インタビュー
「PCエンジン mini」開発ディレクター吉室氏インタビュー
なぜ、令和の時代にPCエンジンをよみがえらせたのか? あっと驚く裏技もご紹介!
2020年3月19日 12:00
- 2020年3月19日発売
- 価格:10,500円(税別)
懐かしのゲーム機、PCエンジン用ソフトの中から選りすぐりの58タイトルを収録したPCエンジン miniが、本日いよいよ発売となった。
古いものでは、発売からすでに30年以上が経過したハード、およびソフトを、なぜこのタイミングで復活させようと思ったのか? そして開発スタッフは、本機にどのような思いを込めたうえで開発をしたのだろうか? PCエンジン miniの開発ディレクターを務めた、コナミデジタルエンタテインメントの吉室 純氏に改めてお話を伺った。
PCのエンジン開発経験者のアドバイスを受け、1年以上の時間を掛けて完成
――本日はよろしくお願いいたします。まずはPCエンジン miniを作ろうと思ったきっかけを教えていただけますでしょうか?
吉室氏:もともと弊社内にはPCエンジン好きがたくさんおりましたし、権利も弊社が持っていたというのがまず第一点ですね。PCエンジン用ソフトは、かつてはプレイステーションのゲームアーカイブスですとか、もっと昔にはドリームキャストのドリームライブラリ(※1)などでも配信されていましたが、現行機種では遊ぶ機会がなくなっていました。ですが、ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータをきっかけにして、ソフトだけではなくハードウェアもパッドも楽しめるという、レトロゲームを楽しむうえで最適な文化のひとつとしてミニ系ハードがいろいろと出てきました。そこで、我々のほうでもミニ系ハードの勉強をさせていただいたうえで、2018年の半ばを過ぎた辺りから開発を始めたという経緯があります。
※1……ドリームライブラリ:かつてセガが運営していた、メガドライブとPCエンジン用ソフトの有料ダウンロード配信サービス。2003年1月でサービスを終了した。
――吉室さんご自身も、PCエンジンが大好きだとのことですが、本当ですか?
吉室氏:ええ。PCエンジンは昔から大好きで、それがきっかけでコナミに入ったようなところが実はありまして(笑)。最初に買ったゲーム機はツインファミコンだったのですが、PCエンジンは「THE 功夫」みたいにリアルなキャラクターが出てくるゲームを出せたり、「R-TYPE I」、「R-TYPE II」のようにアーケードゲームを再現度が高い状態で移植をしていて、ファミコンに比べて色数もスプライトも多く、サウンドも良かったので衝撃を受けたんです。PCエンジンの本体は1988年の年明け頃に買いまして、Huカードで出た初期のソフトはほとんど全部持っていました。
ファミコン版の「桃太郎伝説」が、私が初めてクリアできたRPGということもあって大好きになりましたので、その続編である「桃太郎伝説II」ですとか、「桃太郎伝説ターボ」や「桃太郎活劇」など、PCエンジンの初期の時代は「桃太郎伝説」シリーズをよく遊んでいましたね。それから、1992年に「天外魔境II」が発売されたタイミングでPCエンジンDUOも買いました。
――さきほど、勉強をしたというお話がありましたが、ミニ系の先駆けとなったニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータなど、各ミニ系ハードをどのようにご覧になっていましたか?
吉室氏:他社さんのハードについては競争相手と言うよりも、素晴らしいハードだと、まず思って見ていました。我々の世代が少年時代に夢中になって遊んでいたゲームの楽しさを、皆さんと一緒に再び思い起こすことができる、良いきっかけ作りができたのではないかと思っております。どのハードを拝見しても、やはり昔のままの状態をなるべく再現しようという方向性で作られていますし、やっぱり他社の皆さんもゲームが大好きなんだなあと率直に思いました。それから、弊社で言えば「ボンバーマン」や「桃鉄」シリーズなど、現在もずっと続いているIPについては、その原点となったタイトルが気軽に遊べるきっかけとして、ミニシリーズは最適なのではないかと他のミニシリーズを見て思いましたね。
――昨年のE3でPCエンジン mini発売の第一報をリリースしましたが、その当時のユーザー、あるいはゲーム業界での反応や評判はいかがでしたか?
吉室氏:元々PCエンジンは、国内だけでもかなり売れていたハードでしたので、お客様からは「PCエンジンもminiで遊びたかった」とか、「とうとうきたか、待ってました!」とか、総じてポジティブなご評価をいただけたと思いますし、おかげ様でAmazonさんへの予約もたくさんいただきました。
昨年のE3では、SUPER CD-ROM2(ロムロム)版の「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」の収録を発表させていただき、スーパーグラフィックス用ソフトも遊べるようにもしましたので、PCエンジンの熱心なファンの方には、初期のHuカードだけではなくて、すべての機種をカバーしていることがわかっていただけたと思います。ちなみに、アーケードカード(※2)対応ソフトは「銀河府警伝説サファイア」1本だけなのですが、これだけのためにアーケードカード専用のエミュレーターを作りました。(笑)
※2……アーケードカード:CD-ROM2用ソフトのデータを、PCエンジン本体内に転送できる容量を増やすための拡張機器のこと。Huカード用スロットに接続して使用する。
――PCエンジン miniの開発プロジェクトメンバーは何人いたのでしょうか?
吉室氏:制作の担当だけですと、弊社内ではほんの数名ですね。ゲームのエミュレーションや制作のほとんどはエムツーさんにお願いをしまして、我々のほうでは「メニュー画面はこうしましょう」とか、「パッドは2つ使えるようにしましょう」といったディレクションを主に行ない、ほかにもライセンス関連の業務などをやりました。ハード設計・制作はホリさん、販売はAmazonさんですので、実際に関わった人数はたくさんおります。
PCエンジン miniは、当時のソフトをそのまま再現するという基本コンセプトがありましたので、各タイトルを開発した皆さんのお話を伺ったり、調査もいろいろやりました。例えば、「天外魔境II」は久石譲さんに、「スーパー桃太郎電鉄II」では、さくまあきらさんや関口和之さんにもご相談をさせていただきました。パッケージの表紙も、どうやって再現すればいいのかを当時のスタッフの方々にいろいろとご相談をしましたね。何かを変えたいのではなくて、当時の思い出をきちんと再現するためにはどこを守るべきか、変えないためにはどうするべきかを、社内のメンバーで詰めていきました。
――プロジェクトのメンバーは、実際にPCエンジン用ソフトを開発した経験者を中心に集めたのでしょうか?
吉室氏:「ときめきメモリアル」や、「悪魔城ドラキュラX 血の輪廻」などの開発経験者は弊社内にまだおりますが、今回のところはプロジェクト内に入るのではなくて、もし何かわからないことがあった場合は、その都度アドバイスを受ける形で開発を進めました。
――PCエンジンのソフトもハードも中心になって開発をしていた、ハドソンの関係者にもヒアリングなどを行なったのでしょうか?
吉室氏:はい。当時ハドソンに所属されていた方々には、各タイトルを誰が、どういう意図で作ったのかをいろいろお聞きしまして、PCエンジン miniに収録すべきかどうかを検討していきました。アドバイザーとして岩崎さん(※3)にもご参加をいただきまして、どこを直すべきなのかなどのアドバイスを受けました。岩崎さんは実際にソフトを作っていた方ですので、例えばメモリ管理とか描画領域とか、どんな意図があったうえで作ったのかなど、基本的な考え方をお聞きしたうえで、当時できなかったことをどう改善すべきか決めていきました。
実は「イースI・II」では、表示領域をちょっと動かしたりですとか、当時の開発者がやりたくてもできなかったことを、我々のほうでできる範囲で修正しています。
※3……岩崎さん:元ハドソンで、「イースI・II」、「天外魔境II」をはじめ、PCエンジン用ソフトの開発を多数手掛けた岩崎啓眞氏のこと。
――次に、収録タイトルのラインアップについてお伺いします。今回収録した58タイトルは、どのようにして決めたのでしょうか?
吉室氏:非売品も含めた全タイトルを、権利関係がどうなっているのかまですべてチェックをして、お客様アンケートのご意見も参考にしながら決めました。我々がぜひ皆さんにお届けしたいものや、PCエンジン用ソフトのなかでも特にエポックメイキングなものを、ジャンルがなるべく偏らないように選んでいます。
PCエンジンではシューティングゲームがたくさん発売されましたので、シューティングゲームに思い入れが強い方が多いのではないかと思いますが、ほかのアクションゲームやRPGなどにもたくさん良いタイトルが出ているんですよ。今回のところはスポーツゲームはあまり入っていないのですが、PCエンジンにしか出ていない珍しいものということで、「あっぱれ!ゲートボール」を選びました。
――PCエンジン miniの開発にあたり、特に苦労したのはどんなところでしたか?
吉室氏:PCエンジンは、ラン(RUN)ボタンとセレクトボタンを同時に押すとリセットが掛かる仕組みでしたが、PCエンジン miniではゲームを起動中にこの操作をすると、メニュー画面が表示されるようにしました。ですから、収録した全タイトルのプログラムを、この仕様を追加するために作り変える必要が生じました。しかも、リセットの処理は全タイトル共通のフォーマットではなかったので、1本ずつプログラムを解析して作り直しました。
それから、マルチタップを使用するタイトルについても共通のフォーマットはなかったので、これも全部1本ずつ調べて、パッドを2個同時に接続して遊べるようPCエンジン mini向けに作り直しました(※4)。「ただエミュレーションすればいいだけでは?」と思われるかもしれませんが、実際には元のソースを直さずにそのまま使えたタイトルは1本もないんです。
※4……作り直しました:元祖PCエンジンにはパッドの接続端子が1個しかなかったので、専用のマルチタップがないと2人同時プレイができない仕様だった。
――操作がシンプルになるよう、メニューボタンやリセットボタンを新たに追加するという手はなかったのでしょうか?
吉室氏:本体にリセットボタンを新しく作ろうと思えば作れたのですが、パッドのケーブルが3メートルもありますので、ただリセットボタンを押すだけのために本体の置き場所まで移動するのはちょっと面倒だろうと。スタッフ内でも、リセットボタンを作ろうかと一時期話題にはなりましたが、「もしそれをやってしまうと、PCエンジンとは言えなくなってしまうのではないか?」という意見が出たのでやめました。ランとセレクトボタンを同時に押すとリセットというのは、PCエンジンの文化でもありますので、もうこの方法でやるしかなかったんですね。
――ハード面でも徹頭徹尾、PCエンジンのオリジナリティにこだわり抜いたわけですね。
吉室氏:パッドもすごくこだわって作りました。最初にホリさんが試作したパッドは、本物のPCエンジン用のパッドに圧力を掛けて、反発力などの数値をグラフ化して、昔の劣化したパッドの状態ををそのまま再現して作りました。で、これって本物とはどのぐらい誤差があるのかをお聞きしたら、「誤差は1パーセント未満です。この精度でできたのは初めてですよ」と。ものすごいこだわりですよね(笑)。
でも、結局は作り変えることにしました。なぜかと言いますと、ボタンや十字キーのゴムがフニャッフニャになってしまった状態ではなくて、手に吸い付くような感触があって、押したときに適度な抵抗が感じられるほうがいいだろうと、我々もホリさんも思ったからなんですね。最終的には、お客様からのご意見も伺ったうえで3、4回ほど調整をやり直しました。パッドの型も、”パッドのホリさん”ならではの凄く強いこだわりがありまして、調整を何度も繰り返して完成させました。
――PCエンジン mini本体の型起こしもホリさんが担当したんですか?
吉室氏:はい。まずはホリさんが3Dプリンターで起こしたものをベースにして、そこからオリジナルの85パーセントのサイズにして、あとは手触り、手乗り感をうまく出せるのかを考えながら作りました。PCエンジンは元々小さいハードでしたので、大きさに関しては早めに決めることができたかと思います。コアグラフィックス miniも同じサイズで作りましたが、元のサイズが大きかったターボグラフィックス16については、mini版のサイズをどうしようかと悩みましたが、すべて同じ縮尺サイズにそろえて作ろうと決めました。
――初期型のPCエンジンだけではなく、コアグラフィックスとターボグラフィックスと合わせて、いっぺんに3種類もminiハードを作ったのはなぜですか?
吉室氏:ターボグラフィックス-16 miniについては、北米では白いPCエンジンの本体が売られていなかったので、北米の皆さん向けに出すのはこれしかなかったからですね。コアグラフィックス miniは、フランスでも日本と同じデザインのコアグラフィックスが売られていましたので、じゃあヨーロッパ向けにはこの型で作りましょうと。つまり、全世界の皆さんの思い入れがあったハードを、パッケージも含めてすべて当時と同じデザインにしてお楽しみいただけるようにしたかったんです。
――先程、コアグラフィックス miniのマニュアルを拝見させていただいたところ日本語がまったく書かれておらず、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語で一冊にまとめて書いてあったのでビックリしました。つまり、企画段階から国内だけでなく、グローバル展開をしていこうという構想があったわけですね?
吉室氏:はい、そうです。弊社では、コンテンツビジネスは積極的にグローバルに行なっていくという基本方針がありますし、海外の皆さんに対しても、かつて遊んだものと同じデザインを再現すれば一番喜んでもらえるだろうということですね。
まさか、まさかのサプライズ! 知っているとおトクな裏技が仕込まれていることが発覚
――では、PCエンジン miniを開発されたお立場から、ユーザーの皆さんにおすすめの遊び方などは何かありますか?
吉室氏:実はですね、今回の収録した"市販の"タイトルは全58タイトルですが。さらにPCエンジン miniだけの為に非売品&特別版のゲームを追加で3つ用意しています。まず1つ目の「ソルジャーブレイド」は、SELECTボタンを押しながらRUNボタンを押して起動すると、プレミアムでなかなか入手できない非売品「スペシャルバージョン」が遊べるようになっています。(※5)
それから2つ目の「グラディウス」では、同じ入力方法でアーケード版画面仕様の「グラディウス」が遊べて、しかもバブルシステムから起動するときのデモ画面も見られるようになります(※6)。さらに3つ目の「ファンタジーゾーン」ではアーケード仕様にドット絵を打ち直し、サウンドもアーケード版に近いものに作り変えたPCエンジン miniだけの特別バージョンが遊べますよ。他では絶対に手に入りません。
※5……「スペシャルバージョン」:かつてハドソンが主催していた、プレーヤー日本一決定戦のイベント、「全国キャラバン」の賞品として作られた非売品ソフト。「2分間モード」と「5分間」モードの2種類がある。
※6……バブルシステム:「グラディウス」「ツインビー」などに使用された、KONAMIのアーケード用システム基板の一種。電源を入れると、セットアップが完了するまでの間にカウントダウンをするデモ画面が表示され、ゲーム中には聴けない曲が流れる。
――そんなネタも仕込んでいたんですか!? これはビックリですね……。ちなみに、「グラディウス」と「ファンタジーゾーン」のアーケード版仕様というのは、アーケード版の移植再現度をさらにアップさせた改良版なのでしょうか?
吉室氏:はい。ゲーム自体は元々優れていましたが、ビジュアルやサウンドを極限までアーケード版に似せて、PCエンジン版の限界に挑戦した意欲作になっています。是非購入された方には体験して欲しいですね。
――もし差し支えなければ、ほかにも何か裏技があれば教えていただけますか?
吉室氏:非売品ソフトではありませんが、「ときめきメモリアル」内で遊べる、「フォースギア」と「ツインビーりたーんず」の2種類のシューティンゲームを単独でも遊べるようにしました。つまり、「ときメモ」内のミニゲームを抜き出して遊べるようにしたわけですね。これを実現するためだけに、エムツーさんにはミニゲームのプログラムの抜き出しと、デモ画面の作り変えをしていただきました(笑)。言うなれば、ミニゲームだけの単体のPCエンジンソフトを2本追加で作ったようなものです。
また、細かいところでは「スーパースターソルジャー」のバックファイアの操作を、セレクトボタンからIボタンに設定を変えることもできるようにしました。セレクトボタンでは操作しにくいと思われた方も、この機会に記録をぜひ更新してください!
――ナルホド! それも面白いアイデアですね。
吉室氏:弊社としても、エムツーさんに開発をお願いしたのは、ただエミューレションをするだけでなくて、どこまで面白いものができるのか、すごく突き詰めて作っていただけるからなんですね。エムツーさんのおかげで、とても良い付加価値が作れたのではないかと思います。収録タイトルの選定は、基本的には弊社のほうで決めましたが、先程もお話した「ファンタジーゾーン」の裏技とかの内容については、セガさんにももちろんご確認をいただきまして、皆さんと一緒になってお客様に喜んでいただけるものにしようと考えたうえで作ってあります。
――メニュー画面にも、遊びたいゲームを選ぶとHuカードをPCエンジン本体にセットするとアニメーションが流れるなどの楽しい演出を盛り込んでいますよね? こちらの構成やデザインについても、エムツーがすべて開発を担当したのでしょうか?
吉室氏:基本的な仕様や企画は我々とエムツーさんで協議しながら決めましたが、画面内で動き回っているPCエンジンは、エムツーの松下さん(※7)のほうから、「ぜひドット絵で描いたものを出したい」というお話をいただきましたので、キャラクターのデザインをお願いしました。痒い所に手が届くと言いますか、細かい部分にまでいろいろとこだわって作ってくださるのは、エムツーの皆さんならではの職人技ですよね。
ソフトを起動したときのアニメーションですとか、CD-ROM2の駆動音などの録音、メニュー画面で流れる曲作りに関しましては、我々のほうでも制作を担当しました。ちなみに、ターボグラフィックス-16 miniのメニュー画面で流れる曲は、当時のPCエンジン用ソフトの開発環境を再現して作った音色を使って作曲しています。ゲーム中のサウンドに関しましても、PCエンジンは8ビット機でありながら史上初のCD-ROMを使用できるようにしたハードでもありましたので、できるだけ当時のドルビーサラウンドを再現したうえで収録し、声優さんの声や楽曲もそのまま使いました。
メニュー画面に表示されるパッケージイラストの制作は、全部弊社で行ないました。元のパッケージは、発売から30年前後経っていてかなり劣化していましたので、トリミングをすべて1本ずつやり直し、当時の色合いに沿ってどこまで再現できるのかをこだわって作りました。
※7……松下さん:松下佳靖氏のこと。「ティンクルスタースプライツ」、「どきどき魔女裁判!」などの開発者として有名。ちなみに吉室氏の話すPCエンジンとは、「スターパロジャー」に登場する、初代PCエンジン本体をモデルにデザインされた自機の一種を指す。
――ところで、私も実機を遊ばせていただいたところ、各タイトルのマニュアルが見当たらなかったのですが、マニュアルはどこで見られるのでしょうか?
吉室氏:公式サイトに掲載している、オンラインマニュアルをご覧いただく形にしました。「SNATCHER(スナッチャー)」などのように、タイトルによってはマニュアルといっしょに分厚い設定資料もお見せできるようにしてありますよ。
――PCエンジンでは、ゲームによっては画面内にキャラクターがたくさん出現すると絵がチラついたり、あるいは処理落ちしてしまうことがありましたが、PCエンジン miniではこれらの現象が起きないように、プログラムの修正などをしたのでしょうか?
吉室氏:それはしていません。処理落ちなどが起きてしまうのも、それも含めて思い出であろうということで、今回はあえて手を付けませんでした。当時の開発者の方が、「本当はこうやりたかったけど、できなかった」とお話された部分については修正をした箇所もありましたが、スプライトの表示順など、それ以外のところは一切変えずに作ってあります。
――それでは最後に、PCエンジン miniを購入した、あるいは購入を検討しているGAME Watchの読者に向けて、開発スタッフを代表してぜひメッセージをお願いいたします。
吉室氏:古いものでは、発売から30年以上も経過したゲームを、ほぼ当時のまま再現してお客様にお届けすることができました。この機会にぜひ、皆さんのゲーム体験の原点を思い出しつつプレイしていただければと思います。現在でもシリーズが続いているタイトルもありますし、我々としても現行機のゲームとレトロゲームの両方を、これからもいろいろと盛り上げていきたいと考えております。
PCエンジンのゲームがまた遊べる機会ができたことで、皆さんがどのように楽しんでいただき、どんな情報を発信されるのか、我々のほうでも楽しみにしております。お客様からの声をお聞きしまして、今後もKONAMIとしてどのようなゲームを作っていくべきなのか、ご参考にさせていただけたら幸いです。これからもずっとゲームをプレイし続けていただけることが、我々にとって大きな励みとなりますので、PCエンジン miniをぜひよろしくお願いします。
――ありがとうございました。