【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「ギャラガ’88」

華麗に舞う昆虫型エイリアンとの戦いがとにかく楽しい、シューティングゲームの古典的作品

1988年7月15日 発売

 1987年にナムコが発売したアーケード用ゲームをPCエンジンに移植した作品「ギャラガ’88」。1981年に登場したシューティングゲームの傑作「ギャラガ」の続編にあたり、十字キーで左右2方向に動くファイター(自機)を操作し、IまたはIIボタンでビームを発射し、昆虫型エイリアンを倒していくというシンプルな内容だ。

 本作の醍醐味は、敵が密集する場合は連射で、散り散りに動き回っている場合は1発ずつ狙い撃つなど、状況に応じてボタンの連射速度や押すタイミングを考えながらプレイできるところにある。敵の飛行パターンは実に多彩で、特定の敵編隊を全滅させるとボーナス得点が加算されるようにもなっているので、どの敵がどんな動き方をするのかを研究しつつ、得点を稼いだり全ステージクリアを目指すことで楽しさがさらに増す。

敵の数が少なく、遠くにいる場合は1発ずつ狙い撃ち、編隊飛行中の敵を一掃するときは素早く連射するなどの、使い分けが攻略の鍵。特定のステージでは、耐久力の高い巨大なボスキャラも登場する

 ファイターが1機だけの状態で戦うのは難しいが、2機または3機合体に成功すると攻撃力が増し、敵を倒しやすくなるアイデアも本作ならではの面白いところだ。合体するためには、敵のボスギャラガが発射するトラクタービームにわざと捕まって捕虜になった後に、新たに登場したファイターでボスギャラガを倒し、捕虜になったファイターを救出することで合体できる。

 合体後は機体が大きくなり、敵の体当たりや敵弾を避けにくくなるデメリットはあるものの、それを補って余りある攻撃力が備わる(※2機合体時は一度に2発、3機合体時は3発同時に発射できる)ので、狙いどおりに敵の軍団を一掃できたときは実に気分爽快だ。

ボスギャラガの捕虜になったファイターを取り戻すと、ファイター同士が合体して攻撃力がアップするのが「ギャラガ」シリーズならではの面白さだ

 3面、7面、14面などのチャレンジングステージにおいては、華麗かつトリッキーに動く敵編隊を倒すのもこれまた楽しい。チャレンジングステージに出現する敵は、ワルツやタンゴ、マーチなどのBGMに合わせて動く、絶妙のシンクロニシティを披露してくれるので、目でも耳でも大いに楽しませてくれる。さらに、すべての敵を倒してパーフェクトを達成すると高得点のボーナスが加算されるとともに派手な花火が打ち鳴らされてプレーヤーを祝福してくれる演出も、これまた実に気持ちいい。

チャレンジングステージに出現する敵は、曲のリズムに合わせて毎回同じパターンで動く。その華麗かつトリッキーな軌跡は見ているだけでも楽しい

 アーケード版に比べると、敵の出現パターンが若干異なり、ステージ間のデモシーンでボス敵が笑う演出が省かれるなどの違いはあるものの、当時としては移植再現度が非常に高い。また、敵や障害物を破壊するとまれに出現するアイテムを取ると、アーケード版では一定のステージごとに2個ストックしていればワープ(ルート分岐)してボーナス得点が入るが、PCエンジン版ではアイテムを取るとファイターが数秒間無敵になるシステムが追加され、より遊びやすい配慮をしているのも好印象だ。

 タイトル画面で十字キーの上を押しながらRUNボタンを押すと、通常モードよりも難易度が高く、アーケード版には存在しなかったオリジナルアイテムが出現する裏モードが遊べるのもPCエンジン版ならではの注目ポイントだ。アーケード版をさんざんやり込んだ、あるいは腕に自信のあるプレーヤーは、本モードで遊ぶことをぜひおすすめしたい。

 発売してから優に30年を超えるタイトルだが、たとえ画面を覆いつくすほどの派手な弾幕がなくても、シューティングゲームはこんなに面白いのかと改めて教えてくれる1本だ。まだ遊んだことがないという人は、この機会にぜひチャレンジしてはいかがだろうか。シューティングは苦手だというプレーヤーでも、チャレンジングステージでの敵とBGMのシンクロニシティは一見の価値ありだ。

隠しコマンドを入力すると裏モードも遊べる。一番下の写真は、裏モードでのみ出現するファイターの連射効率がアップするアイテム(白色の物体)が出現したところ