【特集】

【PCエンジン mini全タイトルレビュー!】「大魔界村」

難しいのに不思議とヤミツキになってしまう、アクションゲームの傑作

1990年7月27日発売

 1988年にカプコンが発売した、主人公の騎士アーサーを操作して、ゾンビや死神などの不気味な敵のモンスターを倒していくアーケード用名作アクションゲームを移植した作品「大魔界村」。PCエンジン版は、スーパーグラフィックス(※初期型PCエンジンよりも、描画性能などが強化された機種)専用ソフトとして開発され、アーケード版とほとんど変わらない移植を実現したことで、その優れた性能を世に示したことでも特筆すべきタイトルだ。

 操作方法は、十字キーでアーサーを4方向に動かし、Iボタンを押すとジャンプ、IIボタンを押すと武器を投げる(※剣装備時は剣を振る)。ジャンプ中に上および下を押しながらIIボタンを押すと、上下に向かって武器を放つことも可能だ。敵の攻撃や障害物に触れるとアーサーの鎧が壊れ、鎧が脱げた状態で攻撃を受けるとミスとなり、画面外に落下した場合は鎧があっても即ミスとなる。ステージ構成は1周5ステージ(※2周目のみラスボス専用ステージが追加出現)で、2周クリアすると真のエンディングとなる。

 本作の最も面白いところはステージごとに、あるいは個々の敵キャラクターに対して、どの武器を使用すれば敵を倒しやすくなるのかを考えながらプレイする戦略性と、敵に対して正確に武器を命中させるテクニックの両方を求められることにある。武器は壺を持った敵を倒すか、宝箱(※詳しくは後述)を開くとときどき出現し、初期状態で装備している槍のほか、連射性能に優れた短剣、敵を貫通する斧、地形に沿って飛んでいく円盤、攻撃範囲は狭いが通常の武器の2倍の攻撃力持つ剣などの種類がある。

多彩な武器を上下左右に自由に繰り出し、場面ごとに最適な武器を探しつつ攻略パターンを作っていくのが楽しい

 マップ上には特定の場所を通過したりジャンプすると出現する宝箱があちこちに隠され、これを発見することで新たな武器や鎧を入手することができる。宝箱から出現した黄金の鎧をアーサーが装着すると、装備した武器によって種類がそれぞれ異なる、強力な魔法も使用できるようになる。魔法はIIボタンを一定時間押しっ放しにして、ゲージが満タンになったらボタンを離すと発動し、槍装備時は稲妻の魔法、短剣装備時は分身の魔法などの種類がある。装備を変えたいとき、あるいは脱げた鎧を再装着したいときに重宝する宝箱を探しつつ、武器と併せて魔法を駆使した攻略パターンを作りながら遊べるのも、本作の面白いところだ。

宝箱から出現した黄金の鎧を装着すると、魔法が使用できるようになるので、隠し場所を知っているほど断然有利に戦える

 どのステージでも不気味な敵のモンスターが次々と現われ、最終地点では巨大なボスキャラとの戦いが待ち受けるので、見ているだけでも楽しくなってしまう。また、1度ジャンプを失敗しただけ画面外に落ちてしまうギミックや、足場がいきなり崩れ落ちたり、宝箱から敵のマジシャンが出現して呪文を放つなど、トラップなどが随所に仕掛けられているのも本作の大きな特徴のひとつだ。着地に1度失敗するだけで、即画面外に落ちてしまうスリリングな場面も登場するので、正確にジャンプするテクニックが要求されるのも本作ならではの面白さだ。

 敵の攻撃パターンやトラップの場所、ジャンプのタイミングなど、覚えなくてはいけないテクニックや情報量がとても多いので難易度は高く、慣れるまでの間は数え切れないほどミスを繰り返してしまうかもしれない。しかし、「次のステージには、どんな敵や世界が待ち受けているんだろう?」という好奇心が自然とわいてきて、難しくてもついつい夢中なってしまうのだから不思議だ。グロテスクなモンスターたちが次々と出現する世界観を見事に演出した、不気味かつ美しいグラフィックスとBGMも素晴らしく、その魅力は発売から約30年が経過した今なお色あせない。

 なお、「どうしても難しくて手に負えない!」という人は、タイトル画面でIボタンを押しながらスタートすると起動する設定モードで、難易度をイージーに下げたり、エクステンド(アーサーのストックが増える得点の設定)を甘くしてからプレイすることをオススメする。

「魔界村」シリーズではおなじみの強敵レッドアリーマーをはじめ、多彩な敵のモンスターとギミックが登場! いかにもモンスターたちが現われそうな不気味な世界を表現したグラフィックスとサウンドも秀逸だ