ集めることで、次の世界に行けるようになる
メダリオンが2つ集まるごとに、新たな世界に行ける階段が現われる。2つめの世界は「地下」の世界だ

 また、迷宮内で剣や盾、鎧を見つけることがある。より強力な剣を装備すると、剣での攻撃力が向上し、盾は敵が撃つ矢や火の玉などの攻撃を受け止めることができる。より防御力の高い鎧を装備すると、敵から受けるダメージが減少する。新しい剣や盾を手に入れると、フレイの見た目もそれに応じて変わっていくのもなかなか楽しい。

 「ニュートピア」は、先行したアクションRPGをよく研究して作られており、初心者にもプレイしやすくできている。例えば迷宮内だけでなくフィールド上においても、爆弾で壁を壊すことで、壁に穴が開いて隠された部屋に入ることができるのだが、壊せる壁の場所にはいかにも壊せそうな壁画が描かれているので試行錯誤して爆弾を無駄にする必要がない。「壁画が描かれている場所を壊せばいい」というのは、ゲーム中の登場人物からもヒントがもらえるという親切な設計だ。また、冒険する世界が4つに分かれているため、一つ一つのフィールドがそこまで広くはないのも、広大な1枚マップが苦手な筆者向きであった。

 「ゼルダの伝説」や「イース」が好きだった人はもちろん、こういったゲームをやってみたいと思っていた人にもおすすめのゲームだ。なお、オリジナルではセーブが特定の場所しかできず、しかもパスワード制(オプションのメモリーバックアップユニットにも対応)という当時としては標準的な仕様であったが、PCエンジン miniならいつでもどこでも素早くセーブできるクイックセーブ機能があるので、アクションが苦手な人でもこまめにセーブしていけば楽にクリアできるだろう。

迷宮内で、剣や盾、鎧などを見つけることがある。新たな武器や防具を手に入れると、フレイの見た目が変わる。メニュー画面では、迷宮の地図やコンパス、持っているアイテムの確認や選択が可能だ。世界が変わると出てくる敵もがらりと変わる