【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「スーパーダライアス」

大人気アーケードゲームが自宅でも遊べる夢をかなえてくれた、歴史に残る名作シューティング

1990年3月16日発売

 「スーパーダライアス」は、1986年にタイトーが発表したアーケード用横スクロールシューティングゲームを移植した作品。アーケード版は、モニターを横に3台並べて1つの大きな画面としてプレイする、前代未聞の専用筐体を使用したことでも有名になった。PCエンジン版は、当時としては大容量のCD-ROMを使用し、なおかつ元の音源をそのまま録音できる特性も生かして、家庭用テレビでもアーケード版に近い内容で遊べるというプレーヤーにとっては夢のような環境を実現。世界初のゲーム機用CD-ROMドライブの優れた性能を世に知らしめたことでも、ゲーム史上に残る作品だ。

 操作方法は、十字キーで自機を8方向に動かし、Iボタンを押すとボムを、IIボタンを押すとミサイルを発射する。ボムとミサイル、および敵の攻撃から身を守るアーム(バリア)は、特定の敵を倒すと出現するアイテムを取ることでどんどんパワーアップする。各種アイテムを途中でミスをせずに合計8個取ると、ボムはシングルからツインボムに、さらに8個取るとマルチボムへと装備が強化される。同様に、ミサイルもレーザー、ウェーブへとパワーアップし、アームもスーパー、ハイパーの順に強化される。

赤色の敵を破壊後に出現するアイテムを取るとミサイル、緑はボム、青はアームがパワーアップされる

 本作ならではの面白い点を3つに絞って挙げると、まずはステージおよび敵キャラの豊富なバリエーションが挙げられる。宇宙洞窟、海底、山岳地帯などを舞台に、空中および地上、天井から多数の敵キャラが出現し、多彩な攻撃を仕掛けてくる。全7ステージをクリアするとエンディングを迎えてゲーム終了となるが、1~6ステージをクリア後には上下2つのルート(ゾーン)に分岐するようになっているので、一度全面クリアをした後でも、ルートを変えて何度も繰り返し遊べるのも本作ならではの楽しみだ。

ステージおよび敵のバリエーションが豊富でプレーヤーを飽きさせない。ステージクリア後は、上下2つのルートに分岐し、最終ステージごとに異なるエンディングが用意されいているのも「ダライアス」ならではの面白さだ

 2点目は、自機をパワーアップさせてミサイルやボムを連射したり、敵を倒したときの爽快感の高さだ。レーザーは敵を貫通し、ウェーブは敵も外壁も貫通する特徴があるので、これを利用して敵編隊を一掃したり、巨大戦艦(ボス)が装備する砲台やパーツ類を根こそぎ破壊するのがとにかく楽しい。地上または天井に張り付いた敵に向かって、タイミングよくボムを投下して倒すのもまた面白い。ボムは発射時にIボタンと十字キーの右を同時に押すと飛距離が延び、逆に左を同時に押すと短くなるので、これを利用して敵を狙い撃ちするるテクニックを覚えると楽しさがさらに増す。

ボムは十字キーの左右で軌道を微調整すると、壁や天井の砲台を倒しやすくなる。壁ごしに隠れた敵をも一掃する、貫通力を備えた強力なウェーブは、ただ連射しているだけでもとにかく楽しい

 そして3つ目は、各ステージの最後に出現する、シーラカンス、ヤドカリ、シュモクザメ、クジラなど、水棲生物をモチーフにした巨大戦艦(ボス)との迫力満点の戦いが楽しめるところにある。本作に登場する巨大戦艦は、全26体とこちらもバリエーションが豊富で、なおかつアーケード版より種類が多いのもPCエンジン版ならではの特長だ。アーケード版にも登場した巨大戦艦の一部は、攻撃パターンが変更されているので物足りないプレーヤーもいるかもしれないが、ゲームの面白さ自体は決して損なわれていない。

 プレーヤーのテンションを大いに高めてくれる名曲ぞろいのサウンドも、「スーパーダライアス」ならではの大きな魅力だ。PCエンジン版では、アーケード版の音色をそのまま再現し、なおかつドルビーサラウンドにも対応していたが、今回のPCエンジン mini版においても、当時のサウンド環境を忠実に再現しているのがたまらなくうれしい。PCエンジンを代表する傑作のひとつを、この機会に存分に楽しんでおきたい。

各ステージの最後に待ち構える、巨大戦艦の迫力と多彩な攻撃のバリエーションも必見。アーケード版には存在しなかった巨大戦艦と戦えるのも、PCエンジン版ならではの大きな魅力だ